前立腺がんの術後ケアやHPVワクチンの啓発
包括的にサポートを
日本橋骨盤底診療所
(中央区/日本橋駅)
最終更新日:2023/02/14
- 保険診療
前立腺がんの手術後、微量な尿漏れを含めると約3割の人が排尿トラブルを抱えているという。しかし手術を行った病院ではフォローしきれず、悩みを抱えて生活している人も多い。そんな人たちを救いたいと、2023年1月に日本橋駅すぐ近くのビルの地下2階に「日本橋骨盤底診療所」を開院した安倍弘和所長。亀田総合病院で長年泌尿器科部長を務め、腹腔鏡手術を得意とする骨盤底治療のエキスパートだ。病院では行えなかった前立腺がんの術後の尿漏れなどに対する治療に応じている。女性の泌尿器科治療に関わる中で、男性側の理解が必要と強く感じ、男性の子宮頸がんワクチン接種や性感染症検査を推奨している安倍所長に、術後ケアや男性側の予防について詳しく教えてもらった。
(取材日2023年1月24日)
目次
前立腺がんの術後の尿漏れケア。男性の子宮頸がんワクチン接種など女性を守るための予防に理解を
- Q前立腺がんの術後ケアに力を入れられているそうですね。
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A
亀田総合病院の泌尿器科に勤務し、前立腺がんや膀胱がん、骨盤臓器脱、尿失禁などの腹腔鏡手術を行っています。今でもいくつかの病院で手術を教えています。前立腺がんの手術は日本全国で年間2万5000件ほど行われていますが、そのうち約3割の方が術後に尿漏れに悩まされているといわれています。そこで、当診療所では術後のケアに力を入れていきたいと考えています。手術を受けた病院で、術後のリハビリを提案されることもありますが、実際行っているところは滅多にありません。当診療所では術後の尿漏れの治療にも対応しています。
- Q男性の排尿トラブルに対して、どのような種類がありますか?
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A
尿漏れの場合、咳やくしゃみなどおなかに力を入れたときに漏れてしまう「腹圧性尿失禁」、膀胱が勝手に収縮して我慢できずに漏れてしまう「切迫性尿失禁」、前立腺肥大症などの病気が原因のものもあります。当院では、必要に応じて尿検査、尿流測定、残尿測定、膀胱鏡、エコー検査を行い、適切な診断につなげます。
- Q男性にも子宮頸がんワクチンの接種を推奨しているそうですが。
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A
子宮頸がんは女性がワクチンを打って予防するものと思っている方も多いのですが、原因となるウイルスに感染した男性から女性に移るため、お互いに予防が必要です。アメリカやオーストラリアなどでは男性の子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の接種が進み、10年後には希少がんになると言われています。子宮頸がんが滅多に発症しない珍しいがんになるには、女性だけではなく、男性がワクチンを接種する意識を持つ社会にならなければなりません。女性と同様、中学生くらいまでが接種に適した年齢と考えられています。パートナーや娘さん世代を守ることにもつながりますので、男性が接種する重要性を知っていただきたいですね。
- Q家族を守るためにも男性側の予防が大事なのですね。
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A
子宮頸がんは「マザーキラー」とも言われ、子宮頸がんの治療として子宮頸部を切除や子宮全摘除は不妊症につながる恐れもあるので、男性にも率先してワクチン接種をしてもらいたいんです。それだけではなく、何でも女性が治療しなければならない社会を変えていきたいと思っています。男性が包茎だと性感染症のリスクが高くなる恐れもあります。包茎手術をしたり、性感染症の検査を受けたりして、女性に感染させることのないようにしたいですね。
- Qパートナーで受診してもらうのが理想的ですね。
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A
そうですね。お互いのことを知ったほうが、病気を治すのにも積極的になれるのではないでしょうか。パートナーの理解があると治療効果のアップにもつながると考えています。男性には女性が産後、体の変化が起こることも知っていただき、理解してもらいたいですね。年配の方は、男性、女性それぞれ原因は違うけれど、どちらも尿漏れや骨盤底のトラブルを抱えている場合があります。ご一緒に受診することで、聞きにくかった相談もしやすいかもしれません。現在女性の患者さんが多いですが、何か不安なことや症状があれば、男性の方も、女性の方も、ご一緒でも気軽にいらしてください。