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あるがままを受け入れることがポイント
通院で受ける森田療法

大西心療内科クリニック

(西宮市/香櫨園駅)

最終更新日:2019/10/31

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  • 保険診療

メンタルヘルスへの関心が高まり、さまざまな精神療法が行われている中、わが国発祥の精神療法の1つとしてあるのが森田療法だ。東京慈恵会医科大学精神神経科の森田正馬医師が、神経症の克服をめざして1919年に提唱。数週間の入院生活の中で取り組むこの方法が各地で普及してきたが、時代の変化に合わせ、この10年ほどの間に外来通院で取り組む医療機関が増えてきたという。「大西心療内科クリニック」の大西俊和院長も、自身が対人関係や大病に伴う精神症状を経験し、改めて外来での森田療法に力を入れるようになったのだとか。そこで今回は、森田療法の基本的な考え方や、どのようなタイプの患者に行うものなのか、また外来での進め方について、院長に詳しく紹介してもらった。 (取材日2019年10月2日)

医師との対話を重ね、「心の落とし穴」から抜け出し笑顔を取り戻せるように

Q森田療法とは、どういったものでしょうか。
A
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▲いつも朗らかな大西院長が森田療法について語ってくれた

私たちは一般的に、直面する悩みや困難に対して、強い不安などさまざまな感情を抱きます。森田療法では、そのような感情の起伏を、天気が晴れたり曇ったりするのと同じ「心の自然」として捉え、自分自身では「どうしようもないもの」だから、そのままにするように考えます。西洋の精神療法の多くでは、揺れ動く感情をコントロールしようとしますが、森田療法ではその感情にエネルギーを費やさずそのままにし、日常生活の中で大事な「目的本位の行動」に意識を向けて、取り組んでいきます。雨が降っていたら、晴れにしようとするのではなく、傘をさして移動すれば良いということです。

Q森田療法に適しているのは、どのような患者さんですか。
A
2

▲院内は清潔感にあふれ、安らぎの空間が広がる

森田療法では「神経症」と呼びますが、日常生活に適応できない不安から起こる葛藤が、身体や行動の症状として現れている方が対象です。電車の中や暗がりなど、特定の場所で起こるパニック障害、戸締まりや手洗いなどを繰り返してしまう強迫性障害、検査では異常がないのに体調不良が続く身体症状症の方もおられます。このような患者さんは、内向的で心配性、物事にこだわりがちで、かつ完全主義・理想主義者であるといった独特の性格傾向がみられます。このため、不安を取り除こうとむきになったり、「あるべき自分」と比べて今の自分を責めたりして悪循環に入り込み、自由な思考や行動を失ってしまうという特徴があります。

Q外来の森田療法では、具体的にどのようなことをするのですか。
A
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▲患者とは日記でやりとりを行うことも

入院の森田療法では、一定期間の安静や作業など、体験を通じた取り組みが中心になります。一方、外来の森田療法では、患者さんが直面する悩みや思いを診察室で医師がじっくりとお聞きし、同時に今お話ししたような森田療法の考え方をお伝えし、悩みの捉え方や心の持ちようを変え、行動や症状を変えていけるようにサポートします。また当クリニックでは、患者さんが書かれた日記を私が読んでコメントをつけるという方法も併用しますし、心を落ち着かせる神経伝達物質であるセロトニンを増やすためのアドバイスもします。患者さんのご希望があれば、リラックスのイメージを高める自律訓練法のご指導も行います。

Q診療の中で、先生が大事にされていることを教えてください。
A
4

▲「目的本位の行動」に意識を向け、患者の不安を取り除いていく

患者さんは不安や自己否定に満ちていますが、実際にはできていることも多々あります。「あの上司が嫌だ、自分はダメだ」と言いつつ、仕事をして家族も支えている。しかしご本人にはそれが見えなくなっていることが多いので、「こんなこともできているよ」とお伝えし、「ああそうだ」と気づいてもらいます。また患者さんは連想力が豊かで、1つの心配事から不安を募らせ行動を制限しがちです。「パニックになりそうだから外出しない」のではなく、「出かけるのは買い物がしたいからなんだ」という本来の目的を思い出してもらうように伝えます。こうして患者さんの気持ちに共感しつつ、連想から生まれた不安を取り除くようにしています。

Q先生はなぜ、森田療法に注力されているのですか。
A
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▲森田療法に関するパンフレットなども用いて診療を行う

屋外から聞こえる虫の声に、日本人は季節の移り変わりや自然の美しさを連想しますが、海外の方には雑音に聞こえることもあるそうです。対人関係での「自分を抑える」という姿勢も、日本人ならではですよね。また最近では、生活の中にある不安だけでなく、テレビやインターネットで得た、いわばご自身とは直接関係のない要因から不安になってしまう方も。この方法は、日本人の感性や生真面目さになじみやすく、必要とされる方は昔も今も変わらずいらっしゃると感じています。薬剤を使いませんので、安心して取り組める点も特徴です。単なる治療技法にとどまらず、自己実現や人間成長をめざす学び尽きない生き方の知恵をわれわれに与えてくれます。

ドクターからのメッセージ

大西 俊和院長

悩み事があるときに一人で考えると、どうしても悪循環に陥り心の落とし穴に入ってしまいがちです。医師でなくてもいいので、誰かに自分の思いを話したほうが良いと思いますね。私はカラオケが好きでよく行くのですが、飲んだり歌ったりしながら話をしていると、心がほぐれてきます。真面目な方は、ご自身の症状や病気についてある程度調べますし、予測がついているにもかかわらず、知り合いには胸の内を明かせず、孤独の悪循環に陥りがちです。医療機関でしたらご家族間であっても守秘義務は厳守します。当クリニックのような場所で、一歩を踏み出してもらえればと思います。

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