予防医療がトレンド
口腔管理で体も健康に
ヒロデンタルクリニック
(西宮市/西宮北口駅)
最終更新日:2023/07/19


- 保険診療
近年、2025年度を目標に「国民皆歯科健診」の導入検討が政府から発表された。あまりにも唐突であったがため、逆に「なんでそんなことが必要なんだ?」という声も多く聞かれたが、なぜ導入検討が行われているかということに対しては掘り下げられることなく議論が終わってしまった。歯科医院のイメージとしては「虫歯治療をするところ」だが「ヒロデンタルクリニック」の田中宏幸院長の話では最近はそうでもないらしい。今回は「国民皆歯科健診」の話と「予防歯科」の話について話を聞いてみた。
(取材日2022年12月26日)
目次
定期的に検診を受ける習慣は、近い未来はもちろん将来にわたってさまざまなメリットへつながる
- Q国民皆歯科健診とはどういうことなんでしょうか?
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A
▲早期発見のため定期的な検診を続けることが必要と話す田中院長
1年に1回は歯科検診を受けましょうということですが、面白いのは国民皆歯科健診の「健」の文字は「検」ではないことです。これは全身の健康を守るために口の中を管理しましょうという意味合いが含まれていると思われ、そのゴール設定は全身的な生活習慣病を予防することまでを含んでいます。基本的に国の目標は医療費を減らすのが目的ですので、近年口腔の状態が全身に及ぼす影響に対しての研究論文が多数出てきたことはもちろん、医科の手術前に口腔清掃を依頼されることが多くなり、オンラインの保険請求等の結果の累積から歯の状態が良いと医科分野も含めた医療費が安くなるというデータがあるので導入が検討されていると思われます。
- Qお口の状態が全身に影響するんでしょうか?
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A
▲「再石灰化」という働きを促すためにも生活習慣の見直しを
それに対しての研究論文は現在多数あり、簡単に説明すると、歯ブラシして出血するようでは歯肉の炎症がありますので、炎症のコントロールをしないとさまざまな全身疾患に悪影響を及ぼすようです。私自身も当初は「そんなことはないだろう」と思いつつこの仕事をやっていましたが、経験を重ね自身の患者さんの経過を見ていると、口腔管理ができていれば全身状態も良好で年齢を重ねていきやすいという実感はあります。また高齢者の死亡原因で肺炎の割合は多いのですが、介護分野で口腔ケアを実践し、誤嚥性肺炎の予防に努めることで合併症や長寿につながることもあり、われわれの間でも「口腔ケア大事だね」ということが改めて認識されています。
- Qどのような予防対策を行うべきですか?
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A
▲家庭での毎日のケアと歯科医院での定期的な検診の両方が必須
歯磨きなどご家庭での毎日のケアと、歯科医院での定期的なお口のメンテナンスの両方が欠かせません。教科書的にはメンテナンスは3ヵ月に1度が基本です。過去の研究や、磨き残し部位の歯垢が骨に対して毒性を持つ細菌に移行する期間が3ヵ月だからです。細菌検査の結果、虫歯や歯周病のリスクが高い方は、それよりも短い周期でのチェックをお勧めすることがあります。検診では、歯、歯肉の状態をチェックして、問題があれば改善点をお伝えします。そしてたまに適さない歯磨き粉、歯ブラシ等もありますので、それらの使用状態についてもチェックしていきます。またレントゲン写真との併用で顎骨の膿の袋やその他の疾患の発見にもつながります。
- Q自身でのケアについてアドバイスはありますか?
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A
▲デンタルフロスや歯間ブラシを使用することも自宅のケアには有用
いろいろなブラッシング方法がありますが、どのようなやり方でも要は歯の全体がきれいになっていれば良いのです。そしてきれいにするためには、やはりデンタルフロスや歯間ブラシは欠かせません。虫歯、歯周病の歯のトラブルのほとんどが歯と歯の間から起こることから、ここを清掃していないと、歯の全体をきれいにするいう目的の要点を外していることになります。就寝時間は6〜8時間と長いため、特に寝る前の清掃をきちんとすることはかなり重要です。また細菌検査の結果、虫歯や歯周病のリスクが高い方や年齢を重ねて歯茎が下がり食べ物が詰まりやすい方は、食後つまようじを使用するより、歯間ブラシ等を携帯していただくのがお勧めです。
- Q貴院で行うプロケアについて教えてください。
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A
▲患者に合わせ、口の健康に役立つ情報提供に努めている
当院は予防歯科に力を入れており、治療後の歯を長持ちさせるということは、当院スタッフと患者さんの共通のゴールであります。まれに歯科衛生士がいなかった歯科医院に通院されていた方は、歯石除去もされていないことがありますので、歯科衛生士によるプロケアに疑問を持つ方もおられるのですが、自分のお口の中がきれいになってきたり、長期継続し、結果につながれば、喜んで通っていただけると思います。予防歯科は1、2年では結果は出ませんが、10年単位で継続することにより、高齢者になったときの残存歯数が全然違うはずです。また歯科医師に聞きにくい質問も気軽に聞けるので、うまくプロケアを使っていただけたら良いと思います。