原井クリニック

原井 宏明院長

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地下鉄の京橋駅から徒歩2分。東京駅や日本橋駅からも近くアクセスのいい場所にある「原井クリニック」。院長の原井宏明先生は、強迫性障害の認知行動療法に30年以上の経験と実績を持つ。以前院長を務めていた名古屋のクリニックには、東海地域以外からも多くの患者が訪れていたというが、東京に自らのクリニックを開業したのは、患者の治療はもちろん、この治療法を広く普及させることも目的としているという。著書や翻訳書も多く、患者から多くの信頼を集める原井院長に、クリニックにかける思いを聞いた。
(取材日2019年2月25日)

強迫性障害に対する認知行動療法を行って30年

―東京で開業したのは何かきっかけがあったのでしょうか?

きっかけというより、そろそろそういう時期なのかなと思いました。私は今年60歳になりますから現役としてはあと10年です。人生の中でやり残したこと、最後にやらなければならないことは何だろうと考え、自分が経営者となって、これまで自分が続けてきたことの後継者を見つけることだと思い、開業にいたりました。経営というのは自分が苦手とする分野ですし、開業するには少し遅い年齢なのですが、避けてばかりはいられないと思いました。クリニックのホームページを見ていただくとわかるのですが、「今つらい思いをしている方、ここで楽になってください。癒やされてください」という言葉は一切使いません。ここで患者さんに対して主に行っているのは、エクスポージャー(曝露法)、つまり不安や不快を感じる行為を避けるのではなくあえて身をさらして向きあうという治療法です。それを提唱している当人が苦手なことを避けていてはいけないと思います。

―強迫性障害に対する認知行動療法がこちらの主な診療になるのですね。

強迫性障害というのは「鍵をかけたかどうか不安で確認を繰り返し外出できない」とか、「手が汚れているような気がして何度も手を洗ってしまう」など、本人もおかしいと思っているのにその行為を繰り返してしまう疾患です。私が精神科の医師になった30年ほど前には不治の病とされ、精神科の教科書にもそう書かれていました。国立肥前療養所の山上敏子先生のもとで行動療法を学び、グループ治療や薬物療法も用いてSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)で治療していく事例を多く経験してきました。ところがこの治療法は、あまり精神科の医院では導入されていないと思います。どこの精神科でも受けられるスタンダードな治療法にはなっていないのです。

―なぜスタンダードではないのでしょう。

人間の行うことですから、デジタルカメラのように工場で大量生産したらあとは販売網を作って売ればいいというものではないんです。そのための知識や技術を研修をして身につける必要がある。クリニックを開業したのは、原井クリニックをその研修のための場所にすることも視野に入れています。もちろん治療にも力を注ぎつつ、ゆくゆくはここで学んだ人たちが各地で認知行動療法を根づかせて、スタンダードな治療法にすることを大きな目標にしています。



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