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秋元 智博 院長の独自取材記事

秋元ファミリークリニック

(足立区/西新井駅)

最終更新日:2021/12/21

秋元智博院長 秋元ファミリークリニック main

西新井駅東口から徒歩3分の場所にある「秋元ファミリークリニック」。クリニック前面のすりガラスには山登りをする家族連れと動物たちのイラストが描かれ、山小屋のシンボルマークからも温かみが感じられる。院長は、リウマチなどの膠原病を専門とし、複数の病院で総合的な視点から診療にあたってきた秋元智博先生。人生を山登りになぞらえ「ゆっくりでも確実に1歩踏み出すことが大切。当院はトラブルが起きた時に登山者の助けとなる、山小屋のようなクリニックでありたいです」と話す。昨年からは、総合病院の内分泌・糖尿病内科に勤務している息子の秋元福太郎先生が週に1回診療に加わり、糖尿病を専門に診る外来を開始。秋元院長に、医師2人体制となった現在の思いや、これからめざす診療についてじっくり聞いた。

(取材日2021年9月24日)

登山者のよりどころである山小屋のようなクリニックに

西新井で開業した背景や地域性について伺います。

秋元智博院長 秋元ファミリークリニック1

綾瀬に住んでいたこともあり、足立区は何かと縁のある場所でもあります。この界隈の人たちは人情味があり、飾らず気取らない、善良な感じの方が多いですね。皆さん、人生を頑張って生きておられる印象で、医療の助けを求めている人も多く暮らす地域であると感じています。ご高齢の方も多いですが、最近では若い世帯も増えています。この辺りは都心へのアクセスも良く、生活の利便性も高く子育て関連施設も多いことから、子育て世代の方も多く住まわれています。

開業にあたってこだわったことを教えてください。

患者さんの血圧を上げないようにすることです(笑)。よく白衣高血圧といわれますが、クリニックに来ると血圧が上がってしまう方がいるんです。それは真っ白で非日常的な空間や、待ち時間の長さが原因かもしれません。気軽に寄って気軽にかかれて、来れば癒やしが得られる、そんなクリニックをめざしたいと考えています。よく人生は山登りに例えられますが、焦って登れば体力が続かずケガをしてしまう。一歩一歩ゆっくりでもいいから確実に足を踏み出すことが大切です。旅の途中では体調を崩したりケガをしたりすることもあるでしょう。そんなとき助けとなるのが山小屋です。私自身、順天堂大学の山岳部で山小屋での夏山診療の経験があり、登山者の方の助けとなってきました。このクリニックは、分け隔てなくすべての登山者の助けになる山小屋、そんな存在でありたいと考えています。

力を入れている分野は何ですか?

秋元智博院長 秋元ファミリークリニック2

専門であるリウマチなどの膠原病ですね。まれな病気と思われがちな領域ですが、これからリウマチになる可能性がある状態の方も数多くおられますし、自分はリウマチではないかと思い悩んでいる方も多いのです。私は開業前、大学病院や関連病院で、さまざまな患者さんを診てきました。リウマチなどの膠原病は、すべての臓器と関わりがあり、人によってどこに症状が現れるかは千差万別です。脳に出ることもあれば、目、肺、心臓、腸、腎臓、皮膚、泌尿器などに出ることもあり、その範囲は全身にわたります。40代50代でリウマチを発症している方は他の生活習慣病を併発していることも多いですから、それらも一緒に診ていく必要もあります。結果的になんでも診ることになりますが、一人で100%診るというわけにはいきません。必要に応じてそれぞれ適切な医療機関や専門の医師を紹介していくことも積極的に行っています。

先進のリウマチ治療に精通し、幅広い薬剤に対応

膠原病の治療において重視していることを教えてください。

秋元智博院長 秋元ファミリークリニック3

薬の副作用には十分気をつけています。現在さまざまな薬があり、当院でも幅広い取り扱いがあります。ですが、患者さんの体質や年齢、基礎疾患によって、一人ひとりに合うものを突き詰めていくと、使用できる種類は限られていきます。一刻でも早く進行を止めたい方や、高齢者で感染症に弱い方、過去にがんを患っていた方、腎臓や肺に機能の低下が見られる方など、それぞれ注意すべき点があり、使用できる薬の種類や量を随時コントロールしていく必要があります。このように、多様な症状に対応するには引き出しをいかに多く持つかが重要です。

先生は一人ひとりに薬の種類や量を調整しているのですね。

はい。リウマチなどの膠原病は、血液検査の数値だけでは判断できません。痛みのある関節の数を確認するほか、ビジュアルアナログスケールといって、患者さんご自身に痛みの強さを指し示してもらうことも大事な判断材料です。私は患者さんとコミュニケーションをとりながら、五感を使って細かい診断をしていきます。患者さんが診察室に入ってきた時の姿勢や顔色、眉間のくもり具合、目の開き方、また実際に触れることでわかることもあり、幅広い要素から判断しています。そのためにも、月に1回の通院をぜひ続けていただきたいんですね。リウマチはたとえ痛みがなくても、関節の変形が進行していることもあります。定期的な診察により、患者さんのその時の症状に合わせて、適した薬や分量に調整することができます。

新しい治療法も出てきているとか。

秋元智博院長 秋元ファミリークリニック4

関節リウマチなら生物学的製剤や、分子標的薬と呼ばれる薬がそうです。生物学的製剤は、炎症を抑えて関節の変形が進むのを抑制する目的のものです。最近はバイオシミラーといって、既存の生物学的製剤の後続品として開発された医薬品も出てきています。これらは価格にも配慮されていますので、経済的な理由で生物学的製剤を使用できなかった方にも門戸が広がってきています。ただ、どのような薬を使うにせよ、一人でも多くの患者さんに寛解と呼ばれる状態まで良くなってもらうことは、私の目標の一つです。これまでの経験も生かしつつ、勉強会などに参加し、リウマチ学の知見をアップデートすることが大切だと考えています。

糖尿病治療は患者一人ひとりの生活背景を踏まえて

昨年から開始したという糖尿病の外来について教えてください。

秋元智博院長 秋元ファミリークリニック5

秀和総合病院の内分泌・糖尿病内科に勤務している私の息子が、昨年から週に1回当院の診療に加わり、彼の専門である糖尿病を専門に診る外来を開始しました。糖尿病はさまざまな病気の根元となっていることが多く、血管の動脈硬化が進んで脳梗塞や心筋梗塞を起こしたり、目の病気を患ったりするため、膠原病と同様、総合的な視点で診ることが重要です。診療ではまず生活習慣について確認し、食べすぎや栄養の偏りなど食生活に問題がある場合はその見直しから始め、その後必要に応じて薬による治療を進めます。糖尿病は基本的にインスリン不足が原因になりますが、インスリンが出ているのに足りないのか、インスリンが出ていないから足りないのかによって治療方針が変わるため、この見極めも大事です。

糖尿病の診療で工夫していることは何ですか?

糖尿病の薬は種類が多いので、患者さんの生活スタイルや社会的な状況をお聞きした上で、適切に選択するようにしています。例えば、注射と飲み薬はどちらが適しているのか、注射であれば1日何回打つことができるのかなどを考え、ご自宅で無理なく実践できる内容に調整します。また、本来ならば1日4回打たなければいけない注射を1日1回から始めるなど、患者さん一人ひとりに合わせて続けやすい方法を提案しています。糖尿病の治療は時間のかかるものなので、通院を重ねていただくことで信頼関係を築いていきたいですね。

食事指導で新しい取り組みを始められるそうですね。

秋元智博院長 秋元ファミリークリニック6

足立区医師会で栄養アセスメント調査を行っており、当院も参加しています。糖尿病では食事管理が大事になりますが、自己流だと栄養やエネルギーのバランスが崩れている方が少なくありません。この調査では、最近1ヵ月の食事に関する簡単な質問に答えていただくことで、何を食べすぎて何が足りないのかを「見える化」します。当院でも今後、この調査を参考に糖尿病などの食生活の見直しに取り組んでいく予定です。

今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

非常勤ではありますが、息子が診療に加わり2人体制となったことで、多角的な視点で診ることができるようになり、クリニックの機能が向上したと感じています。また、以前から親子で一緒に仕事ができたらという思いもありましたので、それが実現できたことも大きな喜びです。読者の皆さんには、何かあればとりあえず相談していただきたいとお伝えしたいです。糖尿病の合併症のようにはっきりとした症状が出てからでは遅い場合もありますので、若い方でも健診結果で何か気になることがあればどんなことでも相談にいらしてください。

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