歯科医療の大事な基盤
歯周病は症状が初期の段階で治療を
エミルデンタルクリニック芝
(港区/芝公園駅)
最終更新日:2021/04/07


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日本の成人の約8割がかかっているともいわれる歯周病。「実はギネスブックにも『世界で最も感染者数の多い感染症』として認定されているほど歯周病は身近な病なのです」と「エミルデンタルクリニック芝」の笠木星児院長は話す。それだけ身近なのに、歯周病は「痛みなく、気づかず、ゆっくり」と進行するのが特徴で、症状が出てきたときには、かなり病気が進んでいる厄介な疾患でもある。放っておけば、歯がグラグラとしてきて、ぽろっと抜け落ちてしまうこともあるそう。自覚症状がないだけに、治療も難しい。長い間の生活習慣によって引き起こされた病は、すぐには治らないのだ。「定期的に歯科医院でチェックし、初期の段階で治療することが肝心です」。病気の特徴を踏まえ、治療がどのように進められるのかを聞いた。(取材日2021年3月15日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q歯周病とはどのような病気ですか?
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A
歯周病とは、プラーク中の細菌が原因となって、顎の骨を溶かす病気のことです。生活習慣病の一つで、日本人の成人の約8割が罹患しているともいわれます。痛みがないため気づきにくく、ゆっくり進行するのが特徴です。原因は年齢やお口の中の細菌のバランスなどいろいろありますが、一番はきちんとケアができていないこと。というものの、患者さんはご自分ではなかなか実感として受け止めにくいところがあります。ですが、歯周病の治療は歯を支えるお口の中の基盤の部分の治療で、あらゆる歯科医療のベースになります。歯周病の治療をしていなければ、あらゆる歯科治療において良好な結果が得られにくくなるほど、大切な治療なのです。
- Q放置しておくと、どうなりますか。
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A
前述したように歯周病は痛みがなく、ゆっくり進行するので、ご自分ではなかなか気づきません。歯磨きをすると血が出る、歯がちょっとグラグラする、歯の隙間が広がってきた、歯茎が痩せてきた、口臭がするようになったなどの症状が出たところで、歯科医院で検査すると、かなり進行していたということはよくあります。歯周病には軽度、中等度、重度などと段階があり、軽度の段階で治療すれば、元の状態に戻すこともめざせます。ただ中程度になると、100%健康な状態に戻すことは難しく、さらに重度に進むと元には戻りません。最悪の場合は歯茎が完熟トマトのような状態になり、歯がぽろっと抜け落ちることに。早い段階での治療が大切です。
- Q歯周病になっても、将来インプラント治療を受けられますか?
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A
受けることは可能です。ただ、インプラント治療をする前に、歯周病治療を行ってお口の中の環境を整えることが前提となります。インプラント治療は顎の骨の中に人工歯根を埋め込む治療ですから、歯周病で骨が吸収されなくなっていると、そのままでは埋め込めないことがあります。その場合には人工的に骨を増やすための処置をします。骨造成といって、骨の足りない部分に人工骨と呼ばれる骨を足して骨を増やす処置を行います。健康な人に比べ、インプラント治療をきちんと行うには、多少時間も費用もかかってしまいます。治療後はインプラント周囲炎にならないよう、きちんと手入れをする習慣を身につける意識改革も必要ですね。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1カウンセリング
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歯周病は進行していても自覚症状がない。同院ではすべての患者のエックス線写真を撮影するので、他の部分の治療で来院した際にも歯周病の程度もわかり、そこで病状を知る人が多いそう。治療が必要な場合には、より細かい説明があり、さらに専門的な検査を行う。「自覚症状のない患者さんに、歯周病に罹患していることを気づいてもらうことも歯科医院の役割」と、笠木先生。
- 2検査
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通常のエックス線検査で口腔内の歯や顎の骨の状態を大まかに把握。歯周病にかかっている場合は、さらに細かくエックス線撮影を行うことになる。14枚法といい、上下7枚ずつ撮影することで、歯、骨、不適合な詰め物、かぶせ物の細かい部分の詳細な情報を得られる。また、歯周病菌は糖尿病をはじめ心臓など全身の疾患への影響があるといわれており、問診で全身の疾患、生活習慣病の有無や喫煙などの生活習慣についても確認される。
- 3診断結果から今後の治療の説明を受ける
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同院では患者自身のエックス線写真や、歯周病の進行度を示すイラストなどが用いられ、目でわかるようにしながら、丁寧でわかりやすい説明が行われている。治療前と治療後の症例写真を見せ、治療へのモチベーション向上を図ることも。自覚がなく、メンテナンスを勧めても実感の薄い患者にも、歯周病治療の困難さを理解してもらい、治療の大切さを伝えているそう。
- 4治療
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進行度によってブラッシング指導から手術まで対応はさまざま。初期であれば、適切な歯ブラシの選択方法や正しい磨き方の指導を受ける。歯石など歯の汚れは目に見える部分だけでなく、歯茎の中まで入り込んでいるので、専用の器具を使って除去。進行した歯周病の場合には歯茎を切開する手術を行い、歯石を取り除くこともある。また骨吸収されてなくなっている患者には骨を回復させるため再生療法も行う。
- 5メンテナンス・定期的な通院
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治療が終了したら終わりではなく、そこからがスタート。歯周病になる大きな原因は手入れの仕方にあるので、正しいブラッシングを続け、定期点検をすることが大事だ。同院では患者のライフスタイルに合ったプランを提供し、患者にとって実行しやすいプランを指導している。2、3ヵ月に1回、どんなに間が空いても半年に1回は定期検診を受けることを奨励。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/40万円~、歯周病組織再生療法/10万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供を行っております。
カスタムメイド矯正装置(マウスピース矯正)については、効果・効能に関して個人差があるため、 カスタムメイド矯正装置(マウスピース矯正)を用いた治療を行う場合は、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。