うつ病初期や重症の適切な治療
新たな治療法TMS療法にも着目

脳機能にエラーが起きるのがうつ病の特徴。一人で悩まず、先進の検査や自身に合った治療を受けることが大事

Q患者さんからの相談で多いものは何ですか？

A

▲駅からのアクセスも良好

元気がない、やる気が出ない、体がだるい、頭が働かない、気持ちに余裕が持てないなどさまざまです。表現の仕方は一人ひとり違えど、それらはすべて心と体が全体的に弱っている状態といえますね。そしてご相談に来た患者さんの中の一部が、ストレスが主な原因で起きる自律神経失調症や、体感だけでなく脳の機能にも支障を来すうつ病などを患っています。意欲が出ない、体がだるいといった症状は誰しも経験し得るもので、脳に問題がない限り医学的に病気とは診断されません。しかしうつ病の方は脳神経がエラーを起こしている状態ですので、これ以上つらい思いをしないように、なるべく早く発見し治療を始めることが大切です。

Qうつ病の診断方法について教えてください。

A

▲検査も充実している

一般的には、患者さんの主観的な症状と、その方の性格・知能・発達段階・認知機能などを心理士が客観的にテストする心理検査を踏まえて診断します。しかし近年は、頭部に専用の機器を装着し、脳の血流量を測定することで脳機能を直接調べる「光トポグラフィー検査」が誕生し、より精密な診断につなげられるようになりました。これは脳の血流量パターンを数値化してグラフデータにし、客観的に把握できる画期的な検査方法です。当院でもこの光トポグラフィー検査を導入しており、問診と併せて実施することで総合的な診断につなげています。また、検査結果は当日中にお渡しが可能です。

Qうつ病と診断された場合にはどのような治療法がありますか？

A

▲親身になって話を聞いてくれる

主な治療法は、薬物療法とTMS治療（磁気刺激治療）の2つです。TMSはその名のとおり、脳に磁気刺激を与え低下した脳機能を回復させる目的の新しい治療法で、より早くうつ病を治したい方などに行われています。ほかには、心の面からアプローチする方法として、カウンセリングもあります。どの方法を採用するかは患者さんのご希望やクリニック側の提案をもとに決定し、必要に応じて別の方法を追加または省略するというのが一般的でしょう。いずれも患者さんの調子を整え、元の生活を成り立たせることが目標ですので、ご本人がご納得できる形で治療を始められるよう事前にしっかりコミュニケーションを図ることが重要です。

Q治療において注意すべき点はありますか。

A

▲同院ではカウンセリング療法を勧めている

薬物には副作用・耐性・依存の3つのリスクがあり、長期服用は避けるのが望ましいといえます。実際、予想外に治療が長引き、当院にご相談にいらっしゃる患者さんも少なからずいらっしゃいます。そのため、当院では薬物に頼らない診療をお勧めしています。大切なのは、患者さん自身が症状の原因となる核心の部分を解消できること。悩みをしっかり把握し一緒に協力しながら健康を取り戻していきたいと思っています。

Q治療の際に貴院が大切にしていることを教えてください。

A

▲どんな相談にも対応してくれる

患者さんの健康と、その先にある仕事・家庭・学校などの日常生活を取り戻すために、まずは治療の目標を明確にします。そして目標達成に向け、ご本人にとってより良い治療法を一緒に見つけます。ただし、目標や手段を決めるには患者さんの現状を正確に知る必要があるため、治療前のコミュニケーションや各種検査も重要です。こうした一連の治療の流れは、麓の状況を把握し、山頂にたどり着くためにどの道を通るのか決定する、山登りの手順に似ていますね。またコミュニケーション面においては、精神科の基本である傾聴・共感・支持的な姿勢を心がけています。患者さんの心に寄り添い、いかに信頼関係を築けるかがうつ病治療の最もコアな部分です。