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原田 忠宜 院長の独自取材記事

いたばし・ハートクリニック

(板橋区/板橋駅)

最終更新日:2021/10/12

原田忠宜院長 いたばし・ハートクリニック main

JR埼京線・板橋駅西口から徒歩2分。2018年6月に開業した「いたばし・ハートクリニック」は内科、循環器内科、リハビリテーション科を標榜しており、心臓リハビリテーションを行っているのが大きな特徴だ。院長の原田忠宜(ただのり)先生は、同区内の帝京大学医学部附属病院の心臓血管外科、循環器内科などに勤務。医学生時代、そして医師になってからも長い時間を過ごした板橋への思いは深く、「医師として、人として育ててくれた町に恩返ししたい」と、この地で開業することを決めたという。心臓疾患はもちろん、風邪や生活習慣病、ちょっとした体の不調まで気軽に相談できるクリニックをめざす原田院長に、心臓リハビリテーションの意義や、患者・スタッフへの思いを聞いた。

(取材日2019年5月16日)

心臓疾患の再発を防ぐため「心臓リハビリ」に注力

クリニックの特色について教えてください。

原田忠宜院長 いたばし・ハートクリニック1

心臓リハビリテーションを行っているのが当院の大きな特徴で、クリニックの規模でここまでの心臓リハビリ設備を兼ね備えている施設は珍しいと思います。私は母校の大学病院で心臓血管外科・循環器内科に勤務し、心筋梗塞後など多くの急性期の患者さんを診てきましたが、早期に退院される方がいらっしゃる一方で、冬になると再発して入院される患者さんもいました。心臓リハビリの目的の一つに再発予防がありますが、前の段階で気づき、再入院する方を少しでも減らすことができたらと感じてきました。運動療法、食事療法、生活指導を包括的に行える場所が地域にあれば……と思ったのが開業のきっかけです。地域でも継続したリハビリが行えれば、通院に要する時間も待ち時間も減らすことができ、負担も軽減されると思います。

なぜ心臓リハビリテーションを続けることが必要なのでしょうか?

心臓リハビリテーションは、運動機能の回復をめざす一般的なリハビリと違い、再発や再入院をさせないことが目的です。心臓疾患は再入院を繰り返しながら悪くなっていく病気で、再発することで心臓の働きが低下し、安静生活を続けることによって筋力を含めた身体機能が衰えていってしまいます。ですから、心臓疾患を抱えた患者さんが体力や自信を回復し、再発を防止するために、適切な運動療法や食事指導、禁煙指導を一緒に行う心臓リハビリが必要なのです。急性期の心臓疾患の場合は大学病院でそれらを行いますが、地元に帰った後もしっかりと継続していくことが大切で、そういう場所をつくりたいと思いました。また、再発や悪化を招く要因は、風邪や食生活の乱れ、薬の飲み忘れなどがあり、リハビリで通っていれば、入院に至るまでに気づいてあげられます。それも心臓リハビリを継続する一つの意味だと思います。

心臓リハビリテーションは具体的にどのように行うのですか?

原田忠宜院長 いたばし・ハートクリニック2

患者さん一人ひとりの運動強度を測り、理学療法士ら他職種専門スタッフのチームで検討して患者さんに合った運動プログラムを作成しています。1回のプログラムは、約30分の診察と1時間のリハビリテーションから成り、社会復帰された方も無理なく継続できるよう、週3日の平日夜と土曜も行っています。院内にリハビリテーション室があり、実際に運動してもらいながら指導していますが、そのようなクリニックは珍しいと思います。心臓リハビリはずっと医療機関で続けなくてはいけないかというと、そうではないんですね。しっかりとご本人が理解して、再発予防のための運動や食生活を身につけたら、後はご自身で管理していくことを目標としています。当院では、民間のスポーツジムや公共施設で続けられる患者さんのためのプログラム作成も行っています。

リハビリテーション室は一面が鏡になっていて、スポーツジムのようですね。

クリニックの無機質な感じではなく、ジムにいるような雰囲気にすることで、患者さんの気持ちも変わってくると考えました。実際、リハビリテーションには一般のスポーツクラブで使われているトレーニングマシンも使います。リハビリ室の隣には更衣室も用意し、管理栄養士が常駐する相談室や検査室も備えています。検査室では、心疾患の有無や程度を調べる運動負荷試験、心臓のポンプ能力や弁膜症の有無、程度を調べる心臓超音波検査などを行うことができます。

管理栄養士、理学療法士とチーム医療で患者をサポート

専門スタッフによるチーム医療を重視していらっしゃるそうですね。

原田忠宜院長 いたばし・ハートクリニック3

運動療法、食事療法、生活指導を包括的に診る心臓リハビリテーションでは、それぞれの専門職が連携したチーム医療がとても大切です。当院には看護師4人、理学療法士3人、管理栄養士1人がおり、看護師の1人は心臓リハビリ専属で、常勤の理学療法士は心臓リハビリの知識を専門的に学んでいます。食生活については、相談室で管理栄養士によるきめ細かな指導やアドバイスを受けることができますし、運動療法ではリハビリテーション室で実際に運動しながら、理学療法士による具体的な指導を受けることができ、その都度見直すこともできます。受付も含めて全員、経験を積んだ信頼できるスタッフばかりで頼りにしています。スタッフ同士も仲が良く、風通しの良い雰囲気がそのままクリニック全体の雰囲気になっていると思います。

スタッフあってのクリニックという思いを、とても大切にされているのですね。

医療は私一人でできるものではありません。医師は「週3回、有酸素運動をしてください」といったことを言いますが、ではどれくらいの強度で心拍数はこれくらいで、といった具体的な指導にはつながっていないと思います。ですから、特に食事や運動については、医師から漠然とした指導を行うよりも、その道のプロフェッショナルに具体的な指導をしてもらったほうが絶対に良い、というのが僕の考えです。それは心臓リハビリテーションに限らず、生活習慣病についても言えること。運動や食事の指導は必ず必要ですから、当院では生活習慣病の方にも具体的な運動指導を行う時間を設けています。

近隣の医療機関との連携も強固だと伺いました。

原田忠宜院長 いたばし・ハートクリニック4

板橋は私の母校の帝京大学医学部附属病院をはじめ、近隣に大規模病院が数多くあるため、必要時には適切な病院へ迅速に紹介することが可能です。心臓リハビリテーションに関しては、近隣の基幹病院からの紹介だけでなく、東京大学医学部附属病院や日本赤十字社医療センターなど、他地域の病院からの紹介も増えてきました。スムーズな病診連携はもちろん、近くのクリニックをかかりつけにしながら、心臓リハビリは当院が担当するという診診連携も行っています。心臓リハビリを求めて来られる患者さんは多く、狭山市や品川区などからもいらっしゃいます。

地域のかかりつけ医として、育ててくれた町に恩返しを

診療で大切にされていることは何ですか?

原田忠宜院長 いたばし・ハートクリニック5

患者さんとよく話をするようにしています。大学病院ではどうしても時間に追われてしまうことがありましたから、患者さんの気持ちをくみ取り、一人ひとりに寄り添った診療を心がけています。患者さんはご自身の病気や体調に不安を感じていますから、来院しやすく、何でも話しやすい雰囲気をつくることが大切だと改めて感じています。最初に接する受付の丁寧な対応で気持ちがほぐれたり、医師に言いにくいようなことをほかのスタッフに話すことで不安が軽減されたりすることもあると思います。スタッフ全員でそうした思いをくみ取りながら、日々患者さんと接していきたいです。

地域医療にも力を入れていらっしゃるのですね。

心臓リハビリテーションだけでなく、風邪などの一般内科はもちろん、予防接種や健康診断など、かかりつけ医としても地域に貢献したいと考えています。板橋の下町のような気さくな雰囲気が好きで、医師として、人として育ててくれた町に恩返ししたいという思いは強いですね。地域に親しまれるクリニックであるよう、スタッフ全員思いを一つにして地域医療に取り組んでいきます。

最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

原田忠宜院長 いたばし・ハートクリニック6

心臓リハビリテーションはまだまだ認知度が低く、地域で行える場所も少ないのが現状です。社会復帰を果たし働いている方にこそ、長く健康的に生活していくために心臓リハビリを継続してほしいと願っています。そのためにも当院がモデルケースとなって、地域で心臓リハビリができる場所をもっと増やしたいですね。心臓疾患はもちろん、風邪や生活習慣病、ちょっとした体の不調など、気になることがあれば気軽にお越しいただけたらと思います。心臓リハビリに関心のある方、ご家族のことでもご相談ください。

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