今井 信介 院長の独自取材記事
今井内科大腸肛門クリニック
(横須賀市/追浜駅)
最終更新日:2024/10/28
追浜駅すぐそばにある商業ビルの4階「今井内科大腸肛門クリニック」。待合室は、白を基調として清潔感があり、木目調の床が心に落ち着きをもたらしてくれる居心地の良い空間だ。2010年3月に開業し、大腸疾患、肛門疾患のエキスパートである今井信介院長が診療を行う。この地域では、大腸内視鏡検査を受けられる数少ないクリニックの一つ。多くの患者がこのクリニックを頼って来院している。また、デリケートな部分を診察するにあたり、患者への心配りを欠かさないことも、多くの患者が信頼を寄せる理由だろう。「とりあえず今井先生に相談しようと思われるクリニックをめざしたい」と語る今井院長に、診療への思いなど、じっくり聞いた。
(取材日2016年2月3日/更新日2024年10月16日)
大腸疾患と肛門疾患のエキスパート
医師を志したきっかけや学生時代についてお聞かせください。
子どもの頃、実家の向かいには医院があり、そこの先生が往診のついでに近所で遊んでいる私を車に乗せて、家に送り届けてくれたりしていたんです。それでお医者さんを身近に感じるようになったのか、小学校の卒業文集には、医師になる夢を書くようになっていましたね。それと、仲の良い2歳違いのいとこが医学部に進学したので、私も頑張れば医師になれるのかなと思えたことも一つの理由だと思います。三重大学医学部に進学してからは、勉強とクラブ活動の両方楽しみました。キャンパスは三重県津市の田舎らしい町だったので、遊ぶところが少なかったです。結果として勉強に集中できて良かったかも知れません。テニスを少しやっていましたが、人の面倒を見るのが好きだったので、マネージャーのようなみんなをサポートする役まわりでした。
勤務医時代はどのような経験を積んできたのですか?
大学を卒業する頃には、小児外科をやってみたい、小児専門病院で働きたいとの思いがありました。ただ小児外科は特殊な分野ですから、まずは外科の勉強をしておいたほうが良いということで、横浜市立大学の第2外科に入局しました。第2外科は大腸疾患をメインに診療、研究を行うグループで、そこで大腸疾患について学び、経験を積みました。また、お世話になった先輩に見学に来るよう言われたことがきっかけで、横浜にある松島病院でアルバイトをするようになりました。松島病院は肛門科診療に特化した病院ですので、そこで肛門疾患の診療経験を重ねたことで、大腸や肛門の疾患をメインに診療するようになりました。具体的にはがんの治療です。大腸がん手術や抗がん剤治療などです。また潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性の腸疾患の診療にもあたってきましたので、その経験を生かすことができています。
どのような患者さんが来院されていますか?
おなかの調子が悪いという方が多いですね。また、肛門疾患の診療を行っていることがクチコミで徐々にこの地域で認知されてきたので、お尻に悩みを持つ方も多く来院されています。お尻の疾患で困っている人は多いように感じますね。例を挙げれば、痔核(イボ痔)、裂肛(切れ痔)、痔ろうの3大痔疾患は圧倒的に多いです。あと関連するところで、お尻のかゆみを訴えて来る人もいらっしゃいます。そういった方の治療も行っています。一般内科も診ていますから、風邪、花粉症、高血圧などの診療も行っています。
大腸内視鏡検査に配慮したクリニック
診察するにあたって大切にしていることは何でしょう?
デリケートな部分を診察しますので、やはり声かけが大切だと思っています。「少し気持ち悪い感じがしますよ」「触りますよ」と声をかけること。特にお尻の診察が初めての人には気を配ります。いきなりお尻を触られたり見られたりするのは、誰でも嫌だと思うんです。また、お尻を診察するにしても、まずはおなかに触れて状態を診ることは大事。検査機器が充実したことで触れなくても診ることはできますし、大病院などでは効率よく診ないといけないのもわかります。ですが、触診から得られる情報や、患者さんがきちんと診てもらったという安心感を得られることも必要だと思いますね。もう一つは、話をしっかり聞いてあげること。待ち時間が長くなることにもつながるのでジレンマもありますが、できるだけ時間を取ります。患者さんは、お医者さんに話をするだけで、気が少し楽になることがありますから。
大腸の内視鏡検査を希望される方が多いそうですね。
そうですね。他のクリニックで便潜血検査をした方や、市の大腸がん検診を受けた方で、もう少し詳しい検査が必要となった方が来院され、大腸の内視鏡検査を希望されます。毎日2件の検査を行えるようにしていますが、このエリアでは大腸の内視鏡検査をやるクリニックがあまりなく、当院でも順番をお待ちいただいているのが現状でして、たいへん申し訳ない思いです。しかし無理をして検査の件数を増やそうとすると、診断の質を保てなくなる可能性があるので、バランスを考えた結果、1日2人としています。大腸の内視鏡だけでなく、鼻からの胃カメラ検査も行っていて、こちらも1日2人まで検査を行えるようにしていて、こちらは幾分余裕を持って予約いただけています。
大腸の内視鏡検査について教えてください。
まずは一般外来でお越しいただき、検査が必要かどうか診断します。必要となれば検査の予約をします。当日は朝に来院後、2リットルの下剤を飲んでもらって、お昼からの検査まで専用の休憩スペースで休んで過ごしていただいています。院内は大腸の検査を考慮して設計していますので、休憩スペースのそばに2つのトイレを用意しています。下剤を飲むのは、それなりに大変ですが、もし途中で気分が悪くなってもすぐに対応できます。検査そのものは約30分ほど。大腸にポリープが見つかった場合は、大きさにもよりますが、患者さんと話した上で、すぐに切除することも可能です。大きいものは、提携先病院をご紹介します。
積み重ねてきた経験、知識を若手医師に還元したい
大腸の検査を受けるときの注意事項はありますか?
前日の食事は、きのこ類、野菜などの食事は避けるようにお願いしています。検査前から食べてもらうレトルトパックの検査食というものもあります。働いてる方はレトルトパックの食事に変えるといっても難しいところがあるので、そこまでしてもらうことはありません。便秘が頑固な方には、検査食にしてもらうこともあり得ますね。また、高齢の方が検査を受ける場合は、鎮静剤、鎮痛剤の影響で帰り道で転んでしまうことなどがないよう、必ずご家族の方に、夕方にお迎えに来てもらうようお願いしています。
先生の今後の展望についてお聞かせください。
これからも、大腸、肛門疾患の診療をメインに行い、地域の方や、他の医師から、「この病気は今井先生に相談しよう」と言われるようにやっていきたいと考えています。新しい治療方法も出てきますので、時代に遅れないように、勉強もしていきます。また、チャンスがあれば若い先生の教育という部分でもお手伝いしたいと思っています。実は、医学教育の中でお尻について大きく取り上げて学ぶことはあまりなく、トレーニングを受ける機会も少ないのです。30年以上医師として多くのことを勉強させてもらいましたが、最初に先輩から教わって学び、経験を積んだところが大きいと感じています。同じように私の持つ経験や知識などを、若手医師に還元することができればと思っています。
読者の方へメッセージをお願いします。
お尻の悩みを抱える女性の患者さんで、病院に入るところを誰かに見られたら嫌だなと思っている方は多いと思います。このクリニックは、テナントビルの4階という立地で入りやすいので、女性の患者さんにも多く来ていただいています。女性のお医者さんで、女性の患者さんのためのクリニックもありますが、患者さんのニーズに対してお尻の疾患を診れる医師はあまり多くないので、お役に立てることはあると思います。お尻のことはもちろん、一般内科や内視鏡検査についてお悩みがあれば、ご相談していただきたいと思います。