白井 利明 院長の独自取材記事
南加瀬しらい整形外科クリニック
(川崎市幸区/新川崎駅)
最終更新日:2021/10/12

新川崎駅から車で4分の場所にある「南加瀬しらい整形外科クリニック」。2021年5月の開業で、白井利明院長は武蔵小杉の出身。山梨医科大学卒業後は、横浜市立大学整形外科医局の関連病院で整形外科全般の診療に幅広く携わってきた。診療ではわかりやすい説明と正しい診断を心がけている白井院長。整形外科・リウマチ科・リハビリテーション科に対応しており、特に力を入れているのは「骨粗しょう症」の診断と治療だ。骨粗しょう症が引き起こす骨折は、その後の生活にも影響を与えかねないという。川崎市への思いも強く「地域医療への貢献という形で、この地に恩返しがしたい」と語る白井院長に、骨粗しょう症がもたらす弊害について、また今後の展望について話を聞いた。
(取材日2021年6月30日)
これまでの経験を生かし、川崎市の地域医療に貢献
先生はなぜ整形外科の医師を志したのですか?

家族や親戚に医師・医療従事者が多く、幼い頃から「医療」が身近にある環境で育ったんです。医師になったのはその影響が大きかったかもしれません。外科や救急医療など幅広い選択肢の中から整形外科を選んだのは、笑顔の多い科だと思ったから。整形外科の分野で扱う内容の多くは、手術やリハビリをすることによって、患者さんの笑顔につなげていくことができると思うんです。患者さんの喜ぶ顔を見るのは、やりがいにもつながりますね。山梨医科大学を卒業後は、横浜市立大学整形外科医局の関連病院で診療をしてきました。大学病院では変形性膝関節症など膝と足の疾患を専門的に、市中病院では骨粗しょう症やそれに伴う骨折、その他にも関節リウマチなど整形外科全般に幅広く携わりました。
そして今年、地元で開業されたのですね。
はい。開業したのは今年、2021年の5月です。開業前は静岡県の三島中央病院に勤務していましたが、地元である川崎市への思いもやはりありました。勤務医時代から開業を考えてはいたのですが、時期や場所については迷っていたんです。そんな折、家庭の事情で川崎市に戻ることになりました。これがきっかけとなり、地元で開業することを決めました。私は武蔵小杉の出身です。生まれ育った川崎市で、地域医療への貢献という形で恩返しができれば、医師としてとてもうれしいことですね。縁あって開業場所となったこちらは医療モールの3階。モールの専用駐車場の他、すぐ近くにあるファミリーレストランの駐車場もご利用いただけます。バスの停留所からも歩いてすぐですし、通いやすい立地です。
診療の際に心がけていることを教えてください。

まずはわかりやすい説明です。整形外科では聞きなれない病名や単語も出てきますが、意味が正しく伝わらなければ患者さんも不安になってしまいますよね。難しい言葉は使わずに、レントゲン写真に加えて模型も利用して、患者さんに納得・安心してもらえるような説明を行っています。ゆくゆくはオリジナルのパンフレットも作ろうと思っているんですよ。もう一つ心がけているのが、正しい診断と適切な治療を行うことです。患者さんの話をしっかり聞き、必要な検査を行って原因を見逃さず、症状が快方に向かうようにきちんと治療プランをたてるということ。そして常に笑顔で接し、身だしなみや言葉遣いにも気をつけています。
生活に大きく影響する可能性もある「骨粗しょう症」
こちらではどのような診療が受けられるのでしょうか?

整形外科・リウマチ科・リハビリテーション科に対応しており、特に骨粗しょう症の診断と治療に力を入れています。院内にはレントゲンや骨密度測定装置を備えています。レントゲンで骨の異常を、骨密度測定装置で骨の状態を検査、いずれもその日のうちに結果が確認できます。血液検査の結果は翌日以降にわかりますが、骨代謝マーカーなど細かい数値をもとに診断を行います。手術や精密検査などが必要であれば、関東労災病院や川崎幸病院などにご紹介しています。リハビリ室には複数の機器を備えています。水圧の力で全身をマッサージするウォーターベッド、首や腰を引っ張るけん引機器、低周波や高周波を用いた電気治療機器、患部を温めるホットパック。診察ののち、症状に合わせて使用します。
骨粗しょう症について教えてください。
骨粗しょう症という言葉は、ほとんどの方が耳にしたことがあるでしょう。骨の密度が下がりスカスカになってしまう病気ですが、「骨折をきっかけに骨密度を測ったら、実は骨粗しょう症だった」というケースがとても多いのです。自覚症状がほぼないので、進行するまで気づかないんですね。骨折を引き起こすほどの状態ですと、元の状態に戻すことは難しくなります。その場合、薬でコントロールしながら、日々の生活や運動もプラスして再発を防いでいきます。もし骨粗しょう症の可能性が早期に把握できれば、骨密度も元の状態に、あるいはそれに近い状態にしていけるようにコントロールすることも可能です。骨粗しょう症は骨折だけではなく、それに伴うさまざまな弊害がありますから、早期発見がとても大切だといえます。
骨粗しょう症からどのような弊害が起きるのでしょうか?

特にご高齢の方ですと、例えば大腿骨頸部骨折で手術を行う場合、手術そのものや麻酔が体への負担になります。寝たきりやリハビリの期間も長くなり、環境が変わることで認知症が悪化してしまうこともありますね。食事の取り方にも影響しますから、栄養不足から衰弱にもつながりかねません。このような悪循環の中、肺炎を起こしたり心不全が悪化してしまった患者さんを、これまでに多く診てきました。骨折がさまざまな弊害につながり、間接的に生活や命に関わってくるのです。女性の皆さんは、閉経を迎えたら骨密度の検査を受けることをお勧めします。また骨粗しょう症は女性に多い病気というイメージがありますが、男性の患者さんも多くいらっしゃいます。70歳を迎えたら、一度は検査を受けにいらしてください。
安心・信頼できる身近なクリニックをめざす
こちらで働くスタッフについてご紹介ください。

看護師・事務スタッフ・リハビリ助手、計10人のスタッフが働いています。そのほとんどが整形外科での勤務は未経験でした。経験者から知識を共有したり、院内勉強会や外部セミナーでスキルアップを図っています。明るく優しいスタッフぞろいですよ。高齢で耳の遠い患者さんには、近くからのお声がけや筆談で対応しています。また患者さんの記入した問診票を、最初に確認するのはスタッフです。記載されている以外のお困り事を患者さんに確認し、メモしたものが私の手元に届きます。スタッフのこまやかな目線が正しい診察の手助けとなり、とても助かっています。
院内レイアウトや感染対策についても教えてください。
クリニックという場所に対する「敷居が高い・緊張する」というイメージを払拭するために、木目を基調とした優しい雰囲気のレイアウトにしました。リラックスして検査を受けられるよう、レントゲン室の壁まで木目にしたんですよ。入り口には自動検温機、随所にアルコール消毒、空気清浄機も設置しています。診療時間中は窓を開けて換気を行い、検査・リハビリ機器の消毒も徹底しています。また予約システムを取り入れていますので、院内が密になることもありませんし、待ち時間対策にもつながっています。
今後の展望をお聞かせください。

ゆくゆくはリハビリ面で、理学療法士が可動域訓練や筋力トレーニングを行う「運動療法」を取り入れたいと思っています。専門スタッフの増員も視野に入れ、高度な医療を提供できるよう努めていきます。その一環として、スタッフのレベルアップにも力を入れていきたいですね。院内勉強会を充実させ、薬や機器の取り扱いについて学ぶ場を設ける予定です。スタッフにとっては働きやすくてスキルアップできるようなクリニック。患者さんにとっては安心・信頼できる身近なクリニック。当院をそのような場所にしていくのが、私の役目です。
最後に読者へメッセージをお願いします。
地域の皆さんに安心してもらえるクリニックをめざし、生まれ育った川崎の地に開院できたことをうれしく思っています。骨粗しょう症の治療方法はいろいろありますし、早期の治療がその後の快適な生活につながります。「高齢だから骨折するのは当たり前」と諦めず、まずはお気軽にご相談ください。