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大野 幹夫 院長の独自取材記事

フラテ痛みのクリニック

(杉並区/八幡山駅)

最終更新日:2023/07/19

大野幹夫院長 フラテ痛みのクリニック main

八幡山駅から徒歩1分という好立地だが、洋菓子店などが並ぶ静かな一角にある「フラテ痛みのクリニック」。長年、北海道の地域中核病院で麻酔科医として研鑽を積んできた大野幹夫先生が2016年に開業した。花壇に彩られた入り口にはスロープもあり、車いすの人でも通いやすいだろう。アイボリーを基調とした待合室はセンスの良いファブリックパネルや季節の小物などが飾られ心落ち着く空間だ。病院名にもなったフラテとはラテン語で友愛や友情を意味するFrate。ペインクリニックとはどういう治療を行うのか、病院のロゴマークにも記したヨーロッパの古い格言Festina Lenteに込めた医療にかける思いとはどのようなものなのかなど、詳しく話を聞いた。

(取材日2023年6月16日)

多用な痛みの原因を探り適切にコントロールを図る

まず、ペインクリニックとはどんな治療をするところなのか教えてください。

大野幹夫院長 フラテ痛みのクリニック1

ペインクリニック科とは、頭の先からつま先まで、全身のすべての痛みを治療する診療科です。痛みとは体のどこかがおかしいと知らせるサインなので、まず、しっかりと原因を特定しなければいけません。その上で、迅速に治療に結びつけていくのが大事です。必要があれば他の診療科や高度医療機関につなぐこともあります。また、痛みの原因となっていたケガや病気が治ったのに残る慢性痛もペインクリニックに相談してください。例えば、帯状疱疹後神経痛などは長く付き合わなくてはいけませんが、10の痛みを2か3くらいまで下げることは十分めざせます。痛みを0にすることをめざして薬の量を増やすこともできますが、副作用で日常生活に支障を来してしまうのでお勧めできません。痛みの8割くらいの除去をめざして生活の質を向上させるためのサポートができればと思います。

どんな悩みで訪れる患者さんが多いのでしょうか。

頭痛、腰痛、肩凝り、顔面痛、脚の痛み、胸の痛み、お尻の痛みなど、あらゆる痛みでお悩みの患者さんがいらっしゃいますね。まれにリウマチなどの膠原病が隠れていることもあるので、見つかり次第、専門外来がある病院を紹介しています。原因不明の痛みというのも実は少なくないのですが、対症療法によって患者さんの苦痛の軽減をめざすのも、ペインクリニックの役目です。一方、長引く頭痛はまれに大きな病気が潜んでいるので注意してください。9割は問題ありませんが、脳腫瘍、髄膜腫などが原因というケースもあるので、土日を含めてスピーディーに検査が可能なMRI専門クリニックを紹介しています。

院内の検査体制も充実していますね。

大野幹夫院長 フラテ痛みのクリニック2

適切な診断ができるように超音波エコー、骨密度、呼吸機能、心電図などの診断機器を設置しました。大したことはないと思っても、念のために検査すると大きな病気が隠れていることもありますので、気をつけたいですね。実は、私は勤務医時代に救急医療の現場に麻酔科医として数多く立ち会った経験があります。そこで、急性期のいろいろな患者さんを見てきたことも診断を下す上で役立っているように思います。

迅速に診断し患者の痛みに共感しながらの診療

体に痛みがある時、整体に行ってしまう人も少なくありません。

大野幹夫院長 フラテ痛みのクリニック3

ただの筋肉痛のように思える痛みでも何が隠れているかわからないので、やはり一度は検査を受けるのをお勧めします。しっかりと検査をして診断名をつけた上で治療を行うというのはクリニックしかできません。具体的には投薬治療がメインになりますが、例えば当院では集中治療室と同じ集中モニター装置、人工呼吸器、AEDなどを備えた体制で神経ブロック治療などもできるようにしてあります。痛みを緩和するための神経ブロック治療は注射なので苦手という方には、患部に低出力レーザーを照射する治療も可能です。その他、超音波エコーを用いたトリガーポイント注射なども行っています。

診療にあたって大切にしていることを教えてください。

患者さんに共感することでしょうか。痛みというのは血糖値や血圧のように測定できませんし、他人に伝えにくいものです。家族にも「仕事に行きたくないからでしょ」なんて理解してもらえないこともあります。誰も信じてくれなかったとしても、私が寄り添います。クリニック名でもある「フラテ」は、ラテン語で友愛や友情という意味なのですが、患者さんと友人や兄弟のような関係を築きたいという思いを込めました。どんなことでもお話ししていただける間柄にならないと、患者さんが本当は何を望んでいるのか教えていただけないです。そして、その望みをかなえるために適切な治療法について、いろいろな選択肢をわかりやすく説明し、最終的には患者さんに選んでいただく、そんな診療をしていきたいです。

そのような診療ポリシーを持つに至ったご経歴についてお聞かせください。

大野幹夫院長 フラテ痛みのクリニック4

実は北海道大学を卒業した頃は臨床医になるつもりはなくて、脳と神経の研究に従事していました。神経科学者のエリック・カンデルの著作を読み、面白そうと思ったのがきっかけです。でも、並行して病院でアルバイトをしているうちに「自分が本当にやりがいを感じられるのは臨床だ」と、気づいたんです。これまでの研究との関連性から麻酔科を選び、手術の全身管理、救急救命、ペインクリニックをローテーションしながら経験を積んでいきました。なぜか、今でも忘れられないのは末期がんの方などペインクリニックの患者さんばかりで、寄り添う医療の大切さを教えていただきましたね。とはいえ、実は当時はペインクリニックが一番苦手でした。10のうち2つか3つでもかなえば人生は大成功と思いますが、痛みのコントロールでめざすのと同じ比率です。

痛みは孤独。だからこそこれからも患者に寄り添いたい

今後の展望についてお聞かせください。

大野幹夫院長 フラテ痛みのクリニック5

北海道大学病院や地域中核病院で約40年勤務した後に、生まれ育った町の近くに戻って開業したのは、近隣にペインクリニックがないと聞いたからでした。専門的なクリニックをつくって地域医療に貢献したいと考えたんです。これからも、私が培ってきた経験や技術を必要としてくれる人がいる限り、続けていきたいです。やはり、いろいろな方と接していると多様な宗教観にふれる機会もあり、ふと、子どもの頃にプロテスタントの日曜学校に通っていたのを思い出したりします。お菓子ももらえるし、友達と遊べるから行っていただけなんですが(笑)。個人的には仏教の方がなじみがあるのですが、釈迦が悟りを自分だけのものにせずたくさんの人を救った姿にならっていきたいです。

心を尽くして医療に貢献する日々ですが、リフレッシュ法などはありますか?

天体観測や天文写真を撮ることでしょうか。待合室に飾ってあるのも、私が撮影したばら星雲なんですよ。小学校から高校まで学んだ成蹊学園は天文部の活動がとても活発で、部員の写真が雑誌の表紙になったりするほどでした。私も天文学者を夢見たこともありましたが、夜が苦手という致命的な欠陥があり(笑)、結局は理学部ではなく医学部に進むことになったんです。あと、最近だと友達に頼まれて、2匹の犬を毎朝散歩させることですね。犬は喜怒哀楽があってかわいいですが、共感力は乏しいですね(笑)。「この草の匂いをかぎたいのかな?」など、もっぱら私が犬に歩み寄っています。

最後に読者へのメッセージをお願いします。

大野幹夫院長 フラテ痛みのクリニック6

痛みというのは孤独なものです。誰にも共感されずに一人で悩んでいる人も少なくありませんが、そんな人ほど来てほしいと思っています。配偶者や親がわかってくれなかったとしても、私は「痛いのはつらいですよね、大変ですよね」という共感から始めるので安心してください。つい整体に行ってしまう方の気持ちもわかります。「ペインクリニックに行ったら何をされるかわからない」と不安かもしれません。しかし、説明をしないまま治療をするということはありません。Festina Lente(ゆっくり急げ)の精神で、時には迅速に、時にはじっくりと適切な医療を提供していきます。より良い人生を見つける航海に寄り添わせていただくことが何よりの願いです。

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