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糖尿病治療の変化
できる限り患者の負担軽減を

にしむら内科・糖尿病クリニック

(大阪市北区/大阪駅)

最終更新日:2021/10/12

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  • 保険診療

糖尿病になったらつらい治療に耐えなければならない、そんな悲観的なイメージを持つ人は少なくないと思うが、医療の進歩によって糖尿病治療は大きく変わろうとしている。例えば、GLP-1受容体作動薬や、3年前から日本でも使われるようになったSGLT2阻害薬は、低血糖になりにくい上、体重が減りやすい。膵臓を保護しながらの治療が期待できる方法として注目されているそう。また、血糖変動を24時間測定できるCGMなど、糖尿病患者をケアする機器も増えてきているという。日本糖尿病学会糖尿病専門医として、新しい治療や検査機器を積極的に取り入れ、患者の治療負担の軽減につなげている「にしむら内科・糖尿病クリニック」の西村治男院長に、現代の糖尿病診療について話を聞いた。

(取材日2019年6月20日)

検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!

Q糖尿病の治療はどのようなものがあるのでしょうか?
A

基本は食事療法と運動療法による生活指導ですが、それでは十分でない場合に薬物療法が必要となります。血糖コントロールで使われるお薬は、インスリンの分泌を促進して血糖値を下げるための薬が主流でしたが、低血糖を起こしやすく、太りやすいといったデメリットがありました。新たに登場したGLP-1受容体作動薬やSGLT2阻害薬は、膵臓を守りながら血糖を下げることが期待でき、メリットは低血糖のリスクが低く、肥満になりにくいこと。現在は日本でも使用が認められ、主に専門医のいるクリニックで使われてきました。

Qどれくらいの頻度で通院するのですか?
A

糖尿病と診断されたら、低血糖などの副作用を起こさず順調に血糖コントロールができているか、糖尿病特有の合併症が表れていないかを確認するため、定期的な通院が必要になります。血糖の状態によっては、通院間隔が空いても問題ない方もいますが、良好な血糖コントロールを行うためにも、月1回の通院が望ましいと私は思っています。通院が3、4ヵ月空いてしまうと、どうしても最初の2ヵ月は食事管理がおろそかになってしまい、残りの1~2ヵ月で取り戻してから受診しようと思いがちです。ですが、そのツケは必ず後で回ってきます。お薬に頼らない糖尿病治療に持っていくためにも、こまめにチェックを受けることが大切です。

Q糖尿病治療に対する考え方をお聞かせください。
A

医学の進歩により、糖尿病治療も変化してきました。これまでは膵臓を酷使させ、強制的にインスリンを分泌させて血糖値を下げることを促していましたが、GLP-1やSGLT2阻害薬を活用することで膵臓にダメージを与えにくい、膵臓を長持ちさせていく治療に変わりつつあります。GLP-1だとインスリン注射と違い、注射投与は週1回になり、治療負担も軽減されます。糖尿病になったらインスリン注射を一生打ち続けて病気と闘うという時代ではなくなってきています。無理のない血糖コントロールをしていきながら、膵臓とその他の臓器が寿命を全うできるように守っていくことが、これからの糖尿病治療だと考えています。

検診・治療START!ステップで紹介します

1問診と検査を行う

問診では過去に糖尿病を指摘されたことがないか、高血圧などの病気がないかを確認。家族歴、喫煙歴、飲酒の習慣、毎日の食事は誰が作っているかなどをヒアリング。その後、血液検査、検尿、血糖値を測定。グリコヘモグロビンA1c測定装置は、病院と同等レベルのHPLC法を用いた機械を使用。高精度な検査結果をより迅速に得ることが期待できるという。首や手足の血管に詰まりがないかも、血圧脈波検査装置を使って検査する。

2診察と検査結果をもとに治療方針決定

検査結果を踏まえ、今後の治療計画を立てていく。過去の治療歴や患者の希望を確認した上で、どのような薬を使い、どのような食事療法を行っていくのかを検討。その際に重要なことは、無理のない血糖コントロールと生活改善をめざすとともに、合併症がある人は悪化を防ぎ、新たな合併症を発症させないようにすることだ。医師が説明をきっちり行い、患者が納得した上で治療を開始する。

3治療内容の説明

治療で使用する薬の作用や注射の打ち方などを医師が説明。注射器はペンのようなデザインで痛みが少ない工夫が凝らされており、液量が簡単に調整できる。インスリン注射をする人は血糖自己測定をする必要があるが、同院では24時間血糖値の測定ができるCGMという測定器を導入。センサーを装着するだけなので負担も少なく、血糖値の変動の精密な解析が期待できる。数値がわかることで、モチベーションにつながる人も多いという。

4定期通院

定期通院では体重やHbA1c値などを測定して、血糖コントロールが順調にできているか確認。希望者は常勤の管理栄養士による栄養相談を受けることもできる。食事指導ではその人が無理なくできる栄養バランスの良い食事メニューを提案。これまでの食生活を大きく変えてしまうと負担を感じてしまうため、ライフスタイルやその人の嗜好に合わせて、継続できるような無理のない食事改善を行っていく。

5フットケアで合併症を予防

足先は高血糖による神経障害の影響が最も出やすい場所。傷ついても気づかないことが多く、巻き爪や水虫から細菌感染を起こしてしまい、足を失うケースもあるという。同院では足病変のリスクを早期発見するためフットケアに対応。足の状態を観察することで神経障害や血管の詰まり具合が見つかることもあり、重症な場合は連携している病院や専門のクリニックでの治療を提案している。

ドクターからのメッセージ

西村 治男院長

糖尿病になると、血管や神経などが障害され、合併症のリスクが高まります。当院では循環器内科、形成外科、皮膚科など他科の先生とも連携を取りながら、看護師や管理栄養士と協力し合い、チーム医療で患者さんを支えるようにしています。患者さんとしてはできれば人の助けを借りずに、一人で病気を治したいと思うかもしれませんが、多くの人に助けてもらうことは、病気の治療に限らず悩みを解消する近道となることも少なくありません。今後もスタッフ一同、患者さんが健康で楽しい人生を送れるようにサポートしていきたいと思います。

Dr
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