痛みの出ない体をめざす
動かすリハビリテーション
なか整形外科 京都西院リハビリテーションクリニック
(京都市右京区/西院駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
整形外科で行うリハビリテーションには大きく分けて2種類ある。電気刺激や牽引、マッサージなどで症状の軽減をめざす「物理療法」と、体を動かすことで症状の回復を促していく「運動療法」だ。近年は特に運動療法の重要性が注目され始めている。京都の西院にある「なか整形外科 京都西院リハビリテーションクリニック」樋口直彦院長も、痛みの再発防止に向けて積極的な運動療法を取り入れている一人だ。特に同院では正しい動きや体の使い方、呼吸、姿勢を獲得していくことで痛みが出にくい体づくりをめざしているのだそう。今回は、デジタル機器の活用や多職種スタッフとのチーム医療で、効率化にも力を注ぐ同院のリハビリテーションについて、詳しく解説してもらった。
(取材日2021年3月31日)
目次
「痛みをなくす」のではなく、再発予防として「痛みが出にくい体づくり」を目的としたリハビリテーション
- Q「動かすリハビリテーション」とはどのようなものですか?
-
A
▲患者に合わせた丁寧な説明
従来の整形外科で行うリハビリテーションは、電気治療やマッサージなど、患者さんは動かずに行うものが中心でした。一時的に痛みが治まったとしても、しばらくするとまた同じ症状に悩まされるといった経験がある方も多いのではないでしょうか。関節が痛くなる原因は、柔軟性や筋力低下に伴う機能不全も大きいです。「動かすリハビリテーション」は痛みをなくしていくのが目的ではなく、痛みが出にくい体にしていくことを目的としています。理学療法士とマンツーマンで正しい動き、体の使い方、呼吸、姿勢を習得することで、痛みが出にくい体に近づけていきます。早い人で2~3週間、一般的に3ヵ月ほどで変化を感じることが多いようです。
- Qどのように体を動かしていくのでしょう?
-
A
▲リハビリ機器は充実
スクワットやランジなど体幹を鍛えたり、マシン運動などで体を動かしていきます。院内はまるでスポーツジムのような機器がそろっていますが、すべて医療的なエビデンスに基づいた機器を導入しています。サスペンショントレーニング、自転車、筋力系のマシン、空圧式筋力トレーニングマシンなど、柔軟性や体幹、筋力などに総合的にアプローチしていくことが可能です。またスポーツジムにある機器とは異なり、ゆるやかな負荷まで調整していけるのも特徴で、骨折や骨粗しょう症、椎間板ヘルニア 、変形性膝関節症など、骨を傷めないか不安がある方や慢性的な痛みが続いている方にも、取り組んでいただけるでしょう。
- Qリハビリメニューはどのように決定するのでしょうか?
-
A
▲患者の状態やリハビリメニューの確認
医師や理学療法士が、患者さんの体の動きを綿密に確認して、個々に合わせたリハビリメニューを作成しています。その際、患者さんはただ体を動かせばいいというのではなく、運動動作パターンをスクリーニングしていくことで、体幹や柔軟性、筋力などを評価していっています。理学療法士も動作の質を評価していく技術を習得しています。そして共通の評価基準をもとに動作能力を数値化していくことで、一人ひとりに合わせたリハビリメニューを作り上げていきます。指標が明確になることで理学療法士によってアプローチが異なることも防げ、その方に適した運動器リハビリテーションを効率的に実践することができるようになると考えています。
- Qデジタルを活用しているのは貴院ならでは、といえますね。
-
A
▲理学療法士が患者のリハビリをサポート
当院では、電子カルテをクラウド化して、リハビリテーションプログラムはスマートタッチシステムで一括管理しています。各マシンの設定も、自動で調節される仕組みになっていますので、患者さんは来院すればワンタッチで自分の健康情報を管理してもらえるようなシステムになっているんですよ。また、リハビリテーションの予約はスマホで行え、来院日が近づけばメールでお知らせが届きます。クリニックに来てから待たされることもほとんどなく、うっかり受診し忘れることも防げると思います。先端のIT技術を取り入れて、効率的なリハビリテーションにつなげていく。まさに新しい時代に求められる姿でしょう。
- Q理学療法士と先生との密な連携も貴院の特長ですね。
-
A
▲多職種による密な連携が多角的なアプローチを実現
特にチーム力で患者さんを支えることを大切にしており、医師や理学療法士はもちろん、トレーナーなども含め全スタッフが患者さんの状態を把握し、密に連携を図っていくように心がけています。例えば、トレーニングメニューを患者さんの病状や治療経過に応じて細やかに調整していくことができるのも、連携がとれているからこそです。どれだけデジタル化が進んでも、人が介入していくべきところはなくしたくありません。そこで当院では、院内のみならず近隣の接骨院や鍼灸、整体、栄養士、そしてスポーツコーチとの協力体制も強化させています。これからのリハビリには、職種の垣根を越えた多角的なアプローチが必要不可欠だと考えるからです。