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亀井 克典 院長の独自取材記事

覚王山内科・在宅クリニック

(名古屋市千種区/覚王山駅)

最終更新日:2023/07/28

亀井克典院長 覚王山内科・在宅クリニック main

地下鉄覚王山駅近くの広小路通沿いを行くと、ひときわ目を引くのがビル2階にある「医療法人生寿会 覚王山内科・在宅クリニック」の文字だ。同じ法人の「かわな病院」の院長を務めた経験を持つ亀井克典院長が、より身近な地域のかかりつけ医として展開したいとの思いから、2018年、開業に至った。クリニックの特徴は、法人内34事業所と連携した医療・介護のサポート体制。外来では、法人内の医師の協力により一般的な内科から各専門の内科まで対応し、質の高い内科診療を提供。さらに亀井院長のライフワークである在宅医療にも注力し、24時間体制で緩和ケアを含めた治療を行う。およそ40年間、現場主義で臨床医師として励んできた亀井院長に、地域医療や在宅医療に対する思いや心がけなどを聞いてみた。

(取材日2021年5月31日)

患者と家族に寄り添う、充実の内科と在宅医療

かわな病院の院長だった亀井院長が、新たにクリニックを開院された経緯を教えてください。

亀井克典院長 覚王山内科・在宅クリニック1

私はこれまで新潟・長野・和歌山などで地域医療に関わってきましたが、ご縁があって2004年に故郷の名古屋に戻り、「医療法人生寿会 かわな病院」の院長を務めさせていただきました。母体の法人は病院や高齢者施設など、医療・介護に関わる34事業所を有しています。その中で、かわな地区以外でも、住民に寄り添って外来・在宅医療を行う、より身近なかかりつけ医として展開したいという思いがあり、2018年に開院しました。同じビルには訪問看護リハビリステーションも開設しています。現在のクリニックのスペースは、偶然見つけたものですが、私もここから歩いて数分のところで生まれ育ちましたので、まったくの地元に開院したことになります。

外来では、どのような診療をされていますか?

中学生から高齢者までの幅広い年齢の患者さんがいらっしゃいます。日本内科学会総合内科専門医である私と副院長の若見和子先生が、一般内科で内科的な疾患・症状を幅広く診療するほかに、ここから車で15分のかわな病院の院長や医師がこちらにも通い、糖尿病・内分泌内科、循環器内科、腎臓内科の専門性を生かした検査や治療を行っています。ですから内科診療については、質の高い対応ができていると思います。また、がん末期の患者さんや神経難病の患者さんの痛みや症状を和らげるための緩和ケアを週1回、私が外来で担当しています。体がつらくなって通えないという場合には、在宅診療へ切り替えることも可能です。また、お仕事の都合などで直接通院が困難な方にはオンライン診療も開始しています。ご希望の方はご相談ください。

こちらで行う在宅診療の特徴は、どのようなものですか?

亀井克典院長 覚王山内科・在宅クリニック2

かわな病院と連携して、24時間対応をしています。患者さんお1人に対して主治医と副主治医を決め、夜間や緊急時には当番待機の先生が対応します。もちろん必要があれば、すぐに主治医にも連絡がいくシステムです。訪問看護師さんと協力しながら、往診でも現在はかなりの治療や処置ができるようになりました。採血・点滴・酸素吸入・人工呼吸器の装着や新型コロナウイルスの検査も可能です。在宅医療が困難になったら、かわな病院への入院や、法人内の高齢者施設への入居で在宅医療を続けることもできます。そのように患者さんの生活に密着して、適切な場所で、適切な治療を受けられるようトータルに提案できることが私どもの強みだと思います。

必要な人に必要な医療を届けたい。その思いで医師へ

院長が医師になられた経緯を教えてください。

亀井克典院長 覚王山内科・在宅クリニック3

高校生の頃、愛知県でも医師不在の僻地医療が社会問題になっていて、医療が必要な地域にちゃんと医療を届けるような仕事がしたいとは思っていました。実は、文系も好きだったのでジャーナリストになることも考えたのですが、担任の先生の勧めもあり、医学部に進みました。最初から地域医療に関心があったので、大学卒業後は医局に所属しない現場主義で、新潟の町立病院で臨床医の人生をスタートさせました。だから「必要としている人に、必要な医療を届けたい」というのが私の原点なんです。臨床医の使命も、常に患者さんと家族の不安や心配に寄り添って、それに的確に応えていく診療やシステムづくりをしていくことだと考えています。

院長が総合的に内科診療をするようになったのはなぜでしょうか?

大学で学んでいた当時は、ちょうど医学の専門分化が進み出した頃で、内科でも循環器・消化器・呼吸器などに講座が分かれていました。でも、専門の講座に入局するのは、自分にとっては何か違うなという感覚がありました。臓器を診るよりも、人間全体を見たいという思いが強かったんです。それも体のことだけではなく、生活環境や家族背景、社会的な問題なども含めて、地域で暮らしている方々を医師としてトータルに診ていきたいという思いが強くありました。それで大学に残らずに、最初から地域の医療現場に飛び込んだんです。医師としては少し変わった経歴かもしれません。

だから在宅医療や緩和ケアにも積極的に取り組んでこられたのですね。

亀井克典院長 覚王山内科・在宅クリニック4

私が取り組み始めた頃は、在宅医療や緩和ケアを積極的に行っている医療機関がなかなかありませんでした。名古屋のような都市部でも、どこに相談して、どこに助けてもらえばいいかわからないという在宅医療難民、緩和ケア難民とも言える方々が結構いらっしゃいました。私は地方の病院で取り組んできたことを名古屋でも展開したいという思いがあり、かわな病院でここ10年間ぐらい努力してきたつもりです。最初はスタッフもいなくて、自分で車を運転して訪問していたのですが、次第に手伝ってくれるスタッフが集まってくれるようになり、多くの患者さんに対応ができるようになりました。

在宅医療には、多くのスタッフさんが関わっていらっしゃるんですね。

はい。在宅医療は、医師だけの力でできるものではありません。看護師・リハビリセラピスト・薬剤師・管理栄養士・介護士・福祉の相談員など、多職種のスタッフが「在宅医療ケアチーム」として互いに連携し合い、患者さんを支えています。毎週、患者さんの情報共有や治療方針を話し合うカンファレンスも欠かさず実施しています。

より良い決断を支援する、地域に開かれたクリニックに

外来診療で、日々、心がけていることはありますか?

亀井克典院長 覚王山内科・在宅クリニック5

40年以上、臨床医師をしてきた経験から、予断を持って患者さんを診ないということを自分自身、肝に銘じています。外来の患者さんの中には、初診でおみえになる方や、ほかで診断がつかなくて当クリニックへ来られる方もいらっしゃいますので。病気の決めつけをしないで、いろいろな可能性や鑑別診断を頭に入れて、きちんと診断を行うということです。また1回の診断で見抜けなかったり、正しい診断や治療方針にたどりつけない場合もありますので、きちんとフォローアップもします。必要な場合には高度急性期病院などの提携医療機関への紹介もさせていただきます。

では、在宅医療で、心がけていることは何ですか?

在宅医療では、がん患者さんをはじめ、いろいろな不安を抱えながら患者さんが自宅療養されています。ですから病状の変化に、どんな時間帯でも対応できることを第一に心がけています。私は常にモバイル型の電子カルテを持ち歩いて、出先や自宅でも、すぐに患者さんの診療情報にアクセスできるよう体制を整えています。急に病状が悪化した患者さんを救急搬送する際には、自宅や出先から搬送先の病院へ電子ファクスで紹介状をお送りすることも度々あります。救急車が到着する前にこちらからの情報と紹介状を届けるのを理想としていますが、このシステムは搬送先の先生方にも喜ばれています。在宅医療は、私のライフワークだと思っています。

最後に、読者と地域の皆さんへのメッセージをお願いします。

亀井克典院長 覚王山内科・在宅クリニック6

以前に、ご主人が進行がんになられて、緩和ケアの相談をどこにしたらいいか悩まれていた奥さんが、当クリニックの前を通りかかって、そのまま相談に入って来られたことがありました。そうやって気軽に相談していただけたりすると、私のやりたいことが実際にお役に立っているという実感がありますね。在宅医療には、正解がありません。いろいろな場面で、揺れ動くご家族の気持ちに寄り添いながら、最良の決断をするお手伝いをしていきたい。そのような地域に開かれたクリニックでありたいと思いますので、ぜひお気軽にお声がけいただいたり、ご相談いただければと思います。

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