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田中 純子 院長の独自取材記事

フローレンスこどもと心クリニック

(渋谷区/初台駅)

最終更新日:2024/04/03

田中純子院長 フローレンスこどもと心クリニック main

初台駅から徒歩6分。「フローレンスこどもと心クリニック」は、「おやこ基地シブヤ」のビル3階にある小児科・心療内科・精神科・児童精神科のクリニックだ。院長の田中純子先生は、自身も子育てをしながら医師を続ける中で、育児に関する社会問題に取り組む認定NPO法人フローレンスの活動に共感し、ともに活動する中で必要とされる医療を提供するため同院の開業に至った。「親子と女性の“つらい”にともに立ち向かう」をコンセプトに掲げ、小児科以外にも女性のための心療内科や、不登校や発達に悩む人たちのケアにも力を入れる。患者の気持ちに寄り添い、笑顔を絶やさず周りにポジティブなエネルギーを与える田中院長に、クリニックの特徴や診療内容、今後の展望などについて聞いた。

(取材日2024年2月8日)

親の不安を「安心」に変え子どもの「治る」をサポート

クリニックの開業に至るまでの経緯について伺います。

田中純子院長 フローレンスこどもと心クリニック1

出産後、子どもが病気のときに預けられる病児保育を探している中で、認定NPO法人フローレンスを知りました。育児に関わる人の手助けをするだけではなく、社会を変えようとする同法人の活動は衝撃的で、当時ちょうど医師を募集していたこともあり、一緒に仕事をすることになったんです。いろいろご縁があり、病児保育室と小児科医院を備えた保育施設「おやこ基地シブヤ」の構想が持ち上がり、施設の完成とともにこの場所に開業しました。

開業してからこれまでクリニックとして変化した部分はありますか?

やはり新型コロナウイルス感染症の影響が一番大きいですね。感染ピーク時には患者さんの受診がぱたりと途絶えてしまいましたが、ピークが過ぎた途端、今度は発熱している方を積極的に受け入れる状況になり、地域の皆さんのワクチン接種に追われるなど、とにかく状況の変化が著しかったです。ここ最近は、新型コロナウイルス感染症の流行の影響で少し落ち着いていた子どもの感染症が増えてきており、小児科の診療は常にたくさんの患者さんに対応している状態です。

クリニックのコンセプトとして掲げていることがあれば教えてください。

田中純子院長 フローレンスこどもと心クリニック2

当院のコンセプトは「親子と女性の“つらい”にともに立ち向かう」です。社会的に負荷がかかりやすい方を助けたいという思いを共有し、みんなで親子の“つらい”を和らげ、「親子の可能性が花開く社会」をビジョンに掲げています。その中で、私たちが果たすべきミッションが「親の『どうしよう?』を『大丈夫』に変え、子どもの『治る』を助ける」。このビジョンとミッションは毎朝の朝礼でスタッフが順番に読み上げており、私だけでなくスタッフも含めて、それぞれの持ち場で親御さんたちのお手伝いができるよう日々意識しています。

子育ての不安を少しでも和らげるような診療を提供

クリニックで対応している診療内容について教えてください。

田中純子院長 フローレンスこどもと心クリニック3

小児科の他に、不登校の子どもたちの心をケアするための外来、発達の評価や発達障害の診断をするために専門に診る外来、女性のための心療内科も行っています。当初は小児科をメインとした一般診療を行うクリニックでしたが、開業して数年たち、患者さんとも顔なじみになってきたところで、不登校やお子さんの発達に関する相談を受ける機会が増えてきたんです。そんな矢先、思春期の子どもの心を専門に診療されている先生と出会い、当院で外来を担当していただくことになったのが始まりです。また、今は社会の構造的に、子どもの心配や自分の仕事の負荷、家族関係など、かなり女性に負荷がかかりやすい時代だと感じています。特にお子さんの不登校や発達の悩みを抱えているご家庭は、心理的な負荷がお母さんにかかりやすいため、そんなお母さんたちをサポートしたいと、精神科・心療内科もあわせて開設することにしたのです。

心療内科、不登校の外来では具体的にどのような診療を行っているのでしょうか。

心療内科では心理テストを行い、その方の性格の傾向や現在の負荷を聞き取りつつ、相談しながら漢方薬や西洋薬をお出ししていきます。病気の性質上すぐに改善に向かうことは難しいため、症状との付き合い方を、医師と一緒に壁打ちしながら模索していくイメージです。不登校の子どもたちのための外来では、お子さんとお母さんの両方からお話を伺い、不登校の経過を見て、具体的な困り事に対しアドバイスを行います。また、身体症状を伴うようであれば、それに合わせた薬をお出しします。お母さんに話せなかったことも医師になら自然と話せるということもあるため、お子さんとのコミュニケーションで悩んでいる方はぜひご相談ください。

現在のスタッフ体制について教えてください。

田中純子院長 フローレンスこどもと心クリニック4

医師は小児科に6人、心療内科に1人、不登校のお子さんのための外来に1人、隔月土曜に診療している発達を診るための外来に1人という体制です。あとは大勢のスタッフにも支えられていますね。人柄重視で採用していて、基本的に子どもが大好きな人ばかりです。日頃からチャット機能を使ってコミュニケーションを取ったり、朝礼や夕礼も行ったりしています。そこでは、クリニックのビジョンやミッションなどを話して、われわれの向かう先がどこなのかをみんなで認識するようにしています。受付での困り事や患者さんからのクレームはなにかしら仕組みが悪いことも多いので、積極的に改善するように努めています。自主性のあるスタッフが多く、何でもその場で話すように心がけており、私が何か言わなくても自分たちで解決してくれることも多いので、とても助かっています。

親子と女性の「つらい」にともに立ち向かうクリニック

どういったお悩みをお持ちの方に来てほしいとお考えですか?

田中純子院長 フローレンスこどもと心クリニック5

不登校の外来に関しては、不登校そのものが悪いことだと思っていないんです。なので、困っていないという方はそのままでも良いと思うのですが、葛藤が生じてこのままでいいのかなとか不安を抱えている方や、身体症状が出て日常生活のバランスが崩れているという方はぜひご相談ください。一人で抱えているとどうしても行き詰まってしまうので、どこかしらの社会資源とつながってほしいと思いますし、その一つが当院でありたいですね。心療内科は、特に家族関係で悩んでいる方はぜひいらしてください。女性は年齢ごとに抱える症状も変わってきます。すごく状態が悪くなってからだとリカバリーにも時間がかかってしまうので、どうかひどくなる前にご相談ください。当院は小児科も診療していますので、心療内科専門のクリニックよりも受診のハードルが低いのではないかと思います。患者さんからも「子どもと一緒に相談できてうれしい」と言われることも多いですね。

クリニックの今後の展望について伺えますか?

今は感染症などのご相談が多く、子どもの診療に専念していますが、個人的に実現させたい取り組みとして、女性の体の諸症状のコントロールをもっと若い年齢のうちから行いたいということです。例えば、中学生くらいの年齢の患者さんにも月経困難症に悩まれているのであれば、ピルの処方ができたらいいなと思っています。つい先日HPVワクチンの勉強会を東京都の議員さん向けて行いました。男性へのHPVワクチン接種の公費化があと一歩というところまできていますので、そこの推進にも力添えができたらいいなと思っています。そうした活動を通じて、将来的には、今普通でないことが普通になる社会になっていくことをめざしています。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

田中純子院長 フローレンスこどもと心クリニック6

小児科も女性の心のつらさも、「こんなこと話していいのかな?」と迷ったら、まずお越しいただけたらうれしいです。全体の割合では小児科を受診される患者さんが多数を占めますが、心療内科やその他の外来も、患者さん思いのとてもいい先生たちが担当してくださっています。不登校の外来の先生は、私たちでも接するのが難しい思春期の子たちとも、とても上手にお話しされています。心療内科の先生はとにかく穏やかで、話しているだけで気持ちも落ち着くのではないかと思います。近年は、「お母さんはしっかりしなきゃいけない」「家事も育児も完璧じゃないといけない」など、まだまだお母さんに対してのイメージが強く根づいていると思います。私自身も子をもつ身なのでよくわかります。また、困っているお子さんや女性の支えになりたいと強く思っていますので、今何か不安を抱えてらっしゃる方がいましたら、どんなことでも結構です。お気軽にご相談ください。

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