仲敷 健一 院長の独自取材記事
けいゆうメディカルクリニック 内科 循環器内科
(大野城市/下大利駅)
最終更新日:2023/01/06

地域に寄り添ったクリニックをめざし、2021年2月に開院した「けいゆうメディカルクリニック 内科 循環器内科」。白と木目を基調としたバリアフリー設計の院内には、心地良い木の香りが広がる。仲敷健一院長は、大学病院などで研鑽を積んできた日本循環器学会循環器専門医。心臓や血管に関わる循環器疾患を軸に、一般内科から生活習慣病、睡眠障害、認知症まで、広範囲をカバーした診療内容が特徴だ。同院では日頃から患者の声に耳を傾け、体や心に抱える問題を総合的に診るプライマリケアにも注力。男性だけでなく女性も受診しやすいように、女性の臨床検査技師も在籍。「患者さんの身近な存在で在りたい」と語る仲敷院長の地域医療にかける熱意と、診療内容を中心に話を聞いた。
(取材日2021年3月15日/情報更新日2022年12月28日)
心臓や血管に関する循環器疾患を軸とした幅広い診療
まずは、これまでの経緯からお聞かせください。

生まれは大分県の中津ですが、父が銀行に勤めていた関係で、北九州、行橋市、八女市というように、子どもの頃は福岡県内を転々としました。そして、長崎の青雲高校から鹿児島大学へと進学しましたので、各地域の方言がわかります(笑)。卒業後は、約20年ほど大学病院の医局を中心に、狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患に関する治療をはじめ、さまざまな循環器疾患の診療にあたらせてもらいました。実は15年前に父が他界しましたので、できるだけ母の近くで仕事をと長い間考えていたところ、リハビリテーションが主体で透析も行っている病院とご縁があり、福岡に戻ってくることになったんです。これまで循環器一筋でしたが、そこはこれまでとはまったく畑が違う病院だったので新鮮でした。
ちなみにどのような領域の医療に携わられたのですか?
簡単にいうとリハビリを中心にした医療です。途中から院長も任されまして、結局その病院には7年間勤務させてもらいました。病床もあり、寝たきりの患者さんもいましたから、本当にさまざまな状態の患者さんたちを診させてもらったんです。訪問診療や訪問介護もやっている病院でしたので、患者さんをサポートしているご家族との関わりも非常に重要であることを学びました。そして、その病院が合併することになったのを機に、前々から考えていた独立を決意。ここでの開院に至りました。病院というのは大きくなると、どうしても患者さんとの関わりが薄くなってしまうんですね。私は患者さんとふれあいたいという想いが強かったので、地域の方との交流も図れるクリニックの開院を選びました。
手渡しせずに済む自動精算機や、待ち時間軽減のためのオンライン予約などを導入されているのですね。

ええ、オンライン診療にも対応していますし、自動換気システムなど、できる限りの感染症対策を行っています。そして、ここは高齢化が進んでいる地域であることと、子育て世代のファミリー層が増えているというように、2極化しているエリアだったことも、私がこれまで培ってきたことを発揮できる場所であると感じた点です。大学病院では重篤な患者さんも多く診させてもらいましたが、その方たちをずっと診ることは残念ながらできません。自分の患者さんを最後まで診るためにも、地域に密着し、多くの方の受け皿になれるクリニックをという想いは、ずいぶん前から持っていました。
総合的な視点から診る「プライマリケア」に取り組む
開院されて約1年半がたちましたが、どのような患者さんがいらっしゃっていますか?

ありがたいことにたくさんの患者さんにご来院いただいております。年齢層は学生さんから95歳ぐらいの方までと、かなり幅広いですね。今まで自分で歩いて行ける距離に、通えるクリニックがなかったという高齢の方も多く、この場所を選びよかったなと感じております。また、当院では血液検査も最速30分で結果をお伝えできますし、心電図、エックス線、エコー検査も可能です。そして、女性の方も受診しやすいように、女性の臨床検査技師が在籍していることも特徴です。私はこれまで、心筋梗塞、心臓弁膜症、心筋症、あと先天性の心臓疾患など、心臓を軸としたカテーテル治療などの循環器に加え、エコーでの診断も専門に行っていましたので、心臓に限らず、腹部大動脈瘤、末梢動脈疾患など血管の病気も見つけて治療を行ってきました。エコーは基本全身を診ることができますから、さまざまな疾患の早期発見にもお役に立てると思います。
数ある分野の中から、循環器を専門にされた理由は何だったのでしょう?
最初、諸先輩方に声をかけてもらった第一内科というところに入局したんですね。その中に循環器が入っていたのがきっかけです。診療を経験していくと、不思議なくらい自分の中にすっと入ってきたんです。そして、循環器というのは悪性疾患が非常に少ないということ。つまり、患者さんが回復していく率が高い。そこに魅力を感じました。当院は、心臓、血管などの疾患を主とした循環器だけでなく、風邪や予防接種など一般内科も診ますし、生活習慣病、睡眠障害、認知症まで幅広く診療していますので、どこの科に行けばよいかと悩む場合は気軽に来ていただきたいですね。私がこうありたいと思うのは、「プライマリケア」といって、普段から何でも診てくれて、相談にも乗ってくれるといった、身近な医師による体も心も含めた総合的な医療の提供をめざしているため。そんな「かかりつけ医」になりたいですね。
まさに町のクリニックならではですね。

ええ、クリニックでしかできないこともたくさんあると思うんです。「ちょっとおかしいな」程度の症状でも構いません。まずは受診いただき、万が一、高度な医療機関での検査が必要だと判断した場合は責任もってご紹介します。急を要するか否かの見極め。その判断力は大学病院などでしっかり身につけてきていますので、当院の強みですし、地域に貢献できる点だと思います。ちょっとしたことであっても、患者さんにしっかりと耳を傾け、寄り添い、ご不安を取り除くことが自分の役目だと思い、診療にあたっています。そのような地域医療を担っていく上で、将来的には訪問診療も視野に。高齢者が増える一方であることから、これから最も必要とされる分野だと思いますのでね。
患者に寄り添った、温かみのある医療の提供を
かかりつけ医は患者さんにとって「道しるべ」のような存在ですね。

まさに、患者さんの進むべき道を照らせるような存在になりたいですね。患者さんに信頼していただくためにも、まずは地域の方たちとの関係性をしっかり構築していかなければなりません。そこには、私をいつも支えてくれるスタッフの存在がとても大きいです。臨床検査技師、看護師、受付の3人。人数は少ないですが、彼女たちは私にとって非常に心強い存在なんですね。というのも、以前から一緒に仕事をしていた方たちなんです。一からスタートというわけではないので、私のめざす医療についても理解してくれていますし、患者さんへの対応一つにしても、しっかりやってくれているなと感謝しています。
プライベートについても教えてください。休日はどのように過ごされていますか?
実は子どもが2人いまして、小学5年生と3年生と、まだ小さいものですから、休日は公園に一緒に行って遊ぶなどしています。こんな世の中なので、どこかへ遠出するというわけにもいきませんしね。2人とも男の子なのですが、今はその子たちとふれあう時間が私のリフレッシュにもなっています。実は当院のクリニック名は2人の子どもの名前を一文字ずつ取ってつけているんですよ。まだ小さいので将来どんな職業を選択するのかわかりませんが、本人たちの意思を大前提とした上で、あえて希望するとしたら、私が教えられることも多いですし、医療系に進んでくれるとうれしいですね。
では、最後に地域の方へメッセージをお願いします。

今は昔に比べると、症状によって受診する科が細分化されていますので、これは皮膚に関することだから皮膚科、更年期かもしれないから婦人科など、あちこちに通院されている方も多いのではないでしょうか。お一人の患者さんが抱えているさまざまな症状を、可能な限り当院でカバーできたら、患者さんのご負担も軽減できると思うんですね。本当の原因は別だったというのはよくある話。例えば、心臓が痛いと思っても心臓には異常がみられず、原因は別にあったといったことはよくあります。「患者さんに寄り添い、温かみのある、信頼される医療」が当院の理念ですので、「このくらいでも良いのかな」と躊躇されるようなことでも、ご遠慮なくいらしてください。