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南 隆二 院長の独自取材記事

みなみ耳鼻咽喉科医院

(渋谷区/幡ヶ谷駅)

最終更新日:2022/07/22

南隆二院長 みなみ耳鼻咽喉科医院 main

京王電鉄京王新線の幡ヶ谷駅から徒歩3分、閑静な住宅街の一角にある「みなみ耳鼻咽喉科医院」は、1957年から続く歴史あるクリニック。現在、院長を務めているのは3代目にあたる南隆二先生。風邪や鼻炎、花粉症などに悩む患者が、子どもから高齢者まで幅広く来院する同院だが、そうした耳鼻科診療の中でも南院長が特に力を入れているのが、本格的な聴力検査で耳と脳を慣らしていく補聴器専門の外来の診療だ。2022年6月より、広めの聴覚検査室を設け、通常の検査に加えて補聴器を装着したままで行う検査も開始。補聴器そのものの個性や患者の耳の形などを考慮しながら、聞こえを調整していく。「欧米に比べて日本では補聴器の使用に対する満足度が低い傾向にあり、そこを改善していきたい」という南院長に、さらに詳しい話を聞いた。

(取材日2022年6月3日)

3代目院長として今年から本格的に診療を開始

こちらは歴史あるクリニックだそうですね。

南隆二院長 みなみ耳鼻咽喉科医院1

1957年に、祖父の南昌平が開業したと聞いています。その後、私の父である南定が院長を務め、2020年12月に私が3代目院長に就任しました。私は数学が大好きでその道に進もうと思った時もありましたが、結局は慶應義塾大学医学部に進学しました。5年生の時にようやく耳鼻科の授業があって、そこから耳鼻科の医師の道を考えるようになりました。実は曾祖父も、和歌山県で耳鼻科の医師を務めていたそうです。

院長就任までの経緯を教えてください。

大学卒業後は、佐野厚生総合病院で2年間の初期研修を受けながらすべての科を幅広く学びました。その後は母校の医学部の耳鼻科に入局し、さまざまな病院を転々として研鑽を積んでいたのですが、2020年9月に父の末期がんが発覚して診療をやめることに。父が治療している間、私が院長として診察を引き継ぐことになったのですが、当時は栃木県の病院に勤務していたこともあり、同年12月から週1回のペースで栃木から通いながら診療をしていました。2021年4月からは慶應義塾大学病院に異動しましたが、非常に多忙だったので、やはり週1回しか開院できませんでした。2022年4月に慶應義塾大学病院を退職し、ようやく週5日で診療できるようになったんです。

どんな診療方針をお持ちですか?

南隆二院長 みなみ耳鼻咽喉科医院2

古くからこの周辺に住んでいらっしゃる方を中心に、新規の方もいらっしゃいます。年齢的にはお子さんから高齢者までと幅広いですね。喉の風邪の治療でいらっしゃる患者さんや、今年から舌下免疫療法を始めたことでスギ花粉症の治療に来られる患者さんも多いです。さまざまな患者さんと接すときに気をつけているのは、患者さんの希望にしっかりと耳を傾ける、ということです。例えば「この患者さんにはこの治療をしたほうがよいだろう」と思っても、ご本人が望まないのであれば、別の治療法を考えて提案するように心がけています。

本格的な聴力検査で耳と脳を慣らしていく補聴器の外来

こちらではどんな治療や検査を受けられますか?

南隆二院長 みなみ耳鼻咽喉科医院3

耳鼻科では歯と脳と目以外の、鎖骨から上の疾患を受け持っています。耳・鼻・喉に関する諸症状はもちろんですが、顔面神経麻痺や首周りのしこりなども耳鼻科の範囲になります。唾液腺腫瘍、甲状腺腫瘍、首のリンパ節の腫れに関して現在当院では、問診、血液検査と、提携の医療機関で撮影してもらった画像の読影、必要があれば総合病院へのご紹介をしています。しかしいずれは超音波検査を導入する予定です。検査は専門的なものですと純音聴力検査、語音聴力検査、ティンパノメトリー、ファイバースコープを用いた検査、静脈性嗅覚検査などを行っています。治療は症状に応じてさまざまですが、鼻詰まりがひどい方のためのレーザー治療や聴覚リハビリテーション、補聴器の試聴や調整なども受けられます。

先生の得意な分野はなんですか?

当院の特徴でもある補聴器専門の外来です。欧米では補聴器販売には医療資格が必要なのですが、日本では資格がなくても補聴器を販売できるため、売ったらおしまいというケースが多いせいか、補聴器の使用に関する満足度が世界的に見てもかなり低いのが現状です。実際の医療現場でも、耳鼻科で聴力検査や診察をして治療可能な病態がなければ、あとの調整は業者さんにやってもらうことが多いものです。しかし補聴器を使用する上で最も重要なのは、補聴器を着けたまま行う聴力検査です。通常の聴力検査はヘッドホンを装着して行われますが、補聴器による検査はスピーカーから流れてくる音を、補聴器を着けたまま聞くというものです。その結果によって補聴器を調整していくため、当院にも2022年6月に防音性の高い聴力検査用の個室と、広い検査室を設置しました。

補聴器専門の外来では具体的にどんなことをするのでしょう?

南隆二院長 みなみ耳鼻咽喉科医院4

補聴器は、機械や患者さんの耳の形に個性があるので、補聴器を着けた状態でどれくらい音が入っているか、聴力検査などでチェックしながらその人に合った補聴器を選別し、改善が必要な不具合や微調整は週1回来訪する業者さんに伝えていきます。補聴器は眼鏡と違い、装着したらすぐに聞こえやすくなるわけではありません。特に難聴の方の脳は、音の刺激が少ない状況に慣れているため、補聴器を着けると脳が驚いて、「うるさい」と感じてしまうことが多いです。当院では、目標の音量の7割くらいからスタートして最初から常用し、1週間ごとに音量を徐々に上げ、段階式で目標の音に近づけていく指導を行っています。また、ひらがなを1つずつ聞き、何と言っているかを答える言葉の検査も行っています。音量を上げて正解率がアップする人は補聴器の効果が高いと考えられるため、使用判別に必要な検査と考えています。

地域住民の役に立つ医師になるべく、まい進したい

先生が院長になってからはさまざまな部分で電子化を導入していますね。

南隆二院長 みなみ耳鼻咽喉科医院5

私は開業医の中ではそれなりに年齢が若いほうだと思うので、電子化やデジタル化を可能な限り取り入れていきたいと考え、まずカルテを電子化しました。診察面では、ファイバースコープで撮影した鼻咽喉、耳の画像を、私の手元のパソコンでリアルタイムに見られるようにした上で、動画で保存もして過去の画像と比べられるようにしています。また受診の際はマイナンバーカードでの保険資格確認ができるマイナ受付や、スマートフォンによる決済も利用できます。来院受付や2回目以降の予約の手間が省けるアプリも導入しています。

今後の展望を聞かせてください。

まだ補聴器診療において勉強を続けている分野があるんです。補聴器の適合判定や使い方の指導などですね。また、院内で身体障害者手帳申請に関する診断書や補聴器の購入費用を医療費共助の対象とするための診療情報提供書をお渡しできるようにするために、身体障害者福祉法十五条指定医師は東京都に申請しています。補聴器診療により特化したクリニックになれると考えているので、早く必要な技術や知識を身につけたいです。また近々に、花粉症や舌下免疫療法の患者さん向けのオンライン診療を開始することも考えています。さらに将来的には、補聴器を遠隔で調整するというシステムも導入したいですね。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

南隆二院長 みなみ耳鼻咽喉科医院6

耳鼻科の受診に怖いイメージを持っている方、医師に苦手意識を持っている方のための、とりあえずの窓口になれたらよいと思っています。地域住民の方々と親交を深めながら、どんなことでも気軽に相談できるようなクリニックをめざしたいですね。また当院では、新型コロナウイルス感染症の抗ウイルス内服薬を2種類、処方できます。渋谷区内にある医院で、2種類の薬を処方できるのは数少ないです。何かあれば、ぜひご相談ください。

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