低身長や思春期早発症など
成長に関わる疾患を適切に診断
新大久保にじいろおやこクリニック
(新宿区/新大久保駅)
最終更新日:2022/11/10


- 保険診療
子育てをしていると、嫌でも気になってしまうわが子と周囲の子どもとの違い。「わが子は周りの子に比べて少し小さめなのではないか」と不安を感じている人も少なくないのではないだろうか。また、子ども自身が自分の体格を気にしているケースもあるだろう。新大久保駅近くにある「新大久保にじいろおやこクリニック」の樋口麻子先生は小児内分泌を専門とし、今まで多くの子どもを診察してきた。「低身長のほとんどは治療の必要がありませんが、悩んでいるお子さんに対しては心のケアを大切にしています」と、寄り添った対応を心がけているそうだ。自身も3人の子育てを経験した樋口先生に子どもの成長ホルモン分泌不全性低身長を含めた低身長、思春期早発症、バセドウ病などについて詳しく話を聞いた。
(取材日2022年10月11日)
目次
急激な体調の変化があったら一度受診し、隠れた病気がないかをチェックしてもらうことが大切
- Qまず初めに低身長の基準について教えてください。
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A
▲多くの親子の悩みを聞いてきた樋口院長
子どもの成長がわかりやすいものとして、成長曲線というグラフがあります。これは年齢別に身長や体重の平均値や標準偏差を表したグラフです。母子手帳にも成長曲線のページがあるので、親御さんの中にはご存知の方もいらっしゃるかと思います。このグラフ上で、-2.0SDから+2.0SDの間に約95%の子どもが含まれ、-2.0SD以下のお子さんが低身長と定義されますが、身長の値だけでなく女性ホルモンや男性ホルモンの値も診断の際の重要なポイントになります。ほとんどのお子さんはご家族も身長が低いなどの遺伝によるものであり問題ないのですが、成長率が低下してくるような場合は何かしらの病気が隠れていることがあります。
- Q低身長の治療は可能でしょうか?
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A
▲成長記録をつけ、身長の伸び方をチェックする
先ほどの回答と重複しますが、ほとんどのお子さんが遺伝性による低身長で治療の必要はありません。当院では、成長ホルモン欠損症や甲状腺ホルモン欠損症など保険適用になる疾患のみホルモン補充療法を行っています。私が重要視しているのは治療の必要があるのかないのか、もっと詳しい検査が必要かどうかという点です。病気ではありませんよとお伝えすると、「個性なんですね」とおっしゃって安心してお帰りになる親御さんもいらっしゃいます。当院では自費治療は行っていませんが、その代わり、お子さんの心理的なケアにも力を入れています。どうやって自分の身長と付き合って生きてくかということのほうが私は大事だなと思っているんですよね。
- Qどのような検査をするのか教えてください。
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A
▲親子の心理的なケアにも力を注いでいる院長
成長記録が1番大事なので、まずは記録をつけてもらって同じ間隔で身長が伸びているかどうかを見ます。例えば病気を発症している場合には、1ヵ月単位でどんどん伸びが悪くなるということもあります。血液検査と尿検査も行い、甲状腺や腎機能に問題がないか、それから成長ホルモンの値を間接的に見る数値を調べて、低身長になってしまうような基礎疾患がないかどうかをチェックします。問題がない場合は、親御さんも心配している方が多いと思うので、「病気ではないですよ」と言って差し上げるのが私の仕事だと思っています。
- Q低身長の他にどんな相談が多いですか?
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A
▲ポータブル超音波と思春期の発達経過をはかる精巣測定器
思春期発来が早めに来てしまう思春期早発症や肥満などのご相談が多いですね。他には海外から日本へ来られた方がバセドウ病で、当院で継続して診てほしいと来院されることも。当院にはハンディ超音波があるので、甲状腺のエコーもできます。肥満に関しては、学校検診でピックアップされて受診されるケースが多いですね。そういったお子さんには食事内容を写真に撮ってきてもらって、食事のアドバイスをお伝えしています。また毎日体重を測る習慣をつけてもらって、自分の体重の変化に関心を持ってもらうよう働きかけています。
- Qどのような場合に相談すればよいでしょうか?
-
A
▲身長や体重の急激な変化があった場合は気軽に相談してほしい
思春期は通常、女児は10歳頃、男児は12歳頃から始まるのですが、女児が6・7歳、男児が9歳以下から始まってしまう場合、思春期早発症と診断されます。女児の場合、一番初めに胸が大きくなり、男児の場合は精巣が大きくなります。男児の思春期早発症は脳腫瘍が隠れていることが多いので、特に注意が必要です。親御さんが気づきやすい点で言うと、身長や体重が急激に変化したなと感じられたら一度病院を受診することをお勧めします。体に何かが起きている可能性があるので病院できちんと診てもらったほうが良いでしょう。