術後のケアやリハビリも対応
人工膝関節置換術「TKA・UKA」
横浜町田関節脊椎病院
(町田市/すずかけ台駅)
最終更新日:2020/11/25


多くの人が悩む、変形性膝関節症や関節リウマチなどが原因の膝の痛み。投薬や注射、リハビリテーションなどの保存療法で症状が改善せず、生活に支障が生じる場合、あるいは変形が高度で保存療法の効果が見込めない場合には人工膝関節全置換術(TKA)や人工膝関節単顆置換術(UKA)という手術が検討される。人工関節と脊椎疾患を得意とする「横浜町田関節脊椎病院」では、日本整形外科学会整形外科専門医で、膝の治療に豊富な経験を持つ金川裕矢副院長が、この手術を数多く手がけている。「患者さんへの手術侵襲や痛みを最小限に抑え、その方に最も適した手術を行うことをモットーに手術を行っています」と語る金川副院長に、術後のケアや入院・リハビリにも対応する、同院の人工膝関節置換手術について取材した。 (取材日2020年7月30日)
目次
痛みや体への負担をできるだけ軽減して高齢者も受けられる。 変形性膝関節症などに対する人工膝関節置換術
- Q人工膝関節置換術とは、どのような手術なのでしょうか。
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A
▲一人ひとりに合わせた治療法を提案
人工膝関節置換術は膝の悪くなった部分を削り、金属のインプラント、人工の軟骨を挿入する手術です。以前は大がかりな手術とされていましたが、近年は手術の技術が発達し、患者さんにかかる負担も最小限になっています。例えば切開する皮膚や筋肉を最小限にとどめる最小侵襲手術(MIS)や、膝の内側のみを手術する部分的な人工膝関節置換術(UKA)などです。また、体力があり、重度の身体疾患がなければ90代でも手術が可能です。また両側とも変形がある場合、当院では変形や痛みの程度、年齢、体力を考慮し、可能であれば同時に両膝の手術を行っています。
- QMISという手術には、どのような特徴がありますか?
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A
▲専門の医師が迅速な検査・治療を行う
従来の手術より患者さんの負担が少ないという点です。人工膝関節全置換術(TKA)では、皮膚切開の傷口も約10cmと小さく、膝関節の切開方法も大腿四頭筋への侵襲を最小限にとどめる方法で行っています。また末期には至っていない変形性膝関節症や大腿骨内顆骨壊死の場合は、膝の内側部だけを人工関節に換える部分的な人工膝関節置換術(UKA)を行います。当院のUKAは皮膚切開が約7cmとTKAよりさらに小さく、膝関節の切開はやはり大腿四頭筋への侵襲を最小限にとどめるアプローチによって行います。術後出血も疼痛も少なく、術後の筋力の回復も早いため、術後10日~2週間ほどで退院する患者さんもいらっしゃいます。
- Qこちらは、術後の痛みの軽減にも尽力しているそうですね。
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A
▲適切な処置により、術後の痛みを軽減させることが可能
人工膝関節置換術は、整形外科手術の中でも術後の痛みが強い手術といわれてきました。痛みのため思うようにリハビリができないと、せっかくの手術が意味のないものになってしまいます。そこで、当院では手術時に関節周囲多剤注射、手術後1~2日間の持続硬膜外カテーテルによる鎮痛、作用点の異なるさまざまな鎮痛剤を併用する「多角的鎮痛法」により、術後の痛みをできる限り軽減するよう努めています。さらに術後の徹底したアイシング、薬剤や特殊な包帯圧迫法による術後の腫れの予防も重要と考えて実践しています。こうした対策により、術後の痛みの軽減に努めていますので、安心して手術を受けていただきたいですね。
- Q術前、術後の流れを教えてください。
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A
▲手術前後にはリハビリを行う
手術前に、全身状態を把握するための血液検査、心電図、胸のエックス線撮影と、膝の状態を詳しく把握するためのCT検査を行います。また人工関節の土台となる骨を強くしておくことは重要であるため、骨密度測定を行い、骨粗しょう症と診断された場合には術前に治療を始めます。人工膝関節置換術で手術した膝を有効に使えるようにするためには、手術前後のリハビリも非常に重要で、理学療法士の指導のもと膝の曲げ伸ばしの訓練、膝周囲の筋力訓練などを行います。人工膝関節置換術の入院期間は3~4週間が平均的ですが、術後の回復具合やリハビリの進行度合いによっては2週間程度で退院となることもあります。
- Q退院後のリハビリテーションや、生活の注意点は?
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A
▲退院後もリハビリや生活のアドバイスなど、フォローも欠かさない
手術した膝の機能を上げるために、退院後は通院でリハビリを週1~2回受け、自宅でも理学療法士の指導に従って自主トレーニングを行っていただきます。また退院後は、転倒しないように心がけ、飛んだり走ったり、膝に強い衝撃を加えるような運動や作業は可能な限り控えてください。ただし、歩くことに関してはどれだけ歩いても構いません。手術の傷が治っていれば、お風呂や温泉にも入れます。和式の生活スタイルの方は、洋式トイレを使用したり、ベッドで寝起きしたりするなど、洋式の生活スタイルに変えたほうが楽だと思います。また、感染症にかからないよう気をつけ、万一かかった場合は早急に内科を受診してください。