生活習慣に関するアドバイスも
全身の健康に着目した歯科診療
デンタルクリニック伏木 日野旭が丘
(日野市/豊田駅)
最終更新日:2024/02/08
- 保険診療
口は栄養摂取の入り口で、全身の「ヘルスゲートキーパー」の役割を担う一方、世間一般に「口の中のトラブルは歯科、体のことは医科」と区別して考えがち。しかし、虫歯や歯周病も感染症の一種であり、全身の健康に着目しながら、その予防、改善を図ることが大切だという。顎関節症も、下半身、骨盤、脊柱から頭部までのつながりの中で引き起こされる恐れがあり、脚の長さの左右差や背骨のゆがみに起因しているケースも考えられるという。日野市にある「デンタルクリニック伏木 日野旭が丘」では、患者の口腔内はもちろん、食生活や睡眠といった生活習慣にまで目を向けた歯科診療に注力している。口の中を診るだけにとどまらず、全身状態を考慮してアプローチする歯科診療のメリットについて、院長の伏木友佳子先生に詳しく聞いた。
(取材日2023年11月13日)
目次
口腔内だけでなく、生活習慣にも着目したアプローチで、トラブルの少ない口元づくりをめざす
- Qこちらは歯科医院ですが、生活習慣にも着目しているそうですね。
-
A
口の中に起こる病気には、虫歯や歯周病のような感染症の一種であるものと、物を噛むことや呼吸機能といった負荷による顎関節症などの力学・骨格系の乱れが影響しているもの、大きく分けてその2種類があります。特に虫歯や歯周病は感染症の一種ですので、歯科領域に関わらず、さまざまな全身の病気につながる恐れがあることが懸念されています。ですから当院では、口腔内と全身はつながっているという観点に立ち、患者さんの日々の食事や睡眠の状態といった生活習慣にまで目を向け、トラブルの少ない口元づくりをサポートしています。
- Q歯だけを診る診療にはどんなリスクが潜んでいるのですか?
-
A
虫歯や歯周病を防ぐためにクリーニングを行ったり、薬を使って細菌の動きの抑制を図ったりするインフェクションコントロールが盛んに行われますが、果たしてそれで十分と言い切れるでしょうか。昔からよく「虫歯になるから甘い物を食べるのを控えましょう」と言われてきましたが、その本当の理由は砂糖を多く含んだお菓子類を取り過ぎると、口の中の細菌のバランスが乱れてしまうから、というのが私の考え方。ですから、口の中、歯の状態だけを診て一時的にきれいな状態をつくれたとしても根本的な解決には至らず、同じトラブルを何度も繰り返すという負のループに陥る恐れがあるのです。
- Q具体的にはどのように診療を進めていくのでしょうか?
-
A
患者さんのお口の状態にもよりますが、歯科的に必要な処置と併せて栄養面のお話をします。1日のタイムスケジュールを聞き取らせていただきながら、水分摂取でどんなものを飲んでいるか、日々の食事の傾向と食べる時間、通勤手段、睡眠時間、アルコールやカフェインなど嗜好品に関することまで、詳細に把握した上で、患者さんのお口の中の状態などに照らし合わせて、改善したほうがいいポイントを洗い出していきます。じっくりお話ししていきながら、取り入れやすいところから変えてみることを試みても良いでしょう。例えば、飲み物をジュースから水に変えたり、その取り組み方もさまざまです。
- Q患者さんはどのようなタイミングで受診すれば良いのでしょうか?
-
A
特にトラブルがなく、セルフケアがきちんとできている状態ならば、半年に1回の定期チェックで十分だと思います。一般的には歯科医院での定期検診を3~4ヵ月に1度行うのが理想的とされていますが、その基準となっているのは、口の中の細菌を何らかの歯科的処置で取り除くことを図った後、再び細菌が繁殖してバイオフィルムとして歯に固着するまでの期間。もし、この間に生活習慣の乱れが重なると、より細菌は口腔内に繁殖しやすいと考え、生活の整え方についてもお話しさせていただくのです。最終的には、セルフケアの指導も行いながら、皆さんが半年に1回の通院で済む状態に持っていくことをめざしています。
- Q受け身でなく、自らの生活習慣を見直すことが大切なのですね。
-
A
今日食べたものや今日の休息のあり方が、歯科を含めたさまざまな病気を防ぐことにつながると考えます。人間の体の構成要素のうちの60%を水分が占めることからもわかるように、まずは水分摂取のありようがとても重要です。摂取量は足りているか。味つきや色つきの飲料を多く取りすぎていないか。睡眠など休息は十分に取れているか。食事の内容が偏っていないか……。生命が要求する理想的な生活パターンと、仕事の事情などに左右される実際の社会的な生活パターンはかけ離れていて当然ですが、改善すべきポイントを自覚できれば、生活習慣を見直して少しでも理想に近づけようという動機づけになるはずです。