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中村 仁美 院長の独自取材記事

六本松ひとみ泌尿器科

(福岡市中央区/六本松駅)

最終更新日:2021/10/12

中村仁美院長 六本松ひとみ泌尿器科 main

福岡市営地下鉄七隈線の六本松駅2番出口から徒歩約3分。国道202号と城南線が交わる大きな交差点に立つビル3階に、「六本松ひとみ泌尿器科」はある。ここは、女性医師による泌尿器科。泌尿器科を受診するのにためらいがあった女性たちも多く通うクリニックだ。開業から1年、日本泌尿器科学会泌尿器科専門医の中村仁美院長が、「デリケートな問題だからこそ、患者さんの話を丁寧に伺い、一人ひとりに合った治療や対処法を提案したい」と、相談しやすい雰囲気づくりを心がけながら診療にあたっている。そんな中村院長に、泌尿器科を選んだ理由、診療・検査の内容、女性に多い病気などについて詳しく聞いた。

(取材日2020年10月15日)

女性医師の診療で、泌尿器科の受診ハードルを下げたい

最初に、医師をめざした理由からお聞かせください。

中村仁美院長 六本松ひとみ泌尿器科1

物心ついた頃から普段見られないものを見てみたいという好奇心が強く、体の中の仕組みにも興味津々でした。高校生の頃家庭教師の先生が医学部だったので、大学での授業や実習の話をいろいろ聞かせてもらううちに人の体への興味をかき立てられたというのが正直なところです。こう言うと、かなり変わった人みたいですね(笑)。

これまで何度も受けた質問でしょうが、なぜ泌尿器科を選ばれたのですか?

もともと外科系を志望していましたが、私が大学生だった当時は、患者さんが治療をするに至るまでに内科や外科を行き来することがよくありました。その点泌尿器科は、病気を見つけて、手術して、抗がん剤治療して……と患者さんを最初から最後まで診られる科、そんなふうに感じました。内視鏡や開腹など、手がける手術の種類が多いのも興味を引きましたね。そしてやはり、泌尿器科には女性医師が少ないことが最大の理由です。女性がかかりやすい病気がたくさんある領域なのに、女性医師が少ないことで泌尿器科を受診するハードルが高くなっているのではないか、我慢している女性が大勢いるのではないかと。少しでもその受け皿になろうと泌尿器科を選び、産業医科大学卒業後、同大学病院泌尿器科、宗像水光会総合病院泌尿器科などで10年以上、がんや結石、排尿に関する病気の治療や手術に携わってきました。

開業されたのはなぜでしょう。

中村仁美院長 六本松ひとみ泌尿器科2

大学を卒業してから開業するまでの間、働き世代の方から健康相談を受ける機会が多かったんです。その時にお話しする方々は、特に病院に行こうと思っている方々ではありませんでしたが、私が泌尿器科の医師だとわかると、「少し尿漏れするんだけど、どうすればいいの?」「トイレに行く回数が多すぎて困っている」「健康診断で尿潜血と出たけれど、どの科を受診したらいい?」など、驚くほどたくさんの質問をしていただきました。排尿に関して皆さん不安や疑問を抱えながらも、相談する先がなかったんだと思います。排尿の悩みは私が思っている以上にデリケートな問題で、泌尿器科を受診できない方が多くいらっしゃることを痛感しました。こういう方たちにわかりやすく説明を尽くすには、外来に特化するしかないと考え開業に至りました。

開業されて1年、どのような患者さんが来られますか?

現在、当院の患者さんは女性が9割を占めます。女性医師を探して遠方から来られる方、20~60代の若い世代の方が多いです。これまで1人で悩んできた方が、女性医師の泌尿器科、ということで受診するきっかけになるのであれば、これほどうれしいことはありません。男女問わず、来院いただく皆さんが笑顔で毎日を過ごせるようサポートさせていただきたいと思っています。

診療の基本は問診と尿検査。尿漏れには体操も併用

泌尿器科を受診すると、まず何をするのでしょうか?

中村仁美院長 六本松ひとみ泌尿器科3

泌尿器科は、主に排尿に関するトラブルを診療する科と言えるでしょう。尿漏れ、頻尿、血尿(尿潜血)、膀胱炎、前立腺炎、尿道炎、性感染症、前立腺肥大症、骨盤臓器脱、尿路結石……さまざまな疾患に対応します。初めて泌尿器科を受診される方が一番不安に思われるのは、どんな検査をするの? ということではないでしょうか。当院では、問診と尿検査が基本。日常生活で困っていることを丁寧に伺い、尿検査である程度病名の想定をつけ、診察を行います。必要であれば、超音波(エコー)、膀胱用内視鏡を使って検査することも。当院で多いのは、膀胱炎、頻尿、尿漏れ、そして性感染症ですね。健康診断で尿潜血を指摘された方も、泌尿器科を受診してください。がんや骨盤臓器脱など手術が必要な場合は近隣の大きな病院を紹介させていただきます。

女性に多い尿漏れの原因、治療方法について教えてください。

女性の尿道は男性に比べて4分の1ほどしかなく、また出産や加齢などにより骨盤底筋の筋力低下も起きやすいため、そもそも女性は尿漏れが起きやすいのです。中でも、咳やくしゃみをした時、ランニング中、重い物を持ち上げた時などおなかに力が入った時に尿が漏れる腹圧性尿失禁は、特に40代以上の女性の多くが悩んでいるといわれています。治療方法としては、主に生活習慣改善、内服治療、手術です。そこに骨盤底筋体操などのトレーニングを取り入れていきます。膀胱の緊張を抑え尿道の締まりをよくする目的の薬を服用しながら、膀胱や子宮を支える骨盤底筋を鍛えるための体操や、尿意を我慢しながら少しずつ膀胱に尿をためることができるようにするための訓練を行います。1人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。

骨盤底筋体操とはよく聞きますが、なかなか難しいですよね。

中村仁美院長 六本松ひとみ泌尿器科4

「おしりの穴をぎゅっと閉める感覚で」とお話ししたりしますが、高齢の方は特にその感覚がわからないようです。骨盤底筋とは、骨盤の下にハンモック状にある筋肉のこと。正しい方法で鍛えれば、2~3ヵ月で変化が見込めます。当院では内診の際、力の入れ方を教えて差し上げることも。これは女性医師ならではかもしれません。尿漏れは完治の線引きが難しく、人によってさまざま。薬を服用したり、減らしたり、漢方に切り替えたりしながら、長い目で“症状をコントロールしていく”と考えたほうがよいかもしれません。治療のゴールは、日常生活の中で尿漏れに困らなくなることだと思います。もちろん症状のコントロールに手術が必要な場合は、早期に紹介することを検討します。また基本的なことですが、膀胱は内臓の中でも下にある臓器なので、内臓脂肪が増えると下に押されて尿漏れを起こしやすくなります。肥満、便秘など生活習慣の改善にも努めたいですね。

頻尿や膀胱炎に隠れた病気。早めの検査を

その他、患者さんの主訴で多いものは何ですか?

中村仁美院長 六本松ひとみ泌尿器科5

排尿時に痛む、頻尿、残尿感があるなどの症状がみられる膀胱炎です。尿道の外から膀胱へ細菌が入り込み炎症を起こす病気で、女性に多くみられます。多少細菌が入っても通常感染は起こしませんが、疲れがたまったりトイレを我慢していたりすると発症してしまいます。抗生物質の服用で対処できますが、膀胱炎は繰り返しやすい場合もあるので注意が必要です。治りが悪くて検査してみると、クラミジア感染症などの性感染症にかかっているケースもあります。また、当院に来院される男性は、性感染症や排尿痛、前立腺肥大症などの患者さんが多いです。若い世代の男性は、性感染症が多い印象です。当院は女性専用クリニックではありませんので、男性もお困りのことがあればご来院ください。

ちなみに、プライベートはどのように過ごされていますか?

兄夫婦が近くに住んでいるのですが、私は2歳のめいを溺愛中です(笑)。めいがブロック遊びをしている横で、それをじっと見ているだけですが、本当にかわいくて。義姉がごはんを作っている間、めいの相手をしているひとときが、ただただ幸せですね。ほかに趣味といったら、月1回のゴルフくらいで。まだ開業から1年なので、診療のほうに集中したいと思っています。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

中村仁美院長 六本松ひとみ泌尿器科6

女性医師が常駐している泌尿器科の開業医は、まだ珍しいと思います。当院は特殊な検査や治療をするクリニックではありませんが、このクリニックがきっかけとなって、皆さんの生活が少しでも楽になるような治療を提供したいと考えています。例えば頻尿の悩みで来院されて尿検査を行ったところ、尿潜血の結果が出て、ほかの病気の発見につながるようなケースもあります。診療の際はお気軽に、泌尿器科以外のことでも気になることがあればお話しくださいね。女性医師として、街の泌尿器科クリニックとして、皆さんのお近くでサポートできるよう力を尽くします。

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