多様な原因で起こるアトピー性皮膚炎
正しい知識と生活改善が重要
神田ホリスティックひふ科
(千代田区/小川町駅)
最終更新日:2024/05/31
- 保険診療
かゆくて夜も眠れない、薬を塗るのをやめると再発してしまう、薬を長期間使うのは不安など、アトピー性皮膚炎に悩む患者は少なくないが、抱えている悩みはさまざま。さらに症状を引き起こす原因も多様で、ダニやほこりが原因となることもあれば、汗や乾燥が症状を引き起こすこともある。また、アトピー性皮膚炎の治療薬というとステロイド剤がすぐ思い浮かぶが、副作用を気にして使用に不安を抱く患者も多い。「神田ホリスティックひふ科」の若松順子院長は、自身も小さい頃からアトピー性皮膚炎に悩んでいたことから、患者の気持ちに寄り添った、丁寧な診療に力を入れている。現在は健康な肌を取り戻しているという院長に、この疾患の特徴や同院の診療について聞いた。
(取材日2020年2月26日)
目次
適切な薬の使用と正しいスキンケアで症状を抑えつつ、薬に頼らない状態をめざして生活改善の指導にも注力
- Qアトピー性皮膚炎とはどういった疾患ですか?
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A
アレルギー疾患の一つで、主な症状はかゆみを伴った湿疹です。顔や首回り、脇の下や肘の内側、腿のつけ根、膝の裏など特徴的な場所に左右対称で出ることが多いですね。症状としては赤いブツブツ(丘疹)、面で赤くなる紅斑、じゅくじゅくして引っかくと水分の出てくる湿疹などがあり、長引くとかきむしった皮膚がごわごわと固くなって苔癬化(たいせんか)と呼ばれる状態になり、湿疹は良くなっても色素沈着や瘢痕を残すことも。症状が良くなったり悪くなったり、繰り返すのも特徴で、なかなか治らず、慢性化しやすい疾患です。多くは乳幼児期に発症しますが、成人で発症する例もあり、一度治ったように見えてまた再発してくることもあります。
- Q何が原因と考えられますか?
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A
症状がさまざまであるように、原因も1つではなく、いくつもの要因が重なって症状が出てきます。大きく分けると、家族がアレルギー疾患を持っていたり、もともと皮膚のバリアー機能が低かったりする体質的な原因と、食べ物やダニ、汗、乾燥など外からの刺激でアレルギーを起こす環境的な原因の2つがあります。皮膚のバリアー機能はもとからの体質もありますが、外からの刺激で低下することもあります。私たちの皮膚は、体の中に何か入って来ないように、自分の皮脂などが表面を防御してバリアーを張っています。この機能が落ちると、皮膚の中にアレルギーのもととなる物質や刺激性の物質が入りやすくなってしまうのです。
- Q悪化させないために、日常生活での予防方法を教えてください。
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A
体が元気なことが予防につながるため、バランスの良い食事をよく噛んで食べ、睡眠・休養をしっかり取り、運動をすることが大切です。衣服は麻・綿など静電気が起きにくく肌触りの良い素材を選びましょう。洗剤やシャンプーなど普段使用しているもので悪化を招いていることも。髪の毛が顔や首に触れないようにする、花粉が原因ならマスクをするなど自分に必要なケアも心がけましょう。悪化しやすい時期は人それぞれで、汗の刺激に弱い方は夏、乾燥で悪化する方は冬が要注意。普段から自分の悪化ポイントを見極めることが大切です。また、必要以上に悩んでしまうことで治りづらい状態になることもあるため、健やかなメンタルを保つことも重要です。
- Qスキンケアのポイントを教えてください。
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A
まず冬の乾燥しやすい時期に悪化しやすい方は、せっけんで洗いすぎないこと。お皿を洗うときに水で落ちない油汚れがお湯だときれいになるように、お風呂のお湯につかるだけで体の油分と一緒に汚れも落ちていきます。基本的に、せっけんで洗うのはお尻や脇の下、股、手足など必要な部分だけで大丈夫です。逆に汗で症状の出る方は、夏にはシャワーなどで汗をこまめに流したいですね。紫外線には免疫抑制効果があり、アトピー性皮膚炎の治療に用いられることもありますが、過度な日焼けは炎症を起こすもとになるのでお勧めできません。当院では敏感肌用のスキンケア用品の紹介もしていますので、興味のある方はご相談いただければと思います。
- Qこちらのクリニックでの治療の特徴を教えてください。
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A
「ステロイド剤はあまり使いたくないが、ノンステロイドの治療はつらい」「薬をやめるとまた症状が出てしまう」など、患者さんによって悩みはそれぞれです。ですから、一人ひとりに合った方法で症状を抑えつつ、最終的には薬に頼らないことをめざし、生活する中で何に気をつければいいかをアドバイスしています。なるべく副作用を起こさないようにするステロイドの使い方や、メリット・デメリットも詳しくお伝えしていますし、ステロイドではない薬や注射薬も導入可能です。患者さんのニーズと状況に合わせてさまざまな治療法が選択できます。