母親と子どもを受け止め、寄り添う
食物アレルギーと食育
つばめこどもクリニック
(大和市/つきみ野駅)
最終更新日:2020/09/28


- 保険診療
食べたり触ったりした食物に対して体を守るために働くはずの免疫のシステムが過剰に反応して起こる食物アレルギー。消化の力が未熟な乳児期に発症することが多く、対応に悩む家庭も少なくない。田園都市線つきみの駅から徒歩約10分のクリニックモール2階に位置する「つばめこどもクリニック」の大坪慶輔院長は、小児科診療に加えアレルギーの診療にも注力する。専門知識や経験に加え、院長自身の子どもやスタッフの子どもも食物アレルギーをもち、当事者の立場としての患者家族に寄り添ったアドバイスもしてくれる。「今後は子どもの食育にも力を入れていきたい」と語る大坪院長に、食物アレルギーと食育について聞いた。 (取材日2020年3月24日)
目次
丁寧な診療に加え、当事者としての経験に基づいたアドバイスも
- Q子どものアレルギーが起こる原因と症状について教えてください。
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A
▲丁寧に説明をしてくれる大坪院長
子どものアレルギーは、食べたり、触ったり、吸い込んだ食べ物に対して体を守るために働くはずの免疫のシステムが過剰に反応して起こる疾患です。乳幼児の食物アレルギー原因となる食べ物は、卵、牛乳、小麦が多く、成長につれ、エビやカニ、そば、果物類などが原因になる傾向があります。食物アレルギーの多くは、乳児期に、かゆみや湿疹を繰り返すアトピー性皮膚炎として発症し、離乳食の時期には、原因となる食物を口にした時にじんましんや嘔吐、咳こみ、呼吸困難などの症状が出ることがあります。気になる症状がある場合は、かかりつけの小児科に早めに相談しましょう。
- Q食物アレルギーに関して、注意すべき点は?
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A
▲アレルギーには信頼できる小児科医師と一緒に向き合うことが大切
食物アレルギーは、がんのように「どんどん新薬が開発され治療も進化していく」という疾患ではないものの、さまざまな情報があふれているため、保護者の方はいろいろ悩んでしまうと思います。ひと昔前は、少しでも食物アレルギー反応が出たら直ちにその食べ物を口にすることをストップさせ、ある程度時間がたってから食べさせるという方法が一般的でしたが、必ずしもこのような「完全除去」が必要なケースばかりではありません。最終的な目標は、「安全に食べること」ですので、信頼できる医師を見つけ、定期的に通院しながら長い目で向き合っていくことが大切だと思います。
- Q食物負荷試験とは、どのようなことを行うのでしょうか。
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A
▲重度の場合は、専門機関と連携を取りながら治療を行う
負荷試験では、アレルギーが確定しているか疑われる食品を1回または複数回に分けて摂取させ、症状の出方を観察していきます。当院では、症状やアレルギー検査で「軽症」と診断した場合は、必要に応じて「卵だけ」「牛乳だけ」など1種類の食品に限って負荷試験を行っています。最初はごく少量からスタートし、2週間に一度のペースで通っていただきながら、アレルギー反応が起きるかどうかを確認しながら慎重に進めていきます。中程度以上の症状と判断した場合や、複数の食品で反応がある場合は、専門医療機関を紹介させていただいています。
- Q食物アレルギーの子どもには、食生活でどんな工夫ができますか?
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A
▲栄養バランスなども鑑みたアドバイスをくれる
食物アレルギーのお子さんのいるご家庭では、料理の時、材料などに配慮する必要があります。ガイドラインとして「小麦粉5gはちくわ1本に相当する」などが一目でわかるような換算表をお渡しして様子を見ていただきながら、調理の工夫をしていただくことになりますが、牛乳にアレルギーがある子には「カルシウムが不足しないよう大豆や魚介類をしっかり摂取する必要がある」など、その子の年齢や症状に応じ、注意点や代替となる食物の提案を行っています。食物アレルギーは、料理をするお母さんなど家族の方もいろいろ苦労されると思いますし、悩みや不安も多いと思います。「食育」の観点からも、丁寧に寄り添っていきたいと思います。
- Qこちらではどのような診療を受けることができますか?
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A
▲院長も同じ悩みを持つ一人として、不安を受け止めてくれる
実は、僕やスタッフの子どもも、食物アレルギーを持っているんです。当事者家族としての知識も豊富ですので、体験に基づいたアドバイスもさせていただいています。同じ食品でも、メーカーによって微妙に違いがあり、アレルギー反応が出る場合とそうでない場合があります。このような細かな情報も、患者さんと共有していきたいですね。食物アレルギーのお子さんはアトピー性皮膚炎を発症していることも多くあります。薬の塗り方などについても、体験に基づき丁寧にアドバイスさせていただいています。お子さんの目線、お母さん目線を大切に向きっていきたいですね。