残された時間を自宅で過ごしたい
患者と家族に寄り添う訪問診療
二俣川はまかぜ内科
(横浜市旭区/二俣川駅)
最終更新日:2022/06/13


- 保険診療
自力での通院が困難な患者を対象に、患者の自宅で治療を行う訪問診療。脳性麻痺・認知症・脳梗塞などで体の動きが不自由になったり、がんの終末期を自宅で過ごす患者が主に利用している。対象となる患者や家族は、各地域にある地域包括支援センターに相談するケースが多い。また「二俣川はまかぜ内科」では訪問診療の専用ダイヤルを設置し、相談を受けつけている。同院の野本文子院長は、訪問診療を「患者さんだけではなくご家族とも向き合う診療」だと話す。患者と家族、その両方の思いを大切にするのが野本院長の診療スタイルだ。「いたわりの医療」をモットーとする野本院長に、訪問診療への考えや対応時間、費用についてなどさまざまな話を聞いた。
(取材日2022年5月25日)
目次
訪問診療で患者と家族の穏やかな生活をサポート。双方の思いを大切に、至誠と慈愛をもったいたわりの医療を
- Qどのような人が訪問診療の対象になりますか?
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A
▲丁寧かつハキハキとした話しぶりな野本院長
それまでの当院への通院の有無に関わらず、自力での通院が困難な方が訪問診療の対象となります。乳幼児からご高齢の方まで年齢の定めはありません。例えば遺伝子疾患や脳性麻痺を患う方、認知症で一人での外出ができなくなった方、脳梗塞の後遺症で体の動きが不自由になった方、がんの終末期で残された時間をご自宅で過ごす方、治療方法の確立されていない神経難病を患う方などがそれにあたります。中には関節症が悪化して歩けなくなり、通院から在宅医療に切り替える患者さんもいらっしゃいます。
- Q訪問診療についてどこに相談したらよいのでしょうか?
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A
▲訪問診療の経験が豊富
迷ってしまったら在宅医療に対応しているクリニックに直接ご相談いただいても大丈夫ですよ。当院も訪問診療の専用ダイヤルを設置し、ご本人やご家族からの相談を受けつけています。その他、各地域にある地域包括支援センターに相談される方が多いですね。横浜市では「地域ケアプラザ」と呼ばれています。介護・医療・保健・福祉などの総合相談窓口です。ご家族が認知症になった時、必要なのは医療だけとは限らないでしょう。地域包括支援センターは、金銭や生活面も含めて情報提供を行う場です。
- Q診療時間や費用について教えてください。
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A
▲外来診療にも注力している
ご自宅への訪問は原則として月に1~2回です。血圧や体温を測り、症状に応じて薬や注射の調整をします。1回ごとの診療時間は患者さんによって異なりますが、外来診療に比べて長くかかることがほとんどです。電話は訪問診療の患者さんやご家族に限り、24時間365日対応しています。費用は所得や障害者手帳の有無によっても変わりますが、基本的には保険が適用されますよ。
- Q訪問診療について野本先生はどのように捉えていますか?
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A
▲至誠と慈愛をもったいたわりの医療を志している
患者さんのご自宅に出向いて診療をする。このスタイルは古くから日本に根づいている文化です。以前は、休憩時間に近所の患者さんの様子を見に行くドクターも多くいらっしゃいました。その後在宅医療が制度化され、2000年には介護保険制度がスタートしました。往診と訪問診療は別物ではありますが、ご自宅での診療は、自然と求められ続けているものなのだと思っています。
- Qご家族に向けてアドバイスをお願いします。
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A
▲患者の家族とのコミュニケーションも大切にしている
頑張りすぎないでほしい、でも患者さんとの残された時間を悔いなく過ごしてほしい。ご家族に対しては、この両方の思いがあります。老病や死に向き合う時が来た患者さんは、多くの場合しゃべる・歩く・食べるという動作が困難になってきます。それをどこまでサポートするか、ご家族それぞれの思いがあるでしょう。ですがご家族が介護疲れしてしまっては、在宅療養をしている意味がなくなります。つらくなったら無理せずに私たちを頼ってくださいね。