本来の自分を集団の中で
主張できるようにする精神科デイケア
オボクリニック
(新宿区/高田馬場駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
「精神科デイケア」と聞くと、どんなイメージを思い浮かべるだろうか。「精神疾患の患者が復職をめざしてさまざまなプログラムを受けるもの」といった理解が一般的かもしれない。「オボクリニック」(東京都新宿区)が「リライフアカデミー」と称して行っている精神科デイケアも多様なプログラムを行っているが、復学・復職をゴールにしているわけではない。患者が自分を受け入れ、好きになる。その結果として復学・復職があるという。どんな精神科デイケアなのだろう。於保哲外院長、併設する医療研究・医療支援機関で代表を務める於保真理子氏、公認心理師の花形麻貴子氏に話を聞いた。
(取材日2017年1月18日)
目次
自分を好きになる自己尊重が他者尊重につながる
- Qリライフアカデミーではどんな取り組みを行っているのですか?
-
A
▲リライフアカデミーの部屋
【於保院長】リライフアカデミーは精神科におけるデイケアであり、当院の思いを反映してこの名にしました。自分を肯定し、自分を解放しながら集団の中で自己主張ができ、他者との良好な関係を築くことをめざしています。人間関係を築くためには他者を尊重することが大切ですが、これは自分を尊重することで自然とできるようになるのです。ですから、医師やカウンセラーとの1対1での診察、カウンセリングで自分らしさに興味を持てた方が、小規模な集団の中で自己解放を実践してみるのがリライフアカデミーです。現在、学生や主婦、会社員、ご年配の方など多世代の患者さん15人ほどが参加し、独自性のあるさまざまなプログラムを受けています。
- Qリライフアカデミーを始めた経緯をお聞かせください。
-
A
▲生き方を変える診療を心がける於保哲外院長と於保真理子氏
【真理子さん】精神的な病気に悩まれる方は自己評価が低く、自分を嫌ってしまいがちです。当院では患者さんが自分を受け入れ、共感し、自分を好きになることで問題を解決していく根本療法を行っています。こうした診療をより充実させようと、2015年にリライフアカデミーを始めました。デイケアの目的の一つに復職が挙げられますが、当院ではそれにこだわっていません。人間関係での悩みは職場に限らず、家庭や学校など多岐にわたるからです。集団の中で新しい生き方を学ぶ場なので、「リワーク」ではなく「リライフ」にしました。リライフの意味は、人生を「変える」ではありません。本来の自分を好きになる、自分に「帰る」ことなのです。
- Qプログラムはどんなことをテーマとしているのでしょう?
-
A
▲公認心理師の花形氏
【真理子さん】自己肯定感を高めて他者とコミュニケーションを図ること以外に、生活リズムを整えることやストレスと上手に付き合うことも含まれます。行政などによるリワークプログラムの中には、訓練に特化して「時間を守る」などの決まりごとが多いものもあり、結果的に受講前より自信を失ってしまうこともあります。当院では「これをしたらダメ」でなく、受講の仕方や態度などについても患者さん自身に委ねます。中には人と接するのが苦手で、後ろ向きに座っている方もいるんです。でも、最初はそれで良いのです。その上で、行動予定表などの記入や振り返り、ストレス対策の検討などを参加者や各専門家と行っていきます。
- Qプログラムの内容について教えてください。
-
A
▲プログラムの中のカラーアート作品
【花形さん】自尊心を高める方法を学ぶ心理教育や、自分の考え方の歪みを正す認知行動療法、本音を言い合うグループディスカッションなど9つあります。冷え対策やカラーアートセラピーは当院の特徴ですね。うつ病の患者さんは自分を責めることで体が冷えてしまうことが多いんです。体を温めると心も温まるので、半身浴など各々の冷え対策を話し合います。同セラピーでは、言葉ではうまく伝えられない感情を絵を描いたり色を塗ったりして発表し合います。参加者にとても人気です。文章を要約し、自分が感じたことをプレゼンするプログラムのほか、ストレッチや気功を学ぶものなどもあります。これらを平日の午前と午後に分けて行っています。
- Q患者と向き合う時にどんなことを心がけていますか?
-
A
▲オボクリニックで患者と向き合う心理士たち
【花形さん】患者さんを否定せず、その人らしさを尊重することが最も大切です。患者さんにはいろいろな方がいらっしゃいますが、どの方も自分で自分の問題を解決する力があると信じています。自分の中にある問題の答えを患者さんが見つけ出すお手伝いをすることが私たちの役割です。