花粉症との関連性などの共通点がある
気管支喘息とバセドウ病
糖尿病・甲状腺 上西内科
(小牧市/小牧口駅)
最終更新日:2021/10/14


- 保険診療
気管支の炎症によって喘鳴などの症状が起きる気管支喘息と、甲状腺機能が過剰に働き、動悸などさまざまな全身症状を招くバセドウ病を代表とする甲状腺機能亢進症。気管支喘息は治療を受ける患者の年齢層が小さな子どもから大人まで幅広く、対してバセドウ病は20〜50代での発症が多く、女性の罹患率が高い傾向にある。病気の特徴も、臓器も症状も異なるため、患者目線では関連性や共通点があるといった発想には至らないだろう。しかし「糖尿病・甲状腺 上西内科」の中畑征史副院長によると、「呼吸器と甲状腺、それぞれの病気の知識を持っていると、同時に治療を進めるメリットが見いだせます」とのこと。取材では、2つの病気の共通点や、同時に治療を進めるメリット、同院の診療体制などについて話を聞いた。
(取材日2021年4月19日)
目次
2つの病気にひもづく花粉症などのアレルギー症状。同時に治療を進め、より効率的な治療につなげる
- Q気管支喘息とバセドウ病は関連性がないように思えますが……。
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A
▲2つの病気には共通点があると話す副院長
一見するとまったく関係ないように思えますが、この2つの病気にはある共通点があります。それは、花粉症との関連性です。広く知られていないかもしれませんが、バセドウ病をはじめとした甲状腺疾患はアレルギー症状と関連して悪化していると考えられるケースがあり、3〜4月など花粉症の時期に症状が悪化、あるいは再発するといったことがよくあるんです。気管支の炎症を引き起こす要因にも、花粉などのアレルゲンが挙げられ、やはり花粉症の時期には気管支喘息の症状が重くなる傾向にあります。加えて気管支喘息は、約10人に1人がかかるといわれるほど、一般的な病気。バセドウ病のある人が、喘息を併発していることも珍しくありません。
- Q同時に治療を進めるとメリットなどもあるのでしょうか?
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A
▲同院では2つの病気に対して専門的治療を提供
2つの病気と関連するアレルギー症状に対してアプローチすることで、病気の悪化を防いだり、より治療が進めやすくなったりすると考えます。例えば、花粉症のシーズンに備えてアレルギー症状を出にくくするために舌下免疫療法を行っておけば、バセドウ病や喘息の悪化予防にも役立つケースもあると思うのです。当院でも舌下免疫療法を提供しています。また、バセドウ病も気管支喘息も、治療には専門的知見が求められますから、それぞれ別の医療機関を受診することも多いと思います。ですが当院では、どちらに対しても専門的治療を提供しています。治療期間が長期になることもあるので、通院負担が軽くなる点もメリットとしては大きいでしょう。
- Q貴院での治療の進め方について教えてください。
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A
▲2人の専門家が一緒に診るといったスタイルが特徴
症状が比較的軽い場合は、私が一通りの診療に応じます。ただ、甲状腺疾患をはじめとした内分泌内科の診療は、院長の上西栄太先生がエキスパート。病態によっては「併診」といって、1回の受診で2人の医師の診察を受けていただきます。例えば、受付後にまず採血し、血液検査結果が出るまでの時間で私の診察を受け、結果が出たら上西先生の診察を受ける、といった流れですね。診療に際してお互いに意見を交わし、治療計画やお薬の内容を検討していきます。2人の専門家が一緒に診るといったスタイルが特徴といえますね。治療が進み両方の医師の診察を受けるのが煩雑になってきたら、病態などを鑑みてどちらか一方の医師に診療を集約していきます。
- Q薬の種類が増えそうで、副作用が心配です。
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A
▲処方にも工夫を凝らす
当院では、できる限り薬剤相互作用の少ないとされる薬を採用しています。作用が同じでも、他の薬と併用するとそれが薄れたり、副作用が出やすくなったりするものがあるんです。薬剤相互作用の少ない薬であれば、より結果に結びつきやすいだけでなく、別の種類の薬も追加しやすいといったメリットも。また、喘息治療で用いる吸入ステロイド薬に抵抗感を覚える人もいるでしょう。ですが吸入ステロイド薬は、炎症を起こしている患部にピンポイントでアプローチできるもので、内服タイプのステロイド薬と比べたらリスクは低いと考えています。処方に工夫を凝らすだけでなく、薬の特徴を丁寧にお伝えするのも、不安を取り除く上で大切だと思います。
- Q治療を継続しやすくするために取り組んでいることはありますか?
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A
▲患者の不安を取り除くことを心がける
薬の特徴についてお伝えするのにも通じますが、どのように治療が進んでいくのか、見立てをお伝えしておくことが重要と考えています。気管支喘息も甲状腺疾患も、治療が長期に及ぶことが多く、治療に応じて薬が増減することももちろんあります。急に薬の種類が増えるとなると、患者さんも戸惑われますし、先行きが不安になってしまうでしょう。不安や疑念も、治療の離脱のきっかけになり得るもの。「この先に考えられること」を事前にお話ししておけば心構えができますし、疑問も聞きやすくなると考えています。患者さんにも、不安があれば気兼ねなく相談していただければと思います。不安を軽くするのも、大事な治療の一環ですから。