初期は症状が出にくい生活習慣病
定期的な受診が健康を守る指針に
クレアクリニック
(仙台市青葉区/あおば通駅)
最終更新日:2022/08/24


- 保険診療
診療科が細分化され、より専門性の高い医療を受けられるようになった一方で、どの科を受診すべきか迷うことも多いのではないだろうか。「そんなときの案内役になれたらと思っています」。そう笑顔で話すのは、日本内科学会総合内科専門医として、地域医療や専門的な医療に携わってきた「クリアクリニック」の宮崎武文院長だ。これまで消化器内科を中心に、飲酒、肥満、運動不足、不規則な生活など、日々の悪習慣の積み重ねによる数々の生活習慣病にも向き合ってきた宮崎院長。がんも生活習慣病の一つと捉え、同院では術後の経過観察を担うこともあるという。そんなさまざまな疾患の入り口として地域の健康を守っている宮崎院長に、これからさらに増えることが予想されている生活習慣病について、さまざまな角度からわかりやすく解説してもらった。
(取材日2022年7月12日)
目次
30代後半から40代の働き盛りは要注意。健康診断で少しでも気になる数値があれば早めの受診を
- Q生活習慣病とは具体的にどういった病気を指すのでしょうか?
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A
▲穏やかな口調で丁寧に説明してくれる宮崎先生
偏った食生活、運動不足、過度な喫煙や飲酒。そのような健康に悪影響を与える生活習慣が発症の要因となる病気を一般的に生活習慣病といいます。具体的には糖尿病、高血圧、脂質異常症、痛風、脂肪肝、肝硬変などの代表的な疾患、そして直接命に関わる病気としては、がん、心筋梗塞、脳梗塞などが挙げられます。日々の積み重ねによるものですので、20代から30代にかけて症状が出る方は少なく40代くらいから徐々に増加。飲酒習慣などが原因となる疾患もあるため、男女でかかりやすい病気にも違いがあるように感じます。30代後半から40代といった働き盛りの方は要注意。どうしても無理しがちな上、検査から足が遠のきがちな世代ですから。
- Q生活習慣病の怖さについて教えてください。
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A
▲早めの受診・相談を呼びかけている
特に糖尿病、脂質異常症、高血圧などは、初期に症状が出ることはまずほぼありません。症状が出た時には心筋梗塞、脳卒中などの重篤な病気に向けて、すでに進行している状態であるといえるでしょう。このように、気づかないうちに進行し、症状が出た頃には重篤化しているケースが多いのが最も怖い点。ですから、症状が出る前に生活の見直しをすることが予防策だといえます。症状が出にくいだけに難しい面もあると思いますが、健康診断の結果を放置しないことが重要。定期的に健診を受けて、少しでも気になる数値があれば早めの受診を心がけてください。また、遺伝的な要素で、若年層でも発症する場合があることを心にとどめていただきたいです。
- Q軽微な異常では受診につながらないケースが多いそうですね。
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A
▲定期検診を推奨する院長。早期発見が重要
会社の健診で引っかかったからと来院される方が多いのですが、その前の健診でも数値がギリギリであったなど、何かしらの予兆が出ていた方も少なくありません。しかし、その段階ではなかなか受診をするまでに至らないというのが実情です。異常値が出る前に手を打つことはとても大事。そういった意味でも健診は重要なバロメーターだと考えます。正常の範囲であっても何かしらのサインが出ていることもありますので、その結果をもとにかかりつけを受診し、適切なアドバイスをもらう。それを習慣化することで、病気の発症を防ぐことができるのではないかと考えていますし、積極的にご自身の健康について取り組んでいただけたらと思います。
- Q受診するタイミングはどう判断すればよいでしょう。
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A
▲さまざまな患者の背景に寄り添いながら診断を行う
検診などで異常値が出ている項目があったり、すでに自覚症状がある場合は、重篤な病気が潜んでいる可能性がありますので、早急に受診されてください。また、気づきのポイントとしては、糖尿病であれば「口が渇きやすい」「頻尿」、高血圧では「めまい」「頭痛」などの症状がきっかけとなって診断につながるケースもあります。何かおかしいなと感じる時は迷わず受診されてください。それ以外のケースでは、先ほどお伝えしたように、定期的にかかりつけを受診し、ご自身の体の状態について知っておくこと。症状がなくとも、半年に一度など、ある一定の間隔でかかりつけへ足を運ぶというのが理想の受診サイクルだといえるでしょう。
- Q定期的な受診が重要なのですね。
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A
▲平日は19時まで、土曜日も18時まで診療している
ええ、そこでご自身の体の状態に合わせたアドバイスをもらうことが重要だと思います。あとは規則正しい生活。3食バランスよく食べる、できるだけ間食を控える、喫煙をしない、飲酒は適量、あと運動などを心がけること。当たり前のことですが、これがなかなか難しいんですよね。そういった日々の生活習慣の改善については当院でもアドバイスしております。すでに生活習慣病になってしまった方においても、重症化させないことが重要。例えば、糖尿病が進行すれば糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経症といった合併症を引き起こすことも。そのため、病気を進行させないよう薬の服用などでうまくコントロールしていくことも大事です。