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土屋 芳弘 院長の独自取材記事

つちや内科循環器内科クリニック

(福岡市南区/大橋駅)

最終更新日:2021/10/12

土屋芳弘院長 つちや内科循環器内科クリニック main

西鉄天神大牟田線・大橋駅東口を出て、高架沿いを歩いて3分。「つちや内科循環器内科クリニック」の土屋芳弘院長は、救命救急の現場や大学病院などで長年診療にあたってきた循環器疾患のスペシャリスト。2015年の開院以来、一般内科としてはもちろん、循環器疾患の診療や発症予防に注力している。脳梗塞や心筋梗塞、心不全など、命に関わる疾患の原因として増え続ける生活習慣病の治療を重視し、「なぜ生活習慣病の治療が大切なのか、患者さま自身にご理解していただき、治療を継続していただくことが一番大事」と語る。物腰やわらかく、言葉を尽くして説明してくれる土屋院長に、脳血管疾患・心血管疾患を発症させない・再発させないための診療について詳しく聞いた。

(取材日2021年4月15日)

生活習慣病からの脳・心血管疾患の発症予防に注力

まず、院長の経歴から聞かせていただけますか?

土屋芳弘院長 つちや内科循環器内科クリニック1

私は鹿児島出身で、子どもの頃は川で泳いだり、山でタケノコを掘ったり、自然の中で伸び伸び育ちました。父、祖父、親戚も眼科医という環境で自然と医師を志すようになり福岡大学医学部へ。学生実習の頃、狭心症や心筋梗塞に対する新しい治療方法として「カテーテル治療」が導入された頃でした。内科医が行う「カテーテル治療」にたいへん興味を持ち、眼科ではなく循環器内科の道を選びました。大学卒業後、福岡大学医学部第2内科へ入局。福岡市南区にあった佐田内科循環器医院、福岡大学病院救命救急センター、2年間の米国留学の後、福岡大学筑紫病院に勤務。日本循環器学会循環器専門医として、急性期救命治療や集中治療室でのカテーテル治療、不整脈治療、心不全治療に取り組みました。開院の際、この南区エリアで20年以上お付き合いのある患者さまを引き続き診られる場所を条件に探し、2015年こちらに内科、循環器内科のクリニックを開きました。

どのような患者さんが来院されますか?

高血圧の方が最も多く、脂質異常症や糖尿病などの生活習慣病、そのほか、カテーテル治療後の狭心症・心筋梗塞、慢性心不全、不整脈、心房細動の患者さまなどです。患者さまの65%が65歳以上で、生活習慣病の治療継続のため通院されている方が多いですね。生活習慣病は、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの循環器疾患の発症リスクを高めます。大学勤務時代、どんなに手を尽くしても助けられない急性期や末期の循環器疾患の患者さまを多く診させていただきました。その経験をもとにクリニックでできる治療、つまり生活習慣病という基礎疾患を治療し、脳血管疾患、心血管疾患の発症を予防することに力を注ぎたいと考えています。

生活習慣病の治療が、命に関わる循環器疾患の発症予防につながるのですね。

土屋芳弘院長 つちや内科循環器内科クリニック2

そうです。高血圧・高脂血症・糖尿病などからの脳血管・心血管疾患により日本では1日800人以上が亡くなっている計算になります。血圧が140以上の患者さまを10年間追跡すると20%は亡くなっているともいわれます。患者さまには正しい知識を持っていただき、生活習慣病をなぜ治療しなければならないのか、その意味をしっかり理解していただきたいと思います。初診の患者さまには特に時間をかけて、さまざまな資料をお見せしながらご説明しています。患者さまに生活習慣病のリスクを知っていただきたい、治療のモチベーションを上げていただきたいと、私は一日中一生懸命お話をさせていただいています。診療が終わって家に帰るともう誰とも話したくないくらいです(笑)。

自覚症状がない段階から、治療を継続することが重要

診療において、一番大事にされていることは何でしょうか?

土屋芳弘院長 つちや内科循環器内科クリニック3

生活習慣病は自覚症状がない病気がほとんどなので、そのリスクをいかに正確に認識し、治療を継続することができるかが最も重要です。1日2回、朝と就寝前に血圧を測る意味、毎日体重を測る意味を理解し、エックス線などの検査データを毎回私と一緒に見て確認していただいていると、患者さまのほうから「今日の心臓の大きさはどうですか?」と、質問をいただけるようになります。そこまで意識が高まれば、もう治療をドロップアウトすることはないでしょう。患者さまによくお話しするのは、生活習慣病の治療は車の運転と同じですよ、ということ。交通ルールを守るのと同じように、血圧や血糖、コレステロール値に注意しながら生活し、事故を起こさないように安全運転でいきましょうということです。私は患者さまの話をよく聞いて、よく診て、わかりやすくご説明し、一緒に治療を進めていく姿勢を心がけています。

体重を毎日測るのはなぜですか?

体重は心臓の状態がわかる、良い指標だからです。心臓機能が悪くなると腎臓への血流が減り尿の量が減ります。それでも人は水を飲んだり食事をします。体が水分過剰になり肺に水がたまります。数日で5キロ以上急激に増えることもあります。患者さまご自身で体重を測定していればすぐに気がつき受診できるでしょう。あらゆる循環器疾患が進行し最後にたどり着くのが、心臓機能が悪くなった「心不全」という状態。これを完全に治す方法はなく、ひとたび発症すると状態は徐々に悪くなり、命を縮めます。心臓の働きが低下してきた兆候を見逃さないためにも、体重は毎日同じ時間帯に同じ条件で、ぜひチェックしてくださいね。

心不全について詳しく教えてください。

土屋芳弘院長 つちや内科循環器内科クリニック4

「心不全とは、心臓が悪いために息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、命を縮める病気」と日本心不全学会が定義していますが、まさにそのとおりです。高血圧で長年心臓に負担がある場合や、心臓弁膜症、虚血性心臓病、不整脈、心臓の筋肉の病気なども原因となります。心不全の状態はステージAからDまであり、高血圧や生活習慣病の方はすでに第一段階のステージA。心臓肥大、不整脈などが見られるステージBの後、息切れやむくみなどの自覚症状が現れるとステージCです。ステージCで心不全を発症すると、その後は入退院を繰り返すようになります。いかに無症状のA・Bの段階で踏みとどまることができるかが重要なのです。高齢化が進むことで、この先心不全が急増すると予想されています。心不全は、発症を予防または病気の進行を遅らせることができる病気。無症状であるステージA・Bの早い段階で治療を始めていただきたいと思います。

なんでも気軽に相談できる、かかりつけ医でありたい

こちらでは、どのような検査が受けられますか?

土屋芳弘院長 つちや内科循環器内科クリニック5

種々の心臓病診断の基本である心電図検査、心臓や肺の状態把握に必要な胸部エックス線撮影、心臓機能評価・心臓弁膜症診断に有用な心臓超音波(エコー)検査、動脈硬化の程度を見える化する頸動脈エコー検査、血管年齢を測定する血圧脈波検査、不整脈診断に必須の24時間ホルター心電図、運動負荷心電図、自宅でできる睡眠時無呼吸症候群の簡易検査、呼吸機能検査などさまざまな検査を、臨床検査技師が常駐して行っています。必要な人に必要な検査を行い、過剰にならないように配慮。薬も同じです。例えば不整脈の場合、危険度をきちんと診断した上で薬を処方しないと、長期的な予後がかえって悪くなる場合もありますので、不用意に薬を処方することはしません。

食事に関する勉強会も開催されているのですね。

当院では月1回、管理栄養士による少人数での食事指導を行っています。テーマは減塩、糖尿病、減量の3つです。薬を服用するばかりでなく、食事を見直し体重が減ると、血圧や血液検査の結果はぐっと良くなるものなんですよ。食事内容を見直し適度な運動を継続されることで、数値の改善につながれば、血圧の薬と糖尿病の薬を中止することも期待できるでしょう。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

土屋芳弘院長 つちや内科循環器内科クリニック6

循環器科は心臓や血管の病気の専門なので、息切れや動悸、胸が痛い、血圧が高い、心電図異常などで来院されるケースが多いですが、あまり難しく考える必要はありません。私は内科医として、とりあえずなんでも相談に乗って診療の入り口の役割を果たし、必要があれば連携している他科のクリニックや基幹病院につなげることも開業医の仕事だと考えています。風邪や腹痛、アレルギー疾患などでも、体の不調があれば一度診せてください。些細なことでも気軽に相談できる「かかりつけ医」として、これからも患者さまと誠実に向き合っていきたいと思います。

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