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谷本 啓爾 所長の独自取材記事

おおさか内分泌診療所

(大阪市北区/北新地駅)

最終更新日:2023/11/13

谷本啓爾所長 おおさか内分泌診療所 main

北新地駅をはじめ、複数の駅から徒歩数分にある「おおさか内分泌診療所」。茶屋町から移転した内分泌領域に特化した診療所で、甲状腺や下垂体、副腎などホルモン分泌に関わる臓器の疾患に特化した診療所で、大きな病院へ行かずとも、専門的な検査や治療を受けられるのが特徴だ。所長の谷本啓爾(けいじ)先生は、学生時代から内分泌のメカニズムに惹かれ、この道一筋に探究してきたスペシャリスト。診断が難しい内分泌疾患を正確に見極めるため、コミュニケーションを何より大切にしているという谷本先生に、診療へかける想いを語ってもらった。

(取材日2023年10月6日)

堂島に移転リニューアル開院。より通いやすい施設に

内分泌疾患に特化した診療所ですね。2023年10月には移転リニューアル開院となりました。

谷本啓爾所長 おおさか内分泌診療所1

当診療所は一般内科を診療せず、甲状腺、副甲状腺、下垂体、副腎、性腺などの内分泌疾患を専門的に診ています。代表的な病気は橋本病、バセドウ病、下垂体機能低下症、高プロラクチン血症など。大きな病院で診てもらうことの多い病気ですが、紹介状が必要だったり、検査に時間がかかったりで気軽に受診しづらいのが難点です。患者さんにとって身近な存在の診療所をつくりたくて2019年に梅田・茶屋町にて開院し、2023年10月2日より移転リニューアル先の堂島で診療を行っています。新しい診療所はオフィス街にあり、近隣で働く患者さんも多いようで「より通いやすくなった」と言われることも。1階のため初来院の方でも見つけやすくなりました。

診療の特徴と新しい施設についてご紹介ください。

血中ホルモンを測定する血液検査、甲状腺超音波検査、細胞診など、内分泌疾患の診断に必要なほとんどの検査を院内で実施し、結果は原則的に検査後1時間ほどでお伝えしています。内分泌疾患は症状だけでは診断がつきにくく、いろいろな診療科を回っても原因が特定できず不安を感じている患者さんも多いので、その日に検査結果がわかるのは大きなメリットだと考えます。また薬を注射してホルモンの変化を診る「負荷試験」という特殊な検査も行っていて、これは内分泌を専門とする当診療所ならではです。移転後の新診療所はフロアがとても広く、天井が高いのも特長。所内滞在時間もゆったりお過ごしいただけるよう広い待合室を設けたほか、中待合も造り患者さんの動線にも配慮しました。受付カウンターはお城の石垣をモチーフにするなど和テイストにしたのもこだわりの一つです。

どのような患者さんが、どんな症状で受診されていますか?

谷本啓爾所長 おおさか内分泌診療所2

女性に多い病気のため女性が8~9割を占めますが、男性患者さんの数も増えています。年代は20~80代まで幅広く、健診で指摘を受けて来られる方も少なくありません。症状についてですが、ホルモンは血液を通して全身を流れて作用するため、人によって出方が異なり、一概に言えないのが難しいところ。例えば甲状腺ホルモンには活動性を高める働きがあり、これが増える病気だと頻脈、体重の減少、手の震えなどが出ますし、少なくなると逆に脈が遅くなり、むくみ、便秘になるのが一般的です。しかし、バセドウ病など甲状腺ホルモンが増える病気でむくむ人もいて、専門家でも判断が難しい場合があるのです。診療の流れとしては、問診、診察、甲状腺の超音波検査、血液検査という順で進め、さまざまな可能性の中から病気を見極めます。検査の結果、外科的処置などが必要なら、内分泌疾患の手術が可能な病院を患者さんとご相談の上、紹介します。

専門性とコミュニケーション力を生かした診療

なぜ、内分泌を専門に選んだのですか?

谷本啓爾所長 おおさか内分泌診療所3

学生時代に受けた講義がとても興味深かったのです。内分泌疾患はホルモンの分泌が影響していて、例えば甲状腺からのホルモンの分泌が少ないと、頭の下垂体から出る甲状腺刺激ホルモンは増えますし、その逆のパターン、あるいは両方のホルモンが少なくなるパターンなど、いろいろな組み合わせがあり、それがさまざまな症状となって現れます。このメカニズムは非常に奥が深いもので、講義を受けてすぐに「これを専門にしよう」と決断しました。大学を卒業後、他の分野に誘われたこともありましたが、内分泌は学べば学ぶほど面白かったので決意は変わりませんでしたね。

内分泌疾患にはいろいろな病気があり、診断には知識と経験を要するのですね。

希少疾患も多い領域の中で、すべてのホルモンの働きをコントロールしている中枢である下垂体を特に専門的に学びました。下垂体のことを知っていれば、内分泌領域で多い甲状腺も含めたいろんな疾患に対応できます。すべてに責任を持って診療することを目標に研鑽を積む中、今のような検査機器がない時代から研究や診療を重ねてこられた東京女子医科大学の高野加寿恵教授、肥塚直美教授に師事したことも貴重な経験でした。そして診断で重要なのはコミュニケーション力。ホルモンの数値は風邪やダイエット中など生活状況で変動し、妊娠や閉経なども大きく影響します。また副腎ホルモンは朝高く夜低いため時間軸も見ながら、個々人の状況をよく聞き総合的に判断しなければ、症状とホルモンの解釈を見誤ってしまいます。妊娠の可能性が高まる結婚などライフスタイルの変化をつかむため、診療には時間をかけ、なるべく話しやすい雰囲気をつくっています。

妊婦さんやこれから妊娠を希望している方の受診も多いと伺いました。

谷本啓爾所長 おおさか内分泌診療所4

もともと甲状腺の病気がある方はもちろん、不妊治療を行うクリニックが多いという土地柄もあり、不妊治療中に疾患が見つかった方がご紹介で来られるケースもとても多くなっています。妊娠前や妊娠中に疾患が見つかったことをきっかけに当診療所に通院し始め、出産後も継続して来られる方も非常に多いですね。妊娠中のホルモン管理、産後のさまざまな不安や疑問に関してもご安心いただけるよう、産婦人科医師による診療も行っています。エコー検査では赤ちゃんの甲状腺も診るなど、安心して妊娠期間を過ごせるよう全面的にサポートしていきたいと考えています。また最近では妊娠と甲状腺が深く関連することが知られるようになり、これから妊娠を希望される方の受診も増えています。甲状腺ホルモンが少ないと不妊や流産のリスクが高まるといわれていますから、妊娠適齢期の方で不安があれば一度検査することをお勧めします。

もっと内分泌疾患を知ってもらい、診療するのが目標

どのようなときに検査を受けるべきでしょうか?

谷本啓爾所長 おおさか内分泌診療所5

内分泌疾患の症状は実にさまざま。気になる症状があれば、まずは風邪を診てもらうのと同じ感覚で、気軽に来ていただきたいですね。検査の結果、異常が見つかればここで治療し、問題なければ「大丈夫ですよ」とはっきり言えるのも私の強みであり役割です。「治りますか?」という質問に答えるのは最も難しいことですが、治療はもちろん経過観察や定期検査も含めて、病気と上手に付き合っていけるよう力を尽くします。

今後の展望をお聞かせください。

当診療所は私と女性医師、非常勤の産婦人科医師のほか、内分泌領域の専門家にすべく育成中の医師が1人います。内分泌疾患に特化した施設としてご満足いただけるよう診療を提供する義務がありますから、その医師は外来診療は行わず、患者さんの見えない場所で検査や診断のスキルを磨いています。経験を積んだ後、当診療所でデビューするのか、別の場所で診療するのかは本人次第。ただ、世の中に必要とされる専門家を育成することも、私の使命であると考えています。また当診療所のスタッフは、マスク着用下でもすてきな笑顔を伝えられ、患者さんからのご質問にも答えられる医療知識を持つ優秀な人材ばかり。その長所を生かしつつ、さらにレベルを上げていけるような取り組みをしていきたいです。

読者へのメッセージをお願いいたします。

谷本啓爾所長 おおさか内分泌診療所6

内分泌疾患は、検査してみないとわからないという面があります。一方でネット情報などではさまざまな病気の可能性が示されるなど、不安になることも多いでしょう。まずは病気かどうかを検査ではっきりさせ、そして病気であるなら治療をしながら一生うまくお付き合いしていくことをめざす。その空間を快適に提供できる、行くのが楽しみな、まるで「テーマパーク」のような診療所をめざしています。一般の方からするとまだまだ「内分泌」という言葉自体になじみがないため、「もっと内分泌の診療をしたい、もっと知ってほしい」というのが私の願い。何かわからない症状があれば大きな病院にと思っている人に対して、「あそこの診療所でしっかり診てもらえるよ」と紹介してもらえるようにしていきたいです。

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