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大河内 明子 院長の独自取材記事

おおこうちクリニック

(横浜市保土ケ谷区/天王町駅)

最終更新日:2019/08/28

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天王町駅から徒歩5分。商店街を抜けると、グリーンの木立ちが目印の「おおこうちクリニック」の看板が見えてくる。2010年2月の開業。ゆったりとした柔らかな雰囲気で患者の話にじっくりと耳を傾ける大河内明子院長は呼吸器内科が専門。一般内科はもちろん、喘息や睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療などに積極的にあたっている。呼吸器とは関係の深い禁煙外来に通う患者も多いという。「いつでも気軽に受診できる街のクリニックだからこそ、慢性疾患をきちんと丁寧に診ていきたい」という大河内院長に、開業されて感じたことや日々の診療で心掛けていること、医師を目指した理由や、母親の一面を感じさせるプライベートなお話まで、たっぷりと語っていただいた。(取材日2011年03月18日)

開業して初めて知った、正しい知識を広めることの大切さ

こちらを開業されたのはいつですか。

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2010年の2月です。それまでずっと横浜船員保険病院で勤務医をしていましたし、今も月2回外来を担当していることもあって、なるべく船員病院に近い場所で開業したいと思っていたんです。クリニックのロゴマークは、グリーンをイメージカラーにした自然を感じさせる木立ち。院内のカーテンやいろいろなところにもグリーンを使っています。本当は、自宅で飼っている2匹のフレンチブルドッグをモチーフにしたかったんですが、動物病院みたいだと、残念ながら反対されてしまいました(笑)。クリニックの玄関を入ってすぐ目に入る大きな写真は、昔一緒に働いていた看護師さんが撮った尾瀬の風景。ほかにも、院内に飾ってある写真や絵は、すべてそれぞれ別の知人の作品なんです。患者さん手作りの人形も飾ってあります。みなさん、いろいろと持ってきてくださるんですよ。

これまで診療してきて、気になる疾患などありますか?

通常の風邪や糖尿病、高血圧など生活習慣病の患者さんももちろんいらっしゃるのですが、私の専門が呼吸器内科で看板に掲げていることもあり、やはり咳などの症状でいらっしゃる方が多いです。なかでもとくに気になっているのは喘息の患者さんです。本当は一生継続して治療していかなければいけない病気なのに、きちんと治療していない方や、せっかく治療にいらしてもちょっと良くなると来なくなってしまう方が結構いらっしゃるんですよ。開業してみて、こんなにきちんと治療できていないということに初めて気づきました。こういった町のクリニックは大学病院に比べて気安く行ける分、同じだけ、気安く行かなくなってしまうのかもしれませんね。例えば高血圧の場合、みなさん怖さを知っているせいか、症状が出ていなくてもずっと通院して薬も継続して飲んでいらっしゃいますよね。喘息の方にそれができないのは、病気の本当の怖さがまだきちんと伝わっていないからなのかなと思います。模型を使ったりして一生懸命説明しても途中で治療をやめてしまう方が多いのは本当に残念です。もっときちんと病気の正しい知識を広める活動をしていかなければいけないと思っているところです。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者さんも多いのですか。

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そうですね。睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、最近よくテレビなどで報道されて認知されてきたこともあり、年々増えています。ほとんどはベッドパートナーの方が、規則的でないいびきや呼吸がとまっているなどの症状で気づくようですね。高血圧の方が治療してもうまく血圧が下がらないのでSASではないか、と紹介されて来る方もいらっしゃいますよ。というのも、呼吸が止まったときは少し目が覚めるので、いい睡眠が取れず、血圧が上がってしまうからなんです。SASになると一生の治療となり、寝ている間ずっとマスクのような機械をつけて気道が閉鎖されないようにしなければいけません。旅行や出張などにも持ち運びできる小さい機械なんですけどね。うっとうしいと治療を嫌がる方がとても多いんですよ。でも重症の方になると、この機械がなければ朝起きたときの頭痛や昼の眠気がつらくて、機械が手放せなくなるようです。やはり太目の方に多いですね。痩せると症状も良くなり、なかには10kg以上痩せて機械を外せた方もいらっしゃいます。生活習慣病の治療でも痩せるのはとても大事なことですから、太らないよう気をつけることは大切だと思いますね。

一人娘が医学の道を志してくれたことが今、何よりの喜びに

先生はなぜ医師を目指されたのですか。

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私の父が「女性も手に職をつけたほうがいい」という教育方針でしたから、将来は学校の先生か医師になりたいという気持ちは、小さい頃からがずっとあったんです。高校時代、とにかくバレーボールが好きで、とても頑張っていましたから、最初は体育大学に行って女子高の先生になり、バレーボール部の顧問になりたいと思っていたんですよ。ところが心臓に異常が見つかって、運動が禁止されてしまったんです。それで体育大学は断念し、高校3年生のときに医学部を目指すようになりました。実際に医師になって専門を選ぶときは、実は、内科か麻酔科か迷ったんです。一時期は麻酔科に行こうと思い、2年間研修もしました。でも最終的に内科に決めた時、やはり麻酔科で学んだ2年間を無駄にしたくなくて、その知識が生かせる呼吸器内科の道を選んだんです。今、こうして役立てながら診療できているので、本当に良かったなと思っています。

娘さんも医学の道に進まれたそうですね。

そうなんです。とくに勧めたりはしなかったんですけどね。娘がまだ小さかった頃、当時の私は、本当によく夜中に病院から呼び出されて、そのたびに娘を一緒に連れて行ったんです。「病院に行くよ」と言うと、娘はリュックに塗り絵を入れて毛布を持って。病院の私の部屋で待たせるときは「ドアを3回ノックしたらママ。それ以外は開けちゃダメだよ」と合図を決めていました。看護師さんたちにも可愛がってもらって病院が大好きでしたね。でも、小学3年生くらいのとき、私の母が近くに住んでいたので、預けて仕事に行っていたんですが、たった1度だけ「行かないでくれ」と泣いてすがられたことがあったんです。ちょうどその頃、原因不明の熱が続いたりもしていて、周りから「寂しい思いをしているからではないか」と言われたりもしました。ですから、私には、きちんと面倒見てあげられなかった、娘にとてもつらい思いをさせてきたという思いがずっとあったんですよ。「お母さんが医者だったから、自分はとっても寂しい思いをした。医者なんか絶対に嫌だ」と言われていたら、とてもショックだっただろうと思います。それなのに、こうして娘が医者になってくれたんです。本当にうれしいですね。

先生ご自身が健康上気をつけていらっしゃるのはどんなことでしょう。

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開業してから本当に運動不足になっているので、最近はゴルフに力を入れています。勤務医時代は、どうしても急な呼び出しがかかったりして、なかなか集中してできなかったんですよ。今は、その頃とはまた違った大変さがあり、体力的にはきつい部分もたくさんあるのですが、いつでもすぐに呼び出されるということがなくなったので、精神的には楽になりましたね。主人がクリニックの事務長として経営面をやってくれていますので、心強い部分もあります。少し時間にゆとりもできましたし、今年はこれまでできなかったゴルフを頑張ろうと思っているんですよ。やはりからだ全体で自然を感じるのはとてもいいですよね。

じっくりと話を聞くことが大切。専門も生かしながら、街の家庭医として診療していきたい

診療する上で一番心掛けていらっしゃるのはどんなことですか。

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とにかく、よく話を聞くことですね。ひとまずは患者さんのおっしゃることを遮らずに、きちんとお伺いするんです。お話の中から治療に大切なものもたくさん得られますし、じっくり話を聞くことで信頼関係も築けます。勤務医時代はたくさんの患者さんを診なければいけなかったので、お一人にかけられる時間が限られていました。月に1回程度の決まった時間にしか受診できない大きい病院よりも、曜日も時間も関係なく、いつでも診療できる街のクリニックこそ、実は慢性疾患を診続けていくのに適しているのではないかと思いますね。緊急の場合や夜間にすぐ受診できるよう大きい病院ときちんと連携が取れていれば、心配されることは何もないですから。私自身が心臓治療をして患者の立場になりましたし、自分の親が入院して家族の立場にもなりましたから、医師とは違った立場の気持ちもとても良くわかるんです。それぞれの気持ちがわかるだけに、ジレンマや限界を感じることもありますが、その気持ちは忘れずに診療にあたりたいと思っていますね。

禁煙治療も積極的にされていらっしゃるのですね。

はい。タバコは本当におやめになったほうがいいと思いますね。体に何もいいことがないんです。今、結構たくさんの方が頑張っていらっしゃいますよ。テレビなどの効果も大きいかなと思いますね。だいたい3ヵ月コースなんですが、終えられた時に患者さんの頑張りを称える表彰状をお渡ししているんです。大人になってから、こういったものをもらうことはほとんどないでしょうから、みなさん、喜んでくださいます。成功されている方が多いですが、もちろん、なかにはうまくいかない方もいらっしゃいます。そういった方には「何度でもがんばりましょうね」と励まして、再チャレンジをおすすめしているんですよ。

健康で快適な生活を送っていくために、読者にメッセージをお願いします。

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とにかく、まずは気楽に、何か気になることがあったらいつでもいらしていただきたいです。例えば肺気腫という病気は、咳や痰が出る場合もありますが、ちょっと動いたときの息切れも症状の1つです。でも、ある程度の年齢になると、それは誰にでも起こることだからと気にしなかったり、動かなければ苦しくなりませんから、だんだん動かなくなってそのまま放置してしまう方もいらっしゃるんです。「こんなことで」と思わず、一度ご相談されたらいいと思いますね。今は何より予防が大切。年に1回の健診の大事さをはじめ、喘息治療や禁煙外来を広めていく活動こそ街のクリニックの大事な役目だと思いますし、私たち医師も、常に勉強しながら自分に足りないところを補っていく努力をしていかなければいけないと思っています。気軽に相談できる家庭医としての診療も大切にしていきたいですし、呼吸器内科という専門も生かしていきたい。今、それぞれの専門を生かしたクリニックも増えていますから、そういったクリニックとも連携を取り、地域のなかで患者さんの健康を支えていくことも念頭に置きながら、これからも頑張っていきたいですね。

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