自分で治そうとせず医療機関にかかろう
傷痕の小さい「粉瘤」治療
クリニーク福岡天神
(福岡市中央区/天神駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
「粉瘤(ふんりゅう)」は、ほくろやイボのように皮膚表面にできるのではなく、皮膚内部にできるもの。一般的に“良性のできもの”とされるが、何かの拍子に破裂して化膿したり、中にたまった垢・脂・汗などが飛び出して嫌な臭いがしたり、痛みや不快感が出ることもあるのが特徴だ。そしてごくまれに実は悪性腫瘍だったというケースも報告されており、注意が必要だ。「クリニーク福岡天神」の粉瘤治療は、傷が目立ちにくい「くり抜き法」を採用し、全症例で悪性腫瘍か否かを調べる病理検査を実施している。同院グループの香藤憲一理事長に、粉瘤とはどのようなものか、同院で採用されている「くり抜き法」の詳細、診療で大切にしていることなどを聞いた。
(取材日2021年1月18日)
目次
「押し出す」「潰す」で悪化する危険性大。傷痕が小さい「くり抜き法」で除去を図り、病理検査も受けよう
- Q粉瘤とは何ですか?
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A
▲開放感のある入り口
ほくろやイボなどの次に多い“良性のできもの”が粉瘤です。ほくろやイボは皮膚表面にできますが、皮下にめり込むように袋状になっていて、皮膚の下に口のふさがった風船が埋まっているイメージのもの。その風船の中に垢や脂、汗などがどんどんたまって膨れ上がっていきます。私は乳児の頭大にまで巨大化した粉瘤の手術経験もありますよ。粉瘤はそこにあるだけなら問題ありませんが、何らかの原因で圧迫されて袋が破れ、長年蓄積された垢・脂・汗が噴き出すととても嫌な臭いがしますし、内部は不潔なためばい菌が入り込んで化膿することも。また、表に出てこず内側で風船が破裂して腫れて痛みが出る……などのトラブルが発生します。
- Qなりやすい人の特徴や、粉瘤ができたときの注意点は?
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A
▲清潔感あふれる受付
「毛が抜け落ちた毛穴にできる」「ウイルス性」「ぶつけた拍子にできる外傷性」など諸説あるものの、その真の原因は不明です。私はお子さんから高齢の方まで老若男女の粉瘤を診てきましたので、誰もがなり得る可能性のあるものだと思います。多発したり再発したりと繰り返す方もいらっしゃいますよ。中身を押し出したり潰したりして治るのではないかと考える方がいらっしゃいますが、一見ぺしゃんこになっても、袋があるので再発する可能性は高いでしょう。根本的な解決にはならず、逆にそのような行為が粉瘤を悪化させる原因になることも。気になってもなるべく触れたりせず、皮膚科を受診してください。
- Qどのような治療法がありますか?
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A
▲先進の設備を備えた処置室
塗り薬や内服薬、膿の一部を出すだけでは根本的な治療にはなりません。外科的に袋を取り除くための手術を行うのがベストだと考えます。局所麻酔をしてメスを使って行う術式が一般的ですが、例えば1cm大の粉瘤を除去するのに、倍ほどの大きさの傷を作らざるを得ないというデメリットがあります。私も勤務医時代にはこの方法で手術していましたが、良性のできものである粉瘤の見た目を気にして切ったのに、傷痕が残っては本末転倒だと考えました。そのため当院と、大阪・心斎橋本院および東京・名古屋など全国にある分院すべてで、全医師が「くり抜き法」という手法を用いて、粉瘤治療をご提供しています。
- Q「くり抜き法」とはどのようなものですか?
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A
▲経験豊富なドクターが粉瘤の日帰り手術を対応する
粉瘤に対し最大5mm程度の傷で、膿も内部の袋もすべて取り去ることを図る手術です。縫合が不必要な場合が大半となり、ニキビ痕くらいの小さい傷で目立ちにくいのが最大の特徴です。そして傷が小さいため出血が少なく、ばい菌が入り込んだり腫れ上がったりするトラブルのリスクも低いというメリットもあります。このほか、傷が小さいくり抜き法だと痛みが軽減されたり、傷がふさがるのも早かったりとさまざまな利点もありますね。くり抜き法を採用している医療機関は多くなく、私も開業後に独自に学んで習得した技術です。なお大きな粉瘤にはできない術式であり、粉瘤が小さいほど傷も小さくなるため、早期の受診・治療をご検討ください。
- Qこちらのクリニックが大切にしていることを教えてください。
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A
▲良性か悪性かをきちんと診断することが大切だと語る
粉瘤をきれいに取り去るという治療結果は大切です。そしてそれと同じくらい、取り除いた粉瘤が本当に“良性のできもの”なのかを検証することが大事だと考えていますので、全例病理検査に出しているのが当院の特徴です。大半が良性ですが、ごくまれに悪性腫瘍であったり、ある論文では粉瘤の影に隠れて悪性腫瘍が合併していたりするケースも報告されているんですよ。万が一悪性腫瘍であったら命に関わります。きれいに取り除いてご満足いただくのはもちろん、良性か悪性かをきちんと調べ患者さんにご安心いただきたいと思います。そして、皮膚科を専門とする医師として、検査結果をきちんと「読み取れる」のが当院の強みだと考えます。