和デンタルクリニック

堀之内和正 院長

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けやき並木が美しい早大通り沿いのビルの2階に「和デンタルクリニック」はある。ドアを開けると、そこには心地よいハワイアンミュージックが流れ、アロハプリントの服に身を包んだ堀之内和正院長が出迎えてくれた。「実は僕、ハワイに行ったことないんだけどね」と笑う目は優しく穏やかだ。ところが、取り組んでいる口臭外来に話が及ぶと、とたんに表情が引き締まり、「患者さんは生きるか死ぬかの思いでいらっしゃるんですよ」と、ドキリとするような言葉。はたしてクリニックが力を入れている口臭外来とはどのようなものなのだろう。先生の診療スタンスも併せて伺った。
(取材日2011年11月21日)

口臭の悩みを抱える患者には、性格の良い人が多い

―歯科医院でハワイアンミュージックとは、珍しいですね。先生のご趣味ですか?

この病院を始めた2000年頃は、こんな音楽をかけている医院は珍しかったと思います。患者さんがリラックスできる音楽を考えていたとき、「ハワイアンはどうかな?」と相談したら、ある患者さんが「それでいこうよ!」と、賛成してくれましてね。患者さんには好評ですよ。いつのまにか僕の着るものもこんなふうになっちゃった(笑)。院内にハワイの小物やレイなどが飾ってあるんですが、どれも患者さんが旅行に行った際、お土産に買ってきてくださったものなんです。患者さんと良い関係を築けた、僕の勲章ですね。

―開院に早稲田を選ばれた理由をお聞かせください。

以前は別の病院に勤めていたのですが、縁あって早稲田に移ってきました。以前ここで病院をやられていた先生が引退されることになり、そのあとを僕が引き継いだんです。前の先生の頃から通われている患者さんもいたので、医師が変わることでみなさんが戸惑わないよう、期待に応えられるようにと、がむしゃらに前へ進んできました。ビルの外の看板に、僕の顔写真とともに「まずはご希望をお聞かせください」と書いてあるんですが、その姿勢は開院当初から忘れないように心がけています。理想を言えば患者さん全員に喜んでほしいけど、どうしてもうまくコミュニケーションがとれないケースもありますよね。それをどれだけ減らせるか、患者さんの希望を聞きながら、いつも考えています。スタッフとも、「説明したつもりはやめよう」と話しているんですよ。「理解した」と「説明した」は違いますからね。患者さんの理解をしっかり確かめて、何事も想定外とは思わないようにしないと。早稲田の街はとても気に入っています。けやき並木もあって、街並みがきれいで静かですからね。当院は早稲田大学に近いので、患者には学生も多いんです。彼らのなかには、「どうしてここまで放っておいたんだ!」というような症状の患者さんもいたりしますが、「よおし、一緒に頑張ろう! 人生頑張らなくちゃいけないときがあるぞ!」と励ましながら治療にあたっています。これからの日本を背負っていく若者たちに、健康な歯で社会に出てほしいですからね。

―そもそも、先生が歯科医師を志したきっかけはなんだったのですか?

実はストレートに歯科医師を志したわけではないんです。大学も文系の社会学科で、卒業後は実家の家業であるオーダーメイドの絹糸を扱う仕事に就きました。しかし間もなく、家業の商売を今後も続けていくのはなかなか難しいと感じるように。そんな矢先、医師だった叔父の勧めもあり、方向転換を決意。もともと父方の親戚や兄弟には医療関係に従事している者が多く、幼い頃から、医療という世界、医師という仕事の苦労や喜びなどを耳にする機会も多かったんです。また弟が一足早く他の歯学部で学んでいたからでしょうか、知らず知らず医療人としての心の準備はできていたのかもしれません。遅いスタートだったこともあり苦労もしましたが、奨学金を受け、叔父と妻の母からの援助のおかげもあって、32歳で無事昭和大学歯学部を卒業しました。大事な時に必ず人との出会いがあり、応援を頂けたから今があります。今でも、歯科を志す以前夜中にジャズを聴きながらひとり静かにバーボンのグラスを傾けながら、絹糸で編み物をしていた頃のことが懐かしく思い出されます。



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