医師と一緒に諦めずに続ける
アトピー性皮膚炎の治療
しゅんしゅんキッズクリニック
(江戸川区/西葛西駅)
最終更新日:2021/10/12
- 保険診療
ハウスダストやダニ、花粉、特定の食品などが原因の激しい咳や肌荒れ、かゆみ、鼻詰まりなど、つらいアレルギー症状に苦しむ子どもが年々増加傾向にある。治療法の研究が進み、早期に症状を克服できる可能性が高まっている一方、子どもの治療に伴う家庭での毎日のケアに疲弊してしまう保護者も少なくない。江戸川区西葛西の「しゅんしゅんキッズクリニック」では、子どものアレルギー症状に対する保護者の十分な理解を促すため、じっくりと対話を重ね、保護者の不安を解消しながら「諦めずに継続するアレルギー治療」に力を注いでいる。今回は谷川俊太郎院長にアトピー性皮膚炎の話題を軸に、症状に伴う保護者の悩みや、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーとの関係、日常生活の注意点などについて詳しく話を聞いた。
(取材日2021年2月16日)
目次
保護者との確かな信頼関係のもとで治療をスタート。荒れた皮膚は食物アレルギーのリスク要因にも
- Q先生はアレルギー性疾患などの相談に積極的に対応していますね。
-
A
私自身も、子どもの頃に喘息やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎などに悩まされた経験があり、アレルギーを早い段階で克服するための手助けができればという思いで、患者さん親子と日々向き合っています。アレルギーは遺伝的要素が強く、赤ちゃんの頃から症状が出始めるケースが多いため、本人に頑張りを求めるのは難しく、保護者のモチベーションが保てないと治療はうまくいきません。だからこそ、最初にお母さんとじっくりお話をして、お子さんの症状とそれに見合った治療の選択肢、治療のおおよその見通しなどについて十分な情報提供を行った上で、信頼関係を築きながら進めることが大切だと思っています。
- Qアトピー性皮膚炎では、どんな症状が見受けられるのでしょうか?
-
A
肌の乾燥が治まらず、それに伴って湿疹が出て、かゆみに耐えられずについ肌をかき続けて出血してしまうといった症状のご相談が多いですね。起きている時間ならまだしも、寝ている間は本人も無意識のうちにかいてしまっているでしょうし、赤ちゃんであればなおさらやめさせるのは無理でしょう。かいてしまっている間は、いくら塗り薬を使ったところで改善しませんから、飲み薬を使ってかゆみを抑えつつ、爪を短く切ったり、赤ちゃんであれば手にミトンをつけたり、肌が露出しにくいようなタイトな衣服を選んで着せるなど、物理的に「かくことができにくい状態」をつくるためのちょっとした工夫を実践していきます。
- Qアトピー性皮膚炎が食物アレルギーを誘引するケースもあるとか。
-
A
アトピー性皮膚炎と食物アレルギーは、実は密接に関連しています。食事中の少量の食べこぼしが室内のほこりと混ざり、荒れてバリア機能が壊れた状態の皮膚に付着することによって、それを体が異質なものだと認識し、次に食べたときに体が拒絶してアレルギー反応を引き起こしてしまうわけです。アトピー性皮膚炎のお子さんはもともとアレルギーの素因があるので、単純に食事の際に口にしたもので拒絶反応が出てアレルギーを発症すること自体、ある程度はやむを得ないとしても、こうした皮膚を通しての食物アレルギーのリスクに関しては、日頃から肌の状態を整えることによって低減につなげることができるのです。
- Qアトピー性皮膚炎の具体的な治療について教えてください。
-
A
かゆみがひどいときにはかゆみ止めの内服薬を処方しますが、基本的には保湿剤と塗り薬の組み合わせで皮膚の状態をコントロールし、徐々に保湿剤だけでコントロールできる状態をめざします。塗り薬のステロイド剤は、味方にすればとても有用なお薬です。副作用などのネガティブなイメージから、ステロイド剤をできるだけ使わないように「悪くなったときにだけ塗る」と決めている方もいるようですが、悪化してからでは逆に使用期間が長引いて、皮膚が薄くなったり、毛が濃くなるといった副作用を引き起こしがちです。ステロイドは怖がらずにすぐ使えるように常備し、症状が気になったら早めに使って短期間で終わらせることを心がけましょう。
- Q日常生活での注意点や大切にしてほしいことはありますか?
-
A
赤ちゃんの皮膚はとても薄くてデリケートです。皮脂分泌も少なくバリア機能が不十分な状態ですから、アトピー性皮膚炎とは関係なく肌が荒れやすく皮膚トラブルが起こりやすいことはよく知られていますよね。先ほどお話しした皮膚を通した食物アレルギーのケースも、必ずしもアトピー性皮膚炎に限った話ではなく、乾燥肌のお子さんにも起こりやすいので注意が必要です。そうしたリスクも踏まえ、やはり日頃から清潔な状態を保ち、丁寧な保湿を習慣づけることで、ダメージのない肌の状態を保っていくことが重要です。「赤ちゃんの肌は荒れやすいものだから仕方ない」と油断せず、さまざまなリスクからお子さんの肌を大切に守ってあげてください。