花粉症などのアレルギー疾患
症状レベルに合った治療を提供
ふちわき耳鼻咽喉科クリニック
(出雲市/川跡駅)
最終更新日:2023/04/28


- 保険診療
アレルギーの症状や原因は人それぞれで、花粉症をはじめ、アレルギー疾患に悩む人は増加傾向にある。出雲市で耳・鼻・喉・首回りの幅広い症状に対応している「ふちわき耳鼻咽喉科クリニック」では、アレルギー疾患の検査・治療にも力を注ぐ。アレルギー性鼻炎の研究に携わった経験を持つ淵脇貴史院長のもと、丁寧な問診や先進のアレルギー検査機器の活用などを通して、患者それぞれの症状や重症度のほか、生活背景に合わせた治療を提案する。「私も幼い頃からアレルギー性鼻炎に悩まされてきたので、当院でできる限りの治療をしていきたい」と話す淵脇院長に、今回はアレルギーの仕組みや、乳幼児でも受けられるアレルギー検査、次の花粉症シーズンまでにできる対処法、患者の症状や重症度、生活スタイルに合わせた治療の提案について解説してもらった。
(取材日2023年3月29日)
目次
アレルギー検査で症状レベルを把握。投薬、注射、舌下免疫療法、外科的治療などの花粉症治療を提供
- Qどうしてアレルギー反応が起こるのでしょうか。
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A
▲同じ花粉症でも症状は人それぞれ。患者に合った治療をめざす
人間の体内にある抗体は、菌やウイルスなどの体に害を与える物質を攻撃・排除して体を守っています。本来ダニ、スギ花粉などは無害な物質にもかかわらず、その物質を攻撃し排除しようとする「生体防御反応」が起こってしまうことがアレルギー反応の仕組みです。そうした反応が起きてしまう物質のことを「アレルゲン」といいます。アレルゲンは、ダニや花粉などの「吸入系」と、小麦などの「食物系」の大きく2つに分けられます。吸入系の中でも、スギやヒノキなどをアレルゲンとするのが花粉症です。鼻水やくしゃみ、目のかゆみといった症状を引き起こします。治療方法は投薬や、舌下免疫療法、注射、外科的治療などがあります。
- Q最近、舌下免疫療法という言葉を聞きますがどんな治療ですか。
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A
▲舌下免疫療法の初回は院内で服用。安全な治療に努める
ダニとスギのアレルギーに対する治療法です。1日1回、舌の下に薬を置いて成分を少しずつ体内に入れることで、アレルゲンに反応しにくい体質に変えていくことをめざします。ダニは通年可能ですが、スギの場合は花粉の飛散時期を避けて6月頃から開始し、来シーズンに備えます。治療期間は約3~5年と長期になりますが、根本的な改善が期待できるのが特徴です。また、副反応の有無を確認するため、初回と薬の濃度を上げる際には来院が必要ですが、基本的には自宅での投薬となるので気軽に治療が受けられる点も大きなメリットですね。開始年齢は5歳から可能で、早い段階から治療を開始することで重症化につなげていきたいです。
- Qアレルゲンの特定や重症度など詳細に検査されているそうですね。
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A
▲指先から1滴採血することで、41項目のアレルギー検査を行う
41項目のアレルゲンを測定し、その重症度を6段階で診断するための検査機器を導入しています。ハウスダストやダニ、スギ、ブタクサ、イヌやネコなどの19項目の吸入系アレルギーの診断や、食物アレルギーの可能性を測るのに有用です。検査結果が30分ほどで出るため、受診したその日に検査から治療方針の決定ができる点も強みですね。また、血液1滴で検査が可能な上、採血器具も針が見えないよう工夫されていて痛みも少ないので、小さなお子さんでも無理なく検査を受けていただけます。お子さんは成長につれて新たなアレルギーが出てくるケースもあるので、検査が気軽に受けられるのは大きなメリットだと感じています。
- Q症状レベルに応じた花粉症の治療について教えてください。
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A
▲患者の症状や体質、生活背景に合わせて治療内容を考えていく
まず、眠くなりにくい飲み薬と点鼻薬、目薬を組み合わせた治療で症状の抑制を図ります。アレルギー反応が強く効果が出にくい方には、次の段階として強い薬への変更や舌下免疫療法を検討します。また、重症度が高く12歳以上の患者さんの場合、注射治療という選択肢も。アレルギー反応自体を起こさせないことを目的とした治療で、高い効果が狙えます。ただ、シーズン中は2週または4週ごとの受診が必要になる点と、通常の治療に比べ費用がかかることから、受験に向けて集中したい学生さんや、人前に出る仕事のため症状を抑えたい方など、患者さんの事情に合わせてご提案します。ここまでの治療で効果が不十分な場合は外科的治療を検討します。
- Qアレルギー性鼻炎の日帰り手術のことですね。
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A
▲内視鏡による日帰り手術でアレルギー性鼻炎を治療している
当院では3種類の手術を行っています。1つは、鼻の粘膜を高周波で焼灼しアレルギー反応の抑制を図る「下鼻甲介粘膜焼灼術」。鼻水とくしゃみ症状が重い方に有用で、治療後の状態の維持が期待できるのは1年程度と継続的な処置が必要ですが、比較的費用を抑えられるという利点があります。鼻水とくしゃみのほか、強い鼻詰まりがある方には「粘膜下下鼻甲介骨切除術」もお勧めです。鼻腔にある骨の一部を切除し鼻腔を広げて鼻通りの改善を図る治療で、やや高額ですが長期的な効果が望めます。また鼻詰まりが強い方には、鼻腔を左右で仕切る鼻中隔が曲がっている場合もあり、その弯曲を矯正し鼻通りの改善を図る「鼻中隔矯正術」にも対応できます。