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中村 敬 院長の独自取材記事

東京慈恵会医科大学附属第三病院

(狛江市/国領駅)

最終更新日:2020/04/01

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京王線国領駅からバスで約4分、小田急線狛江駅からはバスで約10分の立地にある「東京慈恵会医科大学附属第三病院」。大学の附属病院として専門的医療を提供しており、高次元医用画像工学研究所と連携するハイテクナビゲーション手術室や結核専用病棟などの医療施設を有している。また、狛江市、調布市界隈の基幹病院としての機能も担う。率いるのは2014年から院長に就任した中村敬先生。大学で哲学を学び、心の領域を実践の場で研究したいと精神科医の道に進んだという。やさしい眼差しで穏やかに話すその姿からは、「病気を診ずして病人を診よ」という建学の精神がひしひしと伝わってくる。そんな中村院長に病院の特徴などについて聞いた。
(取材日2016年6月9日)

想像力を働かせて、共感と思いやりに基づく医療を提供

病院の成り立ちと歴史についてお話しください。

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1950年に東京慈恵会医科大学の3番目の附属病院として開設されました。第三分院という名称の時期もありましたが、1986 年から第三病院という名称になっています。当初は木造建てでしたが、1970年に現在の9階建ての本館病棟が新築されました。以来、森田療法棟、新手術棟、新医局棟など増改築を重ねてきており、2016年6月現在、一般病床534床、結核27床、精神20床で、総床581床となっています。

病院の理念をお聞かせください。

「”病気を診ずして病人を診よ”の教えに基づき質の高い医療を実践し、医療人を育成することにより、社会に貢献し患者さんや家族から信頼される病院をめざす」というのが4病院共通の理念ですが、これを再解釈して当病院が今年掲げたモットーが「共感と思いやりに基づく医療(Empathy Based Medicine)の推進」です。これは患者さんの立場そのものに立つことはできないけれど、患者さんの気持ちに共感して想像力を働かせることで、どういう医療サービスが求められているか、何をすればよいか、どういう言葉で患者さんとお話しすればよいか、といったことをスタッフが考えながら実践していくことをめざしています。院内の各部署では具体的な実践目標を立てておりますので、その成果を年度末に検証し、その功労者を「ベストホスピタリティ賞」として表彰する予定です。ほかにも救急医療やチーム医療についても功労者を表彰しています。

病院長として病院運営にどのような思いを注いでおられますか。

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一つはチーム医療を推進していきたいと考えています。チームというとリーダーの指示にしたがって団結するというイメージがありますが、そうではなくて、医師や看護師、コメディカルのスタッフ一人ひとりが対等の立場で意見を出し合いながら最善の医療を提供する、そんなチーム医療です。建学者の高木兼寛先生は「医師と看護師は車の両輪のごとし」という言葉を残していますが、医療に関わるすべてのスタッフが職種を超えてともに協力するチーム医療の推進を図っていきたいですね。現場の声を拾い上げて病院運営に反映させていくことも重要と考えています。一つの例として当院の緩和ケアチームの成り立ちがあります。当院では看護師たちが自発的に活動を始め,後から医師をはじめ多職種が加わって緩和ケアチームができた経緯があり,現場から立ち上げられたチームとして、うまく機能しています。

独自のハイテクナビゲーション手術でより安全に

地域における病院の位置づけと役割について教えてください。

大学の附属病院ですから、質の高い先進的医療の提供と優れた医療人の育成という使命がありますが、もう一つは調布市、狛江市、世田谷区にまたがる地域の急性期病院という役割も担っています。当病院の外来患者さんは65歳以上の高齢者が約55%を占めており、4病院の中でも最も高くなっています。ご高齢の方は複数の疾患を重ね持っていることが多いですから、総合診療の役割がとても重要となります。来年からの総合診療の専門研修プログラム実施に向けて総合診療研修センターも設置して、総合診療医の育成も図っていく予定です。また昨年、東京都地域連携型認知症疾患医療センターの指定を受けており、認知症疾患への対応も強化していく予定です。「もっと地域へ」を合言葉に高齢者の多い地域のニーズに即した医療提供をさらに充実させていきたいですね。

こちらの病院で特に力を入れている診療分野について教えてください。

まずがん診療です。今年度から東京都がん診療連携拠点病院に指定されており、がん診療を行なう複数の診療科間の連携や外来化学療法室、緩和ケア室、がん相談支援室なども含めてがん診療のチーム医療を推進しています。また、外科領域では、高次元医用画像工学所と連携したハイテクナビゲーション手術室を設置しています。ハイテクナビゲーション手術は、事前にCT撮影した3次元の画像と実際の手術野の画像を重ね合わせたナビゲーションモニター画像によって手術を誘導するシステムです。臓器の裏側など見えない部分もCT画像に映し出されるため、より安全に手術することができます。現在は肝臓、胆嚢、膵臓および耳鼻科の手術に適用しています。また、内視鏡部では、「安全で確実、苦痛のない内視鏡」をモットーに、鎮静剤・鎮痛剤を用いた意識下鎮静法を基本にした内視鏡検査・治療を行っているほか、先端の高次内視鏡治療も実施しています。

股関節疾患の治療や手術も得意と伺いましたが。

そうですね。股関節疾患の手術については他の附属病院の患者さんもほとんどこちらの整形外科で行っています。変形性股関節症や大腿骨頸部骨折など高齢者に多い疾患や先天性股関節脱臼、大腿骨頭すべり症といった子どもの股関節疾患に対し、高度な専門的診療を行っています。術式もいろいろあり、その中から適した治療法を選択しています。リハビリテーションにも力を入れており、中でもHAD(Hospitalization-associated disability)と略される「入院関連機能障害」の予防に努めています。肺炎や心不全などで長期に入院した場合、下肢の筋力の低下や歩行障害などが起こることがあります。そのリスクを減らすため、各診療科の主治医とリハビリーション科医師、理学療法士が連携して入院早期からリハビリを行っています。

もっと地域へ。2022年には新病院が竣工予定

地域連携はどのような体制になっていますか。

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総合医療支援センターのなかにある医療連携室を地域連携の窓口として、病病、病診連携に力を入れています。登録医制度を実施しており、現在、300人ほどの医師に登録していただいていて、紹介・逆紹介の流れが円滑になっています。昨年からは地域の医療機関からウェブで診療予約できるようになりました。また、年2回、地域の医師や福祉、介護の関連施設、行政の方々などを対象に第三病院医療連携フォーラムを開催して、さまざまな医療関係のテーマについて情報共有しています。今年は認知症を、昨年は防災医療を取り上げました。

ところで院長は精神科がご専門ですが、なぜ精神科医をめざされたのですか。

両親が小児科医で、小さい頃に父の勤める病院で診てもらったことも多かったので、医師になるのは自然な流れだったかもしれませんね。でも最初から医師をめざしたわけではありません。実は、高校時代は文科系に関心が強く、大学は哲学科に進んだのです。けれども哲学の勉強をしているうちに、机上の論理ではなく実践的なことをしたいと思い、医学部に入りなおしました。哲学に現象学という、先入観を排してその姿をありのままに見るという考え方があるのですが、精神医学にも同様の考え方があり、近しい部分もあります。人間のあり方や人間の心の奥深さに関心があったのですね。森田療法にはこの大学に入ってから出会いましたが、やっていくうちにとても興味がわきましたね。

では最後に今後の展望をお願いいたします。

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2020年に新病棟の建設が着工し、2022年に竣工する予定です。単に建物を新設するということではなく、病院そのもののコンセプトも新たになる予定で、今、そのコンセプト作りをしているところです。総合診療が一つの大きな柱になると思いますが、住民の方々や行政など地域のさまざまなニーズに対応できる病院、そして地域の方々の安心と信頼を得られる病院として、より一層地域に貢献できる病院にしていきたいと考えています。

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