全国のドクター9,201人の想いを取材
クリニック・病院 158,634件の情報を掲載(2024年4月24日現在)

  1. TOP
  2. 三重県
  3. 鈴鹿市
  4. 河曲駅
  5. ばんクリニック
  6. 伴 直昭 先生

伴 直昭 先生の独自取材記事

ばんクリニック

(鈴鹿市/河曲駅)

最終更新日:2021/10/12

伴直昭先生 ばんクリニック main

日本有数のレーシングコースがあることでも知られる鈴鹿市。市内を走る国道1号線に交わる県道沿線に「ばんクリニック」がある。もともとはその近辺で院長の伴英昭先生が小児科医院を開業していたが、息子の伴直昭先生が診療に加わることになり、移転して開業したのが同クリニックだ。小児科を伴院長が、内科・呼吸器内科・アレルギー科・皮膚科を直昭先生が受け持ち、医師2人体制で地域の人々の健康を支えている。同クリニックを代表して、伴直昭先生に話を聞いた。

(取材日2019年10月25日)

患者の症状や事情に沿った治療を提供したい

医師を志したきっかけと、呼吸器内科を選んだ理由を教えてください。

伴直昭先生 ばんクリニック1

私が小学校低学年のときに、父が自宅の隣に医院を開業しました。父が医師として働いている姿を幼い頃からずっと見てきたので、自然に医療の道を志しましたね。専門を最終的に決めたのは、研修医の頃です。呼吸器内科は、慢性期の病気も急性期の病気も診ることができますし、がんなどの腫瘍性の疾患もあります。全身を幅広く診られることに興味を惹かれました。

呼吸器内科の中でも、特に専門としている分野はありますか。

大学院では高齢者喘息を研究していました。今まで喘息と診断されずに見過ごされてきた方でも、高齢になってから咳が止まらなくなったことから喘息と判明するパターンが多いんです。高齢者喘息は治りにくいことがありますので、しっかり治療しなければいけません。また、喘息まで進行していなくとも、その前段階の咳喘息という疾患である可能性もあります。咳喘息が喘息に移行してしまうこともありますので、気管支喘息と同様にしっかりと治療をする必要があります。

喘息の治療はどのように行うのでしょうか。

伴直昭先生 ばんクリニック2

基本的には吸入ステロイドですね。これは基本的には妊婦さんなどでも吸入可能な、幅広い患者さんに使えるものです。ただし、うまく吸えないとまったく意味がないんですね。高齢の方の場合は吸う力が弱い方が多いので、ある程度吸う力が必要なドライパウダーの使用が難しい場合には、噴射タイプのものを使っていただきます。また、吸引した後はうがいが必要なのですが、うがいが難しい方の場合は、吸入ステロイドを諦めて、作用は吸入薬よりも穏やかではありますが、飲み薬や張り薬を使います。喘息といっても、一人ひとり症状が違いますし、事情がさまざまに異なりますので、患者さんに合わせた治療を提供していく必要があります。

症状が回復に向かっていると感じたら、薬の吸入をやめてもいいのでしょうか。

喘息は、症状を抑えることは望めても、完全に治る方のほうが少ないともいわれる疾患なんです。自己判断で通院をやめてしまうとそれまでの治療が無駄になってしまいますので、必ずかかりつけの先生にご相談いただきたいですね。もちろん、吸入をだらだらと続ければいいというものではなくて、症状の変化に合わせて薬の量も変えていく必要があります。私の治療では、できるだけ少ない薬の量で症状を安定させていくことが目標です。

呼吸器内科として患者の全身管理に注力

禁煙治療にも力を入れていますね。喫煙と喘息などの関連性もあるのでしょうか。

伴直昭先生 ばんクリニック3

喫煙は吸入ステロイドの作用にも悪い影響を与えてしまいますので、タバコを吸われている方ならまず禁煙していただくのが、喘息の治療の基本です。禁煙しないことには、何も始まりません。タバコを吸っている方の気管支は、煙の刺激によって気管支が炎症を起こしていることが多いんですね。タバコの煙には、ニコチン、タール、一酸化炭素や、発がん性物質などの有害な成分が含まれていますから。喘息の患者さんご本人がタバコを吸っていなくても、家族に喫煙者がいれば、治療に影響を与えると考えられます。また、喫煙は糖尿病や認知症との関連性も指摘されています。さらに、お子さんの場合ですと、家族のどなたかが喫煙していてその副流煙を吸い込むことが、正常な発育を妨げる一因となることも考えられます。タバコは百害あって一利なしです。

アレルギー科として取り組んでいる治療はありますか。

スギとダニによって引き起こされるアレルギーに対しては、舌下免疫療法に取り組んでいます。これは、例えばスギであれば、微量のスギのエキスが入った錠剤を毎日服用していただくものです。この治療の目的としては、アレルゲンに免疫をつけていき、実際のスギ花粉を浴びても症状が出ないように、または和らぐようにしていこうということですね。治療期間は3年から5年とやや長いのですが、アレルギーを根本から治療できる可能性が出てきました。ただし、もともとアレルギー反応がある方に微量とはいえアレルゲンを投与するので、どうしても喉の違和感や、耳の中のかゆみ、舌下の腫れといった副作用が出ます。当クリニックでは、錠剤の服用を始めてから4週間は、アレルギーのお薬を併用していただいています。

睡眠時無呼吸症候群の治療もしているそうですね。

伴直昭先生 ばんクリニック4

はい。患者さんのご自宅で簡易にできる検査があります。検査方法としては、鼻にチューブを、指に酸素のセンサーをつけていただいた状態で、1晩、2晩眠っていただきます。そして、機器で1晩に何回、無呼吸があるかを計測し、その結果から重症度を判定していきます。睡眠時無呼吸症候群を甘く見てはいけません。放置すると、突然死の原因になることもあるのです。また、高血圧や糖尿病などのさまざまな合併症を引き起こす可能性もあります。実際に、高血圧で、いろいろな薬を服用してもいっこうに変化がないので、お話をよくよく伺ってみると、眠っているときにいびきをかいているとおっしゃる。そこで検査をしてみたら、睡眠時無呼吸症候群だったという患者さんもいらっしゃいますよ。

小さいことでも見逃さずに拾い上げて精査していきたい

風邪や咳などで来院した人の中にも、睡眠時無呼吸症候群が疑われる人はいそうですね。

伴直昭先生 ばんクリニック5

当クリニックでは、初診の方の問診表に、睡眠時無呼吸症候群に関する質問を載せています。質問には「いびきをかいているか」「夜はぐっすり眠れているか」など何項目かありまして、点数化しています。ですので、別の主訴で来院された場合でも、睡眠時無呼吸症候群に気づきやすいような仕組みになっているんです。もちろん、もともと症状の訴えがある方には、初めから説明させていただいています。

診療の際に心がけていることはありますか。

受診された方には満足して帰っていただきたいので、患者さんが何を求めて来院してくださったのかを、お話を伺いながらまずしっかりと把握して、そこから適切な検査・治療に移行していけるようにしています。主訴の背景に何があるかを考えながら、小さいことでも見逃さないように拾い上げて精査することが大切だと思っています。そして、投薬内容なども、患者さんとしっかりご相談させていただいて、その薬が本当に必要なのかどうかを判断するようにしています。患者さんには、納得して帰っていただきたいですから。

今後の目標について教えてください。

伴直昭先生 ばんクリニック6

呼吸器に関わる疾患だけでなく、内科として風邪や、高血圧・糖尿病などの生活習慣病で来院される患者さんも多いので、健康相談も行わせていただきたいと思っています。受診していただいて、例えば血圧が高い方なら、食生活で何に気をつければいいか、生活習慣をどのように改善すればいいかなど、一人ひとりに合わせて提案させていただきたいです。

読者へのメッセージをお願いします。

当クリニックは、患者さんに納得していただいて、また継続して来院していただけることをめざしています。「先生が全然話を聞いてくれないから他のところへ行こう」と患者さんに思わせてしまうことが、一番悲しいですから。内科として幅広く対応していますので、気になる症状があれば、一度ご相談ください。その際に、今後の治療方針などもしっかり説明させていただきます。さらに詳しい検査が必要と判断すれば、適した医療機関をご紹介します。

Access