脳卒中を起こさないために極めて重要
生活習慣病の予防・管理
頭とからだのクリニック かねなか脳神経外科
(中野区/新中野駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
企業健診や自治体の定期健診で血圧や血糖値が高いと指摘されている人も多いことだろう。高血圧症や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病は、単に内科の疾患ではなく、進行すると脳卒中を引き起こす原因ともなるそうだ。「頭とからだのクリニック かねなか脳神経外科」の金中直輔院長は、これまで複数の病院で重篤な脳疾患の治療に携わってきている。「脳卒中は生活習慣病によって引き起こされる動脈硬化の最終段階の症状です。そんな患者さんを数多く診てきた脳神経外科の医師だからこそできる、経験に基づいた生活習慣病の管理を行っていきたいと思います」と話す。同院の診療、生活習慣病と脳卒中の関係について詳しく話を聞いた。
(取材日2021年9月30日)
目次
高血圧や糖尿病、脂質異常症による動脈硬化が脳卒中を引き起こす原因に
- Qなぜ生活習慣病の治療に力を入れているのでしょうか。
-
A
▲これまで複数の病院で重篤な脳疾患の治療に携わってきた金中院長
これまで私は病院で重篤な脳卒中の治療に携わってきています。脳卒中を引き起こす大きな原因が動脈硬化です。いわば脳卒中は動脈硬化が進行した最終段階(終末像)といえるのです。そして、この動脈硬化を引き起こす要因が生活習慣病なのです。総合病院では脳卒中で搬送された患者さんを診るのですが、クリニックではまだ脳卒中になっていない元気な患者さんとも出会うわけです。地域のプライマリケアでは、そんな元気な患者さんが脳卒中にならないように生活習慣病を予防・管理することが重要だと思います。当院ではさまざまな脳卒中の症例を診てきた脳神経外科の医師だからこそできる、経験に基づいた生活習慣病の治療・管理を提供しています。
- Q生活習慣病は脳疾患との関連がとても深いのですね。
-
A
▲高血圧、糖尿病、脂質異常症が動脈硬化を引き起こす主な原因
生活習慣病、中でも高血圧、糖尿病、脂質異常症の3つが動脈硬化を引き起こす主な原因で、脳卒中の大きなリスクです。例えば高血圧が続くと、血管に絶えず高い圧力がかかるため、だんだん血管がもろくなり、脳の血管が破れてしまうと脳出血が起こります。また血管内にLDLコレステロールが増えると血管壁に血栓ができることにつながり、やがて血管が詰まってしまいます。それが脳の血管で起きれば脳梗塞となります。また、糖尿病の人はそうでない人と比べ、脳梗塞の発症率が2~4倍高いともいわれます。このように生活習慣病と脳疾患は深い関連があるのです。こういった事情から、より徹底した予防・管理が必要なのです。
- Qそもそも脳卒中とはどのような疾患ですか。
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A
▲頭痛の予防にも尽力している
脳卒中は脳血管障害とも呼ばれ、脳の血管が破れる脳出血、脳動脈瘤が破裂するくも膜下出血、脳の血管が詰まる脳梗塞の3つに分けられます。脳梗塞は、脳の動脈が詰まって酸素や栄養が行き届かなくなり脳の神経細胞が壊死する疾患です。脳梗塞には、首や脳の太い血管にできた動脈硬化によって血流が遮られて起こるアテローム血栓症脳梗塞や、脳の奥の細い血管が詰まるラクナ脳梗塞、さらに心房細動という不整脈によって心臓の血管内にできた血栓が脳の血管に飛んで脳梗塞を起こす心原性脳塞栓という3つのタイプがあります。当院では、この心原性脳塞栓を予防するために心房細動の管理も行っています。
- Q生活習慣ではどんなことに気をつければよいのでしょうか。
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A
▲患者の状態に即して薬物療法と生活指導を行う
食生活、運動、ストレス、飲酒、禁煙などです。食生活では脂っぽいものや塩分の濃いもの、甘いものを控えて、野菜や豆類、キノコ類などビタミンや食物繊維を多く含むものを積極的に取るようにしましょう。外食が多い、夜遅くに食べる、いつも早食いしている、常に満腹にならないと満足しないといった人も注意してください。肥満の人、特に内臓脂肪型肥満は、減量が必須です。運動は週に3~4回、30分程度の有酸素運動をするようにしましょう。ストレスはためこまず、過度の飲酒も避けること。もちろん禁煙は原則です。一度、脳卒中になった人は再発を防ぐために生活習慣病のコントロールと生活習慣の改善は重要です。
- Qこちらの治療方法について教えてください。
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A
▲生活習慣病の予防・管理が重要なことを多くの人に伝えたいと話す
患者さんの状態に即して管理目標値を決めて、薬物療法と生活指導を行います。管理目標値は、例えば脂質の場合では、その人が持っている危険因子や既往歴によって異なりますので、一人ひとりに適した目標を決めてそれに応じた治療を行います。脂質異常症の20%近くの人に遺伝的にコレステロールが高くなる家族性高コレステロール血症が隠れているといわれ、その場合は食事指導や生活指導だけでは改善が難しいので薬物療法を行います。血圧や血糖も然りです。患者さんは治療を惰性で行ったり自己流で行ったりしないことが大切です。医師とよく話し合い、何のために行うのか、どこに向かっているのか、ご自身でよく理解することが大切です。