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山本 史郎 院長の独自取材記事

山本医院

(新宿区/目白駅)

最終更新日:2024/04/15

山本史郎院長 山本医院 main

目白で皮膚科と泌尿器科の診療を行う「山本医院」には、ニキビに悩む中高生から排尿障害に悩む高齢者層まで、幅広い年齢層が来院する。「ゲートキーパーとして患者さんの話をよく聞き、重大な疾患を見落とさないこと。必要に応じて適切な病院につなぎ、治療の遅れを防ぐこと。それが、かかりつけ医である私の役割です」と話す山本史郎院長に、疾患の傾向や診療理念について聞いた。

(取材日2023年12月14日)

父の医院を継ぎ、皮膚科と泌尿器科に対応

お父さまの診療所を継承されたそうですね。

山本史郎院長 山本医院1

もともとは、1967年に父がこの場所で開院しました。父も泌尿器科の医師で、患者さんに信頼され、親しまれていた姿をよく覚えています。父は残念ながら1997年に急逝し、以来私が後を継いでいます。ただ、当時は手がけていた遺伝子治療の基礎研究が形になって学位を取得し、留学も考えていた矢先でした。いま継承して良いのか、とても悩みましたが、最終的に背中を押してくれたのは、長年父のもとに通ってくださった患者さんの存在です。初めのうちは午前のみ診療して午後は病院で診療していましたが、通い続けてくれる患者さんに応えたい思うようになり、今のかたちに落ち着きました。今でも、80代、90代になった父の患者さんが来てくださるんですよ。その姿を見るたびに、あのとき継承して良かったと改めて思います。

高齢の患者さんは、どのような症状で受診されるのですか。

年齢を重ねると起こりやすい泌尿器疾患に、前立腺肥大症や過活動膀胱などの排尿障害、前立腺がんや膀胱がんといった悪性疾患があります。排尿の問題は人に打ち明けづらく、特に女性は抱え込んでしまいがち。しかし、中には大きな病気が隠れていることもありますし、放置して悪化すると生活に支障を来します。「尿が出にくい」「頻繁にトイレに行きたくなる」「排尿時に痛みがある」「血尿が出た」といったときは、我慢せず受診していただきたいですね。高齢の方の皮膚疾患では、乾燥による皮脂欠乏性皮膚炎や帯状疱疹といった病気も多く見られます。

帯状疱疹で注意すべきことがあれば教えてください。

山本史郎院長 山本医院2

帯状疱疹は子どもが罹る水ぼうそうと同じウイルスによって引き起こされる病気です。最近は啓発活動が盛んに行われていて、自分で帯状疱疹を疑って受診される患者さんも増えてきました。体の片側に赤い発疹や、水ぶくれができ、痛みを伴うことが多い病気です。皮膚だけでなく神経も傷つくため、治療が遅れると後遺症として神経痛が残り、生活に支障を来す場合があります。見慣れない皮膚の症状やこれまでにない痛みを感じたらすぐに受診していただくことが望ましいです。治療はウイルスの増殖を抑えるために、抗ウイルス薬の服用、または注射を行います。50歳以上の方は、ワクチンを接種することで帯状疱疹の発症と重症化の予防も図れますから、検討していただきたいですね。

よく話を聞き、適切な治療につなげることが使命

若い方や中高年層の主訴についてもお聞きしたいです。

山本史郎院長 山本医院3

泌尿器科では膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎などの尿路感染症や、淋菌やクラミジアによる尿道炎など性感染症も多いです。皮膚科では、アトピー性皮膚炎やじんましん、尋常性乾癬の他、イボやとびひ、水虫などの感染症が目立ちますね。アトピー性皮膚炎や乾癬は患者さんが多い皮膚疾患ですが、近年は治療が著しく進化しています。ステロイドなどの塗り薬や抗ヒスタミン剤で炎症やかゆみを抑えるための対症療法が中心だったアトピー性皮膚炎に対しては、新しくデュピルマブなどの生物学的製剤が登場したほか、JAK阻害薬という薬も適用が拡大し、今までの治療で十分な効果が得られなかった方の症状改善が見込めるようになりました。患者さんの医療費負担を抑える助成制度もありますから、お悩みの方は治療を検討してみると良いと思います。ニキビの治療も大きく進化した分野の一つです。症状が長引いてニキビ痕が残らないためにも、ぜひ早めに相談してほしいです。

がんの早期発見など、プライマリケアに注力されていると聞きました。

がんや重度の感染症などを見逃さないことは、地域に根差して診療をする医院の役割の一つです。患者さんの訴えをよく聞き、違和感をそのままにしないようにしています。例えば、血尿があって内科を受診し、「問題ない」と診断されたけれど実は膀胱がんだったということもあり得ます。かかりつけ医に求められているのは、よくお話を伺って適切な検査をし、できない検査があれば速やかにしかるべき病院へ紹介すること。特に、専門領域が違う場合には、絶対に抱え込まないことが患者さんのためになると実感しています。気軽に相談できる地域の医師として、患者さんの訴えをしっかり受け止め、正しい治療につなげていきたいです。

患者さんとのコミュニケーションを大切にされているのですね。

山本史郎院長 山本医院4

頻尿や尿漏れなど、症状を口に出しにくい疾患も多いので、患者さんに心を開いていただけるよう丁寧に会話を積み重ねています。普段ケアをされているご家族が一緒に来てくださった場合は、患者さんご本人だけではなくご家族にも「何に一番困っているか」をお聞きすることを心がけていますね。こちらから病院にご紹介した患者さんの中には、「先生が忙しそうで聞きたいことが聞けなかった」「説明がわからなかったんだけど、どういうことだろう」と聞きに来る方もいます。不安を感じたときに思い出していただけるのはとてもうれしいことですから、「きっと先生はこういうことを言いたかったんだと思いますよ」「わかる範囲で説明しますよ」とお答えしてゆっくりお話を伺うことで、安心して帰っていただければなと思っています。

患者の小さな訴えに、これからも耳を傾け続ける

木を多く使った威圧感のない外装・内装も、受診時の心理的なハードルを下げてくれそうです。

山本史郎院長 山本医院5

2016年に建て替えた医院は、入り口から診療室まで段差がなくなり、空間を広くとったことで足の不自由な方や車いすの方にも受診していただきやすくなりました。自然素材を取り入れたのは、皮膚科を受診される方の中にアレルギー疾患の患者さんが多いからです。なるべく化学物質を排除し、安心して過ごしていただける環境づくりを設計段階から意識しました。患者さんに喜んでいただけたのが何よりうれしかったですね。リニューアルから7年がたち、内装に使った無垢の木に少しずつ味わいが出てきました。これからも、患者さんとともに歳月を重ねていく医院でありたいと思います。

先生がやりがいを感じるのはどんなときですか。

わずかな皮膚症状から膠原病を見つけたり、常識にとらわれず疑いの目をもって診療することで若い方の膀胱がんを見つけたり、早期発見・早期治療に貢献できるとうれしいですね。患者さんに満足してもらうことが、モチベーションの維持につながっています。いつでもフレッシュな気持ちで患者さんと向き合えるよう、自己研鑽を怠らないようにしています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

山本史郎院長 山本医院6

多くの方は、運動や食事への健康意識が高く、「なんとなくいつもと違う」というときはすぐに受診してくれますし、体のことで不安があれば躊躇せず相談をしてくれます。ただ、中には受診を迷い、重症化してしまう方もいます。インターネットから多くの医療情報で得られる時代ですが、お一人で悩まずに些細な症状であってもぜひ気軽に話をしにいらしてください。当院は、いつでも地域の方に向けて扉を開いています。

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