マイクロスコープをフルに活用した
新たな歯科診療の方向性とは
神戸シティデンタルクリニック
(神戸市東灘区/住吉駅)
最終更新日:2025/01/08


- 保険診療
歯科情報を覗いていると、歯科用CTや口腔内スキャナ、CAD/CAMシステムなど、さまざまな先進設備のキーワードが飛び込んでくる。その中で目につくのが、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)という光学機器。高倍率ルーペと比較しても拡大率は2倍以上に及び、これを備えていることを歯科選びの基準の一つに考えている人も少なくないという。そんなマイクロスコープに多くの可能性を見出している一人が「神戸シティデンタルクリニック」の松本尊治(まつもと・たかはる)院長。4台ものマイクロスコープを導入し、さまざま場面で積極的に活用することで高精度な診療に役立てている。マイクロスコープがもたらす新時代の歯科診療とはどのようなものか、同院での使用例を含めてじっくり解説してもらった。
(取材日2023年12月22日)
目次
マイクロスコープは今や歯科の必需品となりつつある。メンテナンスでも活用の幅が広がる
- Qまずはマイクロスコープのメリットを教えてください。
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A
▲4つのユニットにはマイクロスコープを完備
私は勤務医時代に初めてマイクロスコープと出会いましたが、それまで使っていたルーペ(拡大鏡)とは明らかに次元が異なり、その鮮明さに驚いた覚えがあります。倍率の高さもさることながら、照明が奥まで届くため高い視認性や作業性が得られます。もう一つのメリットは、鮮明な拡大像をリアルタイムで患者さんに確認してもらえること。言葉だけではなかなか伝わらないことも、モニターに映し出せば百聞は一見にしかず、ありのままをご覧いただけます。グッドニュースであれバッドニュースであれ、ご自身の状態を知っていただくことは治療を進める上で重要なこと。視覚的情報による共通認識が、信頼関係の構築にも寄与すると私は考えています。
- Qこちらで受けられる根管治療について教えてください。
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A
▲マイクロスコープを使用事例を話す松本院長
根管とは歯の神経組織が入っている根っこの管のことで、虫歯菌や歯周病菌に感染すると炎症を起こして痛みや腫れが生じます。小さな破折から感染することもあり、誰もがなりうる病態といえます。根管治療では根幹内の感染源を完璧に除去する必要があり、そこで欠かせないのがマイクロスコープというわけです。かつては術者の経験や勘に頼っていたため、取り残しや削りすぎといった事態がどうしても起こりがちでした。マイクロスコープを用いることで、根管内が鮮明に確認でき、患部へのピンポイントなアクセスが可能になるため侵襲を最小限に抑えることにつながります。神経を不用意に傷つけることもなく、歯の長期保存にも有益といえるでしょう。
- Q他にはどのような治療に活用していますか?
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A
▲診察スペースは広々としており落ち着いた空間に
マイクロスコープは主として根管治療に用いられるイメージがありますが、決して限定されたものではなく、むしろ審査・診断に抜群の威力を発揮すると私は考えています。例えば歯に痛みがあるのにエックス線やCT撮影でも原因がわからず、虫歯でもない、歯周病でもないという症例。マイクロスコープでよく調べてみると、歯にごく小さなひびが入っていたというケースが多々あります。このような極小の破折や虫歯もマイクロスコープなら見逃しなく確認できるため、当院ではほとんどの症例で惜しむことなくマイクロスコープを活用しています。診断においてCTがすべてでないことを、ぜひ覚えておいてほしいと思います。
- Qこちらでは複数のマイクロスコープを導入していますね。
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A
▲あらゆる治療だけでなく審査・診断に抜群の威力を発揮する
当院では開院時からマイクロスコープの有益性に着目し、現在は4台をチェアごとに配備してあらゆる診療に活用しています。これだけメリットがあると考えている機器をもっと活用しないともったいないという考えで増設に踏み切りました。歯科医療の現場において、歯科医師がマイクロスコープを使うのは今や当たり前かと思います。これからは歯科衛生士が活用する時代で、実際に首都圏では、扱いを習得した歯科衛生士がメンテナンスなどに積極的に活用する現場が増えています。かつては目視だけで行っていた歯科衛生士も、今はみんなルーペを着用しているでしょう。それと同様の意識改革が、すでに始まっているわけですね。
- Qメンテナンスにおけるメリットを教えてください。
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A
▲マイクロスコープを使用する歯科衛生士の今後にも期待
マイクロスコープがあれば口腔内の状態チェックやスケーリングなどの精度向上に寄与し、どこに歯石がついているか、どう除去できたか、ビフォーアフターの変化まで患者さんとしっかり共有できると思います。患者さんが目で実感できることは、その後の定期受診の大きなモチベーションにつながるに違いないでしょう。歯科衛生士も近年は非常にプロフェッショナルな方向性をめざす傾向にあり、当院でも顕微鏡歯科医学の専門知識を得られるよう全力でバックアップしています。また院内だけでなく、いつかフリーの歯科衛生士になってもプロとして活躍し、歯科全体のスキルアップに貢献してほしいと願っています。
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マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。