市販薬常用は薬物乱用頭痛のリスクも
頭痛の悩みは専門医療機関へ
ふせや内科小児科
(各務原市/高田橋駅)
最終更新日:2023/05/12


- 保険診療
多くの人が経験し、身近な症状の一つである頭痛だが、その原因はさまざまだ。中には脳卒中や脳腫瘍といった見過ごせない脳の病気もあり、重要な体のサインでもある。その一方で、「頭痛持ち」といわれるくらい慢性的なものとして悩む人も多く、市販薬などでしのぐということが日常化している場合もあるのではないだろうか。「市販薬を常用することで、薬物の使用過多による頭痛というもっと強い頭痛を引き起こす人が最近増えています」と警鐘を鳴らすのは、「ふせや内科小児科」の伏屋公晴院長。長年、基幹病院の脳神経内科で研鑽を積んだ、日本神経学会神経内科専門医だ。伏屋院長に、頭痛の原因や神経内科を専門とするクリニックでの治療について詳しく聞いた。
(取材日2022年4月4日)
目次
国際基準の分類に沿って適した診断をし、予防薬や治療薬を処方する脳神経内科の頭痛治療
- Q頭痛にはどのような種類がありますか?
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A
▲頭痛は大きく一次性と二次性に分けられる
頭痛にはさまざまなタイプや原因があり、頭痛を専門に診ている医師が診断基準とする「国際頭痛分類第3版」では、300種類以上が分類されています。それによれば、はっきりとした原因や疾患が見当たらない一次性と、ほかの疾患が原因で起こる二次性に大きく分かれています。一次性は片頭痛や緊張型頭痛などで、頭痛そのものが病気として扱われます。二次性は頭頸部血管障害や感染症から来る頭痛など。慢性的な頭痛で最も多いのは、片頭痛と緊張型頭痛です。ほかにも、夜中にとても頭が痛くなって目が覚める群発頭痛、運動中に頭痛が起きる運動時頭痛、以前はアイスクリーム頭痛と呼ばれていた寒冷刺激による頭痛などもあります。
- Q専門のクリニックで診てもらうメリットを教えてください。
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A
▲適切な診断・治療を受けることが大切
頭痛という病気は奥が深く、原因や種類が多いので、頭痛をひとくくりにせず、「国際頭痛分類第3版」に則った適切な診断をすることが重要です。診断をきちんとしないと治療ができません。「国際頭痛分類」は基本中の基本なのです。また、頭痛には脳腫瘍や脳卒中など、隠れた怖い病気もあるので、見逃さないようMRI検査も行います。めったにない病気ではありますが、検査して隠れた病気がなければ安心してもらうことができます。安心感も治療を行う上で重要なのです。当院では、オープン型MRI装置を使用していますから、閉塞感も少なく、音も静かなので、初めての方でも苦痛が少なく検査が受けられると思います。
- Q受診するタイミングを教えてください。
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A
▲日常生活に支障を来すような頭痛があれば受診したほうが良い
日常生活に支障を来すようであれば、受診したほうが良いでしょう。片頭痛は、つらくて勉強や家事、仕事ができなくなると言われて来院する人が多いです。特に若い人ではは発作回数が多く、程度も重くなりやすいので、勉強や仕事、家事をこなすことが大変となり、社会的な損失となります。緊張型頭痛は主に肩凝りからくる頭痛で、慢性化した重だるい頭痛が特徴です。日本人の2割ぐらいの人があるといわれています。頭痛の頻度や程度も人それぞれですが、たとえ週に1回でも頭痛で寝込む、仕事や勉強ができないなどの症状があるようでしたら、治療したほうがいいでしょう。市販薬でこらえているような人はぜひとも相談していただきたいです。
- Q市販の頭痛薬で済ますことは良いのでしょうか?
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A
▲市販薬の常用により、薬物乱用頭痛を引き起こすことも
日本人は我慢強いので、市販の頭痛薬などでなんとかやり過ごしている人も多いのですが、市販薬は週に2回以上飲むような状態が続くと、薬物が原因による頭痛を引き起こすことにつながります。1ヵ月に10日以上服用している人は要注意です。市販薬は、鎮痛成分が数種類含まれているので常用するのは危険です。市販薬を飲んで一息ついたとしても、薬が切れるとまた内服してしてしまうという悪循環に陥る薬物の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)は結構多く見られます。当院では適切な飲み方をきちんと説明し、頭痛の回数が多い場合は頭痛の予防薬も使います。ひと月に数回ぐらいの頭痛であれば、市販薬でも構わないと思います。
- Qどんな検査や治療がありますか?
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A
▲まずは検査で頭痛の原因を突き止めることが重要
まず問診とともに、顔面や手足の動きなどを診察し、神経学的に異常な所見がないかを確認します。必要でしたら頭部MRIにて画像的に評価します。その上で治療を行うのですが、頭痛の薬は種類が多く、特性もそれぞれなので、診断をしっかりと行い、症状に応じて適切な薬を処方することが必要です。目標としては頭痛による日常生活への影響を少なくすることとなります。頭痛が強い場合は点滴も行います。気圧の変化で頭痛を起こす人も多いですが、西洋薬では気圧の変化に対応できる薬はないので、漢方薬も考慮します。また、片頭痛の回数が多い場合は予防薬があり、適切に使うことで頻度的にも程度的にも頭痛を落ち着ちつかせることがめざせます。