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新美 塁 院長の独自取材記事

にいみ整形外科

(桑名市/星川駅)

最終更新日:2021/10/12

新美塁院長 にいみ整形外科 main

三岐鉄道北勢線星川駅から車で5分。「にいみ整形外科」は、科目の異なる診療所と薬局が集まった「桑名メディカルビレッジ」に建つ。新美塁院長は勤務医時代から骨粗しょう症や骨軟部腫瘍・人工関節の治療・研究に精力的に取り組んできた人物で、同院での診療時には、時おり冗談も交えながら話す気さくな人柄に多くの患者が笑顔になるのだそう。そんな明るくポジティブな新美院長が考える医療の現在、そして未来について話を聞いてきた。

(取材日2020年4月2日)

地域と世界の両方を視野に入れ、医療に貢献したい

開業の経緯を教えてください。

新美塁院長 にいみ整形外科1

直前まで働いていたのが四日市市の富田浜病院だったので、場所が比較的近かったこともあり、2018年8月にこの場所に開業しました。このビレッジ内の薬局職員のお母さまがたまたま骨折して僕のところで受診されたのをきっかけに紹介いただいたんですよ。僕は研究を一生懸命やってきたんですけど、研究をするには病院にいたほうがやりやすく病院勤務で過ごしていくと思っていました。でも、そういう方に会うというのは、何か人生のご縁なのかなと思ったんです。予定を決めても人生はそのとおりには行かないので、その時決めたことが一番良いと考え、そこで一生懸命やったほうがいいと思う性格。開業してみて、忙しさは感じますね。病院に比べて、新規で軽症の方が多いですし、地元の患者さんも増えました。

先生は骨粗しょう症の研究をずっとしてきたのだとか。

富田浜病院で8~9年働きながら骨粗しょう症の研究をしていました。もちろん、研究は今でも続けていますし、論文の発表も続けています。クリニックにいても研究は続けられますからね。僕がいた富田浜病院、そして当院での診療では、大学病院などとは違った状態の患者さんが来院され、診療することができます。そういう環境のもと、それぞれの環境にあったテーマを見つけ研究することで世界でこんなことが起きているのだと報告できますしね。クリニックでは、より地域に密着した形で患者さんがどのような状況にあるのかを知り、研究することができるので、充実していますよ。

どのような患者が来院されますか。

新美塁院長 にいみ整形外科2

近隣5km圏内の方が多いですが、勤務医時代の患者さんも来てくださったりします。いちばん遠いところでは京都の方がいらっしゃますよ。骨粗しょう症の診療に当院を紹介してもらったと、遠路はるばる通ってくださっている方もいます。病院に比べると90歳以上の方は極端に少ないですね。自力で来られる方が多い方だと思います。無料送迎バスも運行しているんですが、安全上、自力でバスを乗り降りできることが利用条件になっています。あと、お子さんや学生さんがけっこう来院されるので、スポーツのけがをよく診るようになりました。ただし、僕には難しいと思ったら患者さんの了承を得て、親しい専門の先生に画像を送って相談することがあります。また、僕が診ていても良くなりにくいと思ったら長引かせず、専門の先生に紹介します。患者さんが良くなるために、なるべく専門の医師の意見を得られるようにしています。

骨粗しょう症治療の苦労と工夫

骨粗しょう症の治療に力を入れ始めたきかっけは?

新美塁院長 にいみ整形外科3

ある薬剤が発売された時に富田浜病院で推奨していて、この薬を研究したら面白いんじゃないかと思ったのがきっかけです。そのうちすごく薬に詳しくなり、次に出る薬はどうなんだろうと、どんどん勉強するようになって。新しく出る薬は発売前から研究が進んでいるので、論文などを読むと、もうすぐこの薬が出るということがわかり、治療薬が重要になる骨粗しょう症の分野に興味を持っていったんです。それで論文も書くようになっていったんです。

骨粗しょう症に、投薬以外の治療法はありますか?

骨粗しょう症の治療において運動と食事の話題はよく出ます。ウォーキングをしたら、とかカルシウムを取ったら、とか言っても、単純にそういう問題ではない。例えば、人の体は半分ぐらい水分でできています。では水を毎日10リットル飲めば体が若返っていくかといえば、そんなことはありませんよね。同様に、牛乳を毎日飲んだら骨粗しょう症が良くなるのかと言っても難しい話なんです。僕は、薬で代謝そのものを変えることが重要なのではと思っています。ただ、骨粗しょう症などの慢性疾患の場合、患者さんに治療の必要性を理解していただけないことが多くて。骨など折れていない時は症状があまりないので、薬を定期的に飲んでくださいと言ってもなかなか理解を得られないんです。どうしても飲みたくない方には強制もできませんしね。治療の必要性や薬の効果の説明までは医師が行いますが、治療を選ぶのは患者さん自身です。

長丁場の治療で配慮することは何でしょうか。

新美塁院長 にいみ整形外科4

原因にもよりますが、老化が原因の場合、根本を治してくれと言われても、若返りの薬ができない限り難しいんです。整形外科は老化がベースになる病気が多いため、その病気と一生関わっていく可能性が高く、治療も長引くものが多いです。患者さんの意欲を保つのは難しいですが、なるべく心配を取り除くことでしょうか。例えば、どうして痛いのかを説明して病気を理解してもらえれば、同じ状態でも納得できることがあると思うんです。わかりやすい言葉で話したり、状態を理解しやすい写真をお見せしたり。患者さんよっては以前撮影したレントゲン画像を出してきて説明することもあります。あと、治療の選択肢があれば、すべて提示するのが良い時もあります。手術という方法は望む人と望まない人がいますけど、望まない人にも手術による改善の可能性は話して、なるべく患者さん自身に選択してもらえるようにしています。

広く市民の健康を考え、未来へと進む

設備へのこだわりは?

新美塁院長 にいみ整形外科5

まずMRIは、圧迫感が少なく閉所恐怖症の方にも受けていただけるようにオープン型を導入しています。レントゲンではわからないことが多くわかり高額ですが導入して良かったと思います。あとは、骨密度測定器ですね。僕は骨粗しょう症に力を入れているので少しでも性能にこだわり、最も良いとされる腰と太腿で測る骨密度測定器を導入しています。また、リハビリ室も機械の種類は多いほうじゃないかと思います。カラフルなブラインドも設置したんですけど、見た目から活気があるほうが患者さんのやる気にもつながるかと思うんです。

高齢者でなくても骨には注意が必要ですか。

意外と身近な問題では、ご両親が骨折経験者の場合、特に女性は骨が折れやすいことがわかっています。そういう方は骨密度の測定をしたほうがいいと思いますね。骨粗しょう症は、骨密度が低くて診断される人と骨折して診断される人に分かれ、後者のほうが圧倒的に多い。骨折する人の8割は骨密度検査では骨粗しょう症と判断されず、骨が折れて骨粗しょう症と診断されます。あとは歯が抜けやすい人、身長がかなり縮んだ人、痩せた人も骨粗しょう症の可能性が高いので注意したほうがいいでしょう。気になる方は早めに来てください。ただし、骨密度は機械により値が違うので同じ機械で測り続けることが重要です。数値に異常がなければ5年おきぐらいに同じ医療機関で測定する。更年期と言われる生理に変調をきたす頃からは、数値が急激に下がりだしますので2年に1度の検査を受けましょう。

今後の展望をお聞かせください。

新美塁院長 にいみ整形外科6

常に最新、最良の治療を提供したいという想いはあります。10年たって治療薬があまり変わらない分野もあると思いますが、再生医療などはもっと普及しているはず。そういう分野に初期から取り組んで、データを蓄積し、患者さんごとに最適・最善の医療ができるようにしたい。大病院や大学病院が良いと思っている方もたくさんいますけど、骨粗しょう症で言えば、当院以上に良い治療を受けられる場所なんてなかなかないと自負しています。そして今は骨粗しょう症の分野がメインですけれど、当院で受けられる治療がはるかに進んでいるという分野を今後もっと他にも増やしていきたい。いちばん大切なのは患者さんの健康。当院に来る来ないに関わらず、この地域に住む人たちの中に健康な方が増えればいいなと考えています。

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