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東 大介 院長の独自取材記事

あずま糖尿病内科クリニック

(西宮市/苦楽園口駅)

最終更新日:2024/01/05

東大介院長 あずま糖尿病内科クリニック main

阪急甲陽線の苦楽園口駅から徒歩2分。れんが造りのビルの2階にある「あずま糖尿病内科クリニック」は、糖尿病治療を専門に行うクリニック。一般的に、「一生続く治療」と思われているインスリン治療だが、同院では日々の血糖管理や食事管理を患者主体で行う糖尿病治療によって、インスリンからの離脱をめざしている。患者のモチベーションを引き出すことを大切に、「患者さんとご家族が糖尿病と戦う術を教えるのが私の役目」と話す院長の東大介先生に話を聞いた。

(取材日2018年11月14日)

腎臓内科の視点から糖尿病治療に携わり、実績を積む

糖尿病を専門に選ばれた経緯を教えてください。

東大介院長 あずま糖尿病内科クリニック1

香川労災病院で勤務していた際、腎臓内科を専門としていました。当時、同病院では腎臓内科で糖尿病の患者さんを診ることになっていて、糖尿病と合併症を患っている患者さんが多く来院されていました。実は、当時、糖尿病を専門としていなかったので、腎臓内科の医師として糖尿病に関しての知識を学びながら診察していました。そうすると、糖尿病の治療にいくつも気になる点が出てきたのです。例えば、腎機能が悪い状態の時に使用してはいけない薬があるのですが、糖尿病治療薬として使用しているケースなどがありました。そこから自分で深く勉強するようになり、どんどん興味が湧いてきました。

糖尿病治療のどのようなところに魅力を感じ、専門のクリニックを開院されたのでしょうか?

1日の中で血糖値が動く瞬間をイメージし、その人に合った治療プランを実行することで変化が見られるところが、糖尿病治療の魅力ですね。糖尿病の患者さんと向き合っていく中で、次第にもっと一人ひとりに寄り添った診療がしたいと思うようになりました。総合病院だと、看護指導や栄養指導を行うための場所の確保や日程調整が必要となり、どうしても患者さんを待たせてしまうことが多かったのですが、開業医であれば診察後、すぐ行うことも可能ですし、スタッフとの連携で診療の幅も広がります。また初期治療に力を入れ、糖尿病による合併症を防いでいきたいとの思いもあり、糖尿病専門のクリニックを開院することに決めました。

治療方針をお聞かせください。

東大介院長 あずま糖尿病内科クリニック2

固定観念にとらわれず、自由な思考で糖尿病治療を行ってきたことで、自分なりに確立してきた考え方が、「最小限の薬物療法」と「インスリンからの離脱」です。これは開院した今も、当院の診療方針として掲げている内容で、初診時に血糖が高値でインスリンを開始した方であっても、私は離脱をイメージして治療を行います。教科書的には1日のインスリン投与は4回がベストとされており、24時間作用が続く「基礎インスリン」を1回、食事ごとに「追加インスリン」を3回投与し、食後の血糖を抑えることを図るのが一般的ですが、当院では1日1回基礎インスリンを投与するだけで、追加インスリンは使いません。代わりに、食前薬を用いて食後の血糖の管理をします。食事のたびに決められた量のインスリンを投与し続けるのではなく、適切なタイミングで、適切な量のインスリンを補充しながら、必要最小限のインスリン量に抑えていくといった治療になります。

インスリンからの離脱をめざす糖尿病治療

糖尿病治療について、間違った認識の人が多いそうですね。

東大介院長 あずま糖尿病内科クリニック3

「インスリン治療=一生続くもの」ではなく、適切な治療によって離脱することが望めます。また、糖尿病はインスリンが出なくなる病気だと、勘違いをされている方もおられますが、生活習慣病の一つとして起こる2型糖尿病においては、間違った認識といえます。糖尿病であってもインスリンはちゃんと分泌されていますが、膵臓が疲労しているせいで出るタイミングが遅く、食後の必要な時にきちんと作用していないのです。治療では膵臓を治すというよりも、適切なインスリン補充とお薬、食事や運動療法を組み合わせて、疲れた膵臓が活発に働く環境を整えていくことをめざします。膵臓が元どおり元気な働きをしてくれるようになれば、インスリンを補充する必要もなくなり、「インスリンからの離脱」が可能になると考えます。

インスリンから離脱するためには、患者さん自身の血糖値管理が鍵となるそうですね。

当院では、基礎インスリンの用量調節を患者さん主導で行います。これは自分で薬剤の用量を調整する「セルフタイトレーション」というもので、患者さんには毎朝、血糖値を測定してもらい、その数値をもとに必要な基礎インスリンの量を決めていただきます。インスリン単位の決め方は私が指導しますが、投与量は医師の指示待ちではなく、その日その日の体の状態に応じて患者さん自身が決めます。中には、低血糖を起こさないか心配される方もおられますが、低血糖が起こりやすいのは即時性のある追加インスリンであり、また治療では低血糖になるリスクが高い薬は使いませんので、安心していただければと思います。

インスリンの投与量が減らしていけるのはなぜですか?

東大介院長 あずま糖尿病内科クリニック4

糖尿病治療におけるタイトレーションという言葉は、インスリンを低血糖なく安全に増量できるという目的で使われていますが、当院では、安全を考慮した上でインスリン注射からの減量離脱をめざし自己調整をするという意味で使っているからです。教科書的な糖尿病治療では、追加インスリンを食事のたびに注射しますが、その量は「これぐらいのカロリーを摂取するだろうから、これぐらいのインスリンが必要だろう」という予測のもとで決められます。ですが、考えてみてください。たくさん食べる時もあれば、残してしまうこともありますよね。それでも一定量のインスリンを補充するのでは、管理と言うよりも単なる習慣になってしまいます。患者さんの中には、膵臓が気づかないうちに回復していて、血糖値の変動がほとんど正常なのに、注射を続けている人もいるのが現状です。

糖尿病は希望を持って治療に取り組める病気

クリニックの設備について教えてください。

東大介院長 あずま糖尿病内科クリニック5

治療に直結する設備を整えておきたいと思い、HbA1c、1,5-AG、コレステロール値、尿酸値、アルブミン尿などを測定できる機器を備えています。検査データの値によって治療方針や、早期治療の診断につながりますので、これらの設備は大事と考え、導入しました。一般的には外部委託するような検査なので、当院のように即座に結果を出せるクリニックは多くないと思います。血糖管理についてはクラウドシステムを導入することで治療と指導を効率良く行っています。これは患者さんが自宅で測定した血糖値の値と、食事写真を管理しているシステムです。来院の2日前から利用していただくことで、受診前の直近データが確認できます。栄養士も写真で食事内容を確認できるので得られる情報が多くなり、食事指導が行いやすくなっています。糖尿病専門の医師は病気を治すというよりも、病気との闘い方を教える感じで、ジムのインストラクターに似ていますね。

どのようなクリニックをめざしていますか?

若く経験が浅いときは漠然とした考えしかありませんでしたが、糖尿病治療に携わっているうち、病と闘う方とともに前を向いて歩んでいく、という自分のめざす診療スタイルが見えてきたのです。患者さんからの感謝の言葉もありがたいですし、一番近くで支えてくれている家族をはじめ、たくさんの方に支えてもらい、感謝の気持ちでいっぱいです。当院は糖尿病専門クリニックですから、スタッフ一同、プロ意識を持って患者さんに接していきたいです。ご自身の健康に注意を払っていなかった方が、当院での治療をきっかけに生活習慣を見直し、結果として健康寿命を延ばしていただければありがたいですね。今後も研鑽を積み、より多くの方のサポートをしていきたいです。

今後の展望をお聞かせください。

東大介院長 あずま糖尿病内科クリニック6

今後も当院での研究結果をまとめて発表していきたいです。私の糖尿病治療は教科書どおりのものではありませんが、患者さんの経過や過去10年間に記録してきたデータを振り返っても、この治療方法に手応えを感じています。とはいえ、独りよがりにならないよう、糖尿病の専門とする医師の皆さんに、当院での治療法を発表し、ご意見をいいただき、学んで更新していきたいです。そして、患者さんに恩返ししたいという気持ちをもっとパワーに変えて、患者さんに還元できるよう精進していきたいです。

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