血便は何科か迷ったら
がんの早期発見のためにも大腸内視鏡検査を
さなだ内科・消化器内科クリニック
(吹田市/北千里駅)
最終更新日:2023/04/14


- 保険診療
がんをはじめ、大腸の病気の早期発見に有用な大腸内視鏡検査。しかし、恐怖心や羞恥心を理由に避けられがちでもあるだろう。「さなだ内科・消化器内科クリニック」の真田徹院長は、「そもそも血便の症状があっても、何科を受診したらいいかわからない人もいるでしょう。ただ、便潜血がある人を検査すると半数ほどにポリープが、数パーセントに大腸がんが見つかるものです」と大腸内視鏡検査の重要性を語る。同院では苦痛の少ない大腸内視鏡検査に力を注ぎ、質にこだわった検査機器の導入や鎮静剤の使用はもちろん、消化器内科医として専門知識を持つ真田院長が、豊富な経験をもとに細心の注意を払って検査に臨んでいる。そこで今回は、実際にどんな流れで苦痛に配慮した検査が行われるのか、また、どんな人が検査適応になるのかなど、詳しく話を聞いた。
(取材日2020年10月27日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q大腸内視鏡検査を受けるべき人は、どのような人でしょうか。
-
A
一番は健康診断などの便潜血検査で陽性となった方ですね。次に、慢性的な下痢、ひどい便秘、便に血が認められるような症状がある方です。こうした場合は大腸に何らかの病変を抱えている可能性が考えられるので、検査をお勧めします。血便が出て何科に行けばいいかわからないという方がいらっしゃいますが、まずは「大腸内視鏡検査ができる消化器内科を受診してほしい」とお伝えしたいです。また、健診での異常や自覚症状がない場合も40歳を過ぎたら一度は検査をお勧めしたいですね。家族に大腸の病気や大腸がんを患った方がいらっしゃる場合は特に受けていただきたいです。大腸がんは一定の確率で遺伝的因子が関与しているともいわれています。
- Q大腸内視鏡検査では、どんな病気を見つけられるのでしょうか。
-
A
大腸にあるポリープや炎症、出血といった病変の観察・診断をすることができます。中でも大きな病気は? というと、大腸がんですね。大腸がんはがん死亡数の中で女性では1位、男女合わせると2位と、胃がんとともに発生率が高いがんといわれています。しかし、早期発見と早期治療により再発・転移を抑えることが期待できるがんでもあります。大腸がんの早期発見は大腸内視鏡検査でないと難しいといわれており、万が一見つかっても小さなものであれば、検査時に切除することが可能です。便潜血が陽性となった方の約半数程度にポリープが見つかり、数%の方に大腸がんが見つかります。放置することなく、検査を受けてもらいたいですね。
- Q検査時の痛みや苦しさに対して不安があります。
-
A
怖いイメージがある検査ですが、実際に受けていただけば「イメージしていたより怖くなかった」という場合が多いように思います。実際に、私自身も何度も経験していますが、苦痛で仕方なかったという経験はありませんので、まずはリラックスしていただきたいなと思います。とはいえ、大腸内視鏡検査独特の恥ずかしさや苦痛などは非常によく理解できますので、当院では、検査中の膨満感を減らすためのCO2送気装置や11.8mmの細い内視鏡スコープを導入し、さらに短い時間で正確な検査をするための技術の研鑽を常に行っています。また希望に合わせて鎮静剤も使用し、眠っている間に検査を終えることもできますので、ご安心ください。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診・事前説明
-
問診票を記入し、健康診断の結果や自覚症状などから大腸内視鏡検査を行うかどうかを決定。事前診察では、現在の内服薬や既往症の確認を行い、大腸内視鏡検査におけるリスクの有無の確認を行う。特に糖尿病の薬や血をサラサラにするための薬を内服している場合にはリスクが高くなるため、忘れずに申告しよう。検査に関する不安や疑問があれば、なんでも質問し、不安を解消しておくことが大切だ。
- 2腸内の洗浄
-
検査前日の3食は、野菜などの繊維質を含むもの以外を取ることを推奨している。就寝前に下剤の錠剤の内服。検査当日にはさらに腸管洗浄液を内服する。自宅での内服を希望する場合は指示どおりの時間に内服し、検査予定時刻の10分前に来院しよう。高齢者など、自宅での内服が難しく不安な人は院内での内服も可能。スタッフ付き添いのもと専用ブースで安心して内服できる。専用トイレもあるので、リラックスして準備しよう。
- 3いよいよ大腸内視鏡検査へ
-
鎮静剤を希望する場合には、点滴の管を留置する。針は細めなので、痛みはほとんどないという。鎮静剤を使用すれば、ここからはウトウトと眠ったような状態になる。体の状態を確認したら、内視鏡を挿入し、検査スタート。検査時間は通常10分~30分ほど。同院では画像強調機能の搭載された内視鏡を使用しており、短時間かつ、精密な検査が可能となっている。
- 4必要に応じてポリープを切除
-
検査の際にポリープを発見した場合には、その場で切除手術を行う。ポリープができる表層粘膜には痛みを感じる神経が通っていないため、痛みに対して怖がる必要はないそうだ。検査後、再度来院して手術という二度手間を省くことができ、体の負担も少ないのが大きなメリットだ。ただし、一度に切除できる個数に上限があるため、上限を超える場合は検査後に相談が必要となる。内視鏡で切除できない場合には、提携病院へ紹介となる。
- 5リカバリー室で休憩後、検査結果の説明を受ける
-
検査後はリカバリー室で休憩。休憩後は診察室へ移動し、モニターに映る画像を見ながら、真田院長より詳しい説明を受ける。ポリープなどを切除した場合には、運動や食事、アルコールの制限があるので術後のトラブルを避けるためにもしっかりと聞いておこう。鎮静剤を使用しなかった場合は、検査後すぐに帰路につくことができるそうだ。