生活習慣病は自覚症状なく悪化する
早期受診が健康寿命延伸の鍵に
よこすか内科小児科・はるこレディースクリニック
(木更津市/巌根駅)
最終更新日:2022/03/14


- 保険診療
生活習慣病とは、食生活の乱れや運動不足、喫煙、飲酒といった「習慣」が、発症・悪化に深く関わる病気の総称。2型糖尿病、高血圧症、脂質異常症などが代表例だ。飲酒習慣がなくとも生じる「非アルコール性脂肪肝炎」もその一つで、近年罹患者が増加している要注意の病気だという。生活習慣病や、健康診断の異常値のような兆候を放置すると、時に命に関わる病気につながることも。そのため、「よこすか内科小児科・はるこレディースクリニック」の横須賀淳院長は、「生活習慣病を発症させないためには、かかりつけ医と一緒に症状をコントロールすることが大切です」と呼びかける。同院で市の特定健康診査も行い、日頃から地域の健康管理に貢献する院長に、生活習慣病の怖さや同院で治療を受けるメリットについて詳しく話してもらった。
(取材日2022年2月16日)
目次
健康診断で「異常あり」なら早期受診を。放置は命に関わる病気につながる
- Q生活習慣病の怖さはどんな点にあるのでしょうか?
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A
▲生活習慣病の多くは、自覚症状のないまま進行するという
生活習慣病の怖さは、ほとんど自覚症状なく進行すること、そして血管をはじめとする体の各部に悪影響を与え、命に関わる病気を引き起こすことにあります。例えば、高血圧症から動脈硬化が進むと、大動脈解離や心筋梗塞、脳出血、脳梗塞を引き起こすリスクが高まります。脳梗塞で突然半身まひになったり、心筋梗塞で亡くなったりということもあり得ます。ところが高血圧自体には、やはり自覚症状がないことが多く、あったとしても頭痛程度ですから、それを重大な問題と考える人は少ないでしょう。生活習慣病の代表格である2型糖尿病に関しても、喉の渇き、多尿といった初期症状が出る方は重度の方で、軽症の場合は無症状の方も多いです。
- Q自覚しづらいとはいえ、進行に伴うリスクは大きいのですね。
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A
▲日本内科学会総合内科専門医の横須賀院長が丁寧に診察にあたる
ええ。次に2型糖尿病を例に取ると、この病気の進行は、網膜症や白内障の悪化、神経障害によるしびれ、腎機能低下などを招きます。足の動脈が壊疽するケースや、糖尿病性腎症となって人工透析を必要とするケースも。他にも生活習慣病として、脂質異常症、高尿酸血症、非アルコール性脂肪肝炎などが挙げられます。身近なところでは、高尿酸血症は痛風や尿管結石、腎障害を引き起こし、心筋梗塞のリスクとなることも知られています。運動不足やカルシウム摂取不足が骨密度低下につながるため、骨粗しょう症も生活習慣病の一部といえますね。特に閉経後の女性は女性ホルモンの低下から骨密度が低下しやすく、骨折リスクが高まるため注意が必要です。
- Q先生が専門とする肝臓の生活習慣病についても聞かせてください。
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A
▲普段と比べて体調が違う場合や健診結果がよくない時は受診しよう
最近だと、NASH(ナッシュ)と呼ばれる「非アルコール性脂肪肝炎」が注目を集めています。飲酒習慣によって肝臓に炎症が生じる「アルコール性肝炎」に対して、食生活の乱れなどから内臓脂肪がたまって炎症が生じるのが、非アルコール性脂肪肝炎。飲酒習慣がない方も罹患し、肝硬変から肝がんにつながるリスクも高いとされています。悪化を防ぐためには、当院のような肝臓の専門家がいる医療機関で、継続的に経過を診ていくことが大切です。アルコール性肝炎になる方が減少傾向にある一方、非アルコール性脂肪肝炎になる方は増加傾向にあるため、お酒を飲まなくとも肝機能の数値が高いという方は、ぜひご相談ください。
- Qどんなタイミングで医師に相談すればいいのでしょう。
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A
▲さまざまな検査に対応できるよう、検査機器も充実
生活習慣病は自覚症状が出にくいため「健康診断で異常値が出たら早期受診」を基本としていただければ。医師の再検査・診断のもと、適切な治療やアドバイスを受けましょう。改善に向けた選択肢は、大きく、食事療法・運動療法・薬物療法の3つです。中性脂肪値は、食事制限や運動を取り入れることで改善を図れることが多いですが、悪玉コレステロール値は体質的なところも大きく、生活習慣の改善だけでは良い結果が出ない方も少なくありません。そうした場合は、薬を飲んで症状をコントロールすることも大切です。近年は糖尿病の薬も進歩し、インスリン注射でなくても内服加療によって血糖値のコントロールが可能な方も多いです。
- Qこちらで生活習慣病を診てもらうメリットは?
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A
▲患者に合わせて目標値を決め、適切な治療を行う
血液検査、心電図検査、超音波検査、動脈硬化の程度を調べる血圧脈波検査、腰椎と大腿骨の骨密度の精密測定など、生活習慣病とその周辺症状に関する幅広い検査を受けられる点はメリットでしょう。多面的に検査をすることで、個々人に合った治療方針が立てられます。漢方相談や医学的根拠に基づいた栄養相談でも体質改善をめざせます。当院婦人科は、「プレコンセプションケア(将来の妊娠に向けた健康づくり)」に力を入れており、内科と連携して、安全な妊娠・出産の準備をサポートします。母体の健康状態は、生まれてくるお子さんの発育・発達だけでなく、将来の生活習慣病にも影響します。未来のお子さんのためにも、ぜひご活用ください。