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山田 智子 院長の独自取材記事

ひまわりクリニック

(浦安市/新浦安駅)

最終更新日:2023/10/13

山田智子院長 ひまわりクリニック main

2014年に開院した「ひまわりクリニック」。ここは外来と在宅医療の双方に対応し、患者をトータルな視点で診るクリニックだ。山田智子院長は、対応がスムーズにいかない難しいケースも含め、勤務医時代から数多くの在宅医療を経験。治療法や薬の選び方について、患者本人やその家族と相談しながら、理想の自宅療養の形を実現できるよう努めてきた。また、近年は同院への外来診療の相談が増えてきたこともあり、2023年7月に院内をリニューアルしたそう。外来スペースを拡充し、地域のさらなるニーズに応え続ける山田院長から、診療において大切にしていること、患者や地域への思いなどを聞いた。

(取材日2018年7月2日/更新日2023年8月2日)

外来から在宅医療まで。「トータルに診る」クリニック

こちらは、外来と在宅医療の両方に対応されているとか。

山田智子院長 ひまわりクリニック1

はい。開院時から地域のかかりつけ医として、患者さんをトータルに診るクリニックをめざしてきました。当初は平日の午前が外来、午後が在宅医療でしたが、在宅医療のご希望が年々増え、今では週2回のみ午前に外来をし、在宅医療は午前午後問わず対応しています。また、より多くの方を受け入れられるよう2023年に院内を改装しました。待合室のスペースを広く取ったので、より快適に受診できるようになったのではと思います。さらに、診療室も1室増やしましたので2診体制が取れるようになりました。医師も私を含めて常勤3人・非常勤10人と充実してきましたが、今後も増員を視野に入れて診療体制を整えていきたいと考えています。また、在宅医療や福祉サービスにまつわる相談室も新たに設置しました。ここでは3人の社会福祉士が相談に応じ、通院から在宅医療への切り替えや社会生活のサポートなどについて疑問や不安にお応えしています。

診療で大切にされていることを教えてください。

患者さんやご家族が望まれていることを早く知り、実行することです。実際、患者さんやご家族の言葉が本心とは違うことがよくあります。その典型が「もう死んでもいい」「いつ亡くなっても構わない」と言いつつ、本当は「まだ死にたくない」「亡くなってほしくない」と考えているケースでしょう。こうした本音をうまくすくい上げ、本当の願いをかなえたいと思いますし、もし患者さんとご家族の考えにズレがあるならうまく折り合いをつけ、どちらも幸せになれる在宅医療を実現したいですね。そのためには、ご家庭の内情にも詳しいケアマネジャーの協力が欠かせません。そのほか介護スタッフや訪問看護師、薬剤師など多職種の協力を得て、地域包括支援センターや病院の力も借りながら、地域全体で患者さんとご家族をお支えしています。

患者だけでなく、家族へのケアやサポートも重要なのですね。

山田智子院長 ひまわりクリニック2

とても大事です。入院していた患者さんが退院し、在宅医療を希望されるとき、「病気やけがは治ったけれど昔のように体が動かない。自宅に戻ると家族に迷惑がかかるのでは」と悩まれることはよくあります。そうした場合でも、ご自宅に手すりなどを設置し、ヘルパーさんによってご家族の負担を減らすなど工夫しながら、最期までご自宅で暮らされたケースも少なくありません。大抵のご家族は介護や看取りが初めてで、「こういう対応でいいのだろうか」と不安だらけでしょう。診療で伺う時間帯にご家族に会えないときは手紙を残したり、連絡がつく時間帯にお電話したりとコンタクトを取り、注意点などの連絡と併せて「大丈夫ですよ、ちゃんとできていますよ」と励ましの言葉も添えています。

定期的な訪問診療に加え、万一のときは24時間対応

在宅医療ではどのような診療が受けられますか?

山田智子院長 ひまわりクリニック3

医師と看護師が一緒に患者さんのご自宅や施設に定期的に伺う「訪問診療」が主で、容体が落ち着いた方なら2週間に1回程度、曜日と時間帯を決めて訪問します。訪問先での診療は、一般内科が中心です。必要なら血液検査、心電図、腹部エコーなど各種検査をし、床ずれの処置、在宅酸素療法をはじめとした医療管理を行います。また急な容体の変化、亡くなる直前といった特別な状況では24時間365日、医師や看護師によるサポートが必要です。電話によるフォローや往診・訪問看護などで対応します。初回の訪問であれば患者さんとご家族との面談を行い、現在の症状や生活状況、ご家族の介護力、お困り事などを詳しくヒアリングし、診療内容や費用についてもご説明します。

訪問診療を受ける側の注意点はありますか?

ご家族だけで介護を頑張って、本当に行き詰まってからご相談いただくケースが多いですね。初回に治療方針の確認などで訪問すると、家の中の片づけもままならず、家族全員が疲れ切って心身ともにぎりぎりだったこともあります。在宅医療は患者さん自身が望む自宅療養の姿を実現し、ご家族の介護も楽になるよう支援するものですから、気になることはお早めにご相談ください。特に大きな病院などは患者さんやご家族にとってアウェーな場所。長く通院されていても、「最近調子が悪い」「悩みがある」など言い出しにくい雰囲気ではないでしょうか。その点、在宅医療は「ホーム」ですから、例えば粒状の薬が飲みづらいようでしたら、なめるタイプに変えたりゼリーに混ぜたりと、個別に対応しやすくなります。

治療のことなど、医師と相談して決めていけるのですね。

山田智子院長 ひまわりクリニック4

ええ。身近な場所に医師がいて気軽に相談できれば、ご本人もご家族も気持ちが楽になるでしょう。これは在宅に限らず外来の患者さんも同じこと。といいますのも、もし専門的な検査や治療で別の病院を受診されても、「こんなふうに言われたけど、どういう意味?」「結局どうしたらいい?」とご相談を受けることがあるからです。つまり聞いた内容がよくわからなくても、聞き直しにくいようなんですね。あまり要領を得ないようなら紹介先の医師に私から問い合わせたり、次の機会にもっとかみ砕いて説明してもらうようお願いしたりと連携しつつ、患者さんやご家族が納得して医療を受けられるよう努めています。

地域連携で浦安市全体を「安心の医療施設」に

開院された経緯も教えてください。

山田智子院長 ひまわりクリニック5

私が高校生の時、大好きだった祖父を在宅で看取ったのですが、最期まで付き添ってくれた医師の姿に感動して……。それから患者さん一人ひとりと向き合える医師になりたいと思い、医学部に入学しました。卒業後は大学病院の循環器内科に在籍したものの、診療時間が短く物足りなさを感じ、結婚を機に千葉県市川市の小規模な病院に移りました。その病院が在宅医療を始めることになり、私も患者さんのご自宅に伺って在宅医療の経験を積むことができました。それから高齢者施設に入居された方の健康管理へと広がり、有料老人ホーム・舞浜倶楽部ともご縁ができたんです。その後、子どもの成長に合わせて仕事量を少しセーブしたいと考え始め、転職を考えていた時、舞浜倶楽部の方に「ここで開院してはどうか?」とお声がけいただきました。

地域の医療機関とはどう連携されていますか?

専門的な検査や急な容体の変化で手術が必要なときは、連携する順天堂大学医学部附属浦安病院、東京ベイ・浦安市川医療センターをご紹介しますし、リハビリテーションも必要に応じて浦安病院や浦安中央病院などで受けていただけます。このほかご家族が家を数日離れるような場合、患者さんに提携先の病院で一時入院していただくことも可能です。浦安市全体が大きな医療施設なら、私は一部の患者さんの主治医に過ぎません。でもほかの場所にはそれぞれ主治医がいて、専門の治療を担当する医師もいて、それらがうまく連携すればお住まいの皆さんが安心できる地域になるはず。各病院が持つ地域連携の窓口、紹介先の医師と常時連絡を取り合い、定期的に病院を訪ねて情報交換を行う。そんな「顔の見える地域連携」をめざし、地域全体の安心を高めていきたいですね。

今後の展望をお聞かせください。

山田智子院長 ひまわりクリニック6

例えばご本人が認知症と認めたがらないケース、独り住まいの方が認知症になられたケースなど、まだ医療を受けておられない患者さんにうまくアプローチできるよう、これからも地域で連携していきたいですね。私は認知症サポート医でもありますから、地域包括支援センターと協力して、ご家族や周囲の方から相談があれば、往診という形で支援に加われます。もちろん認知症の検査とは一言もいわず、「健康相談に伺いました」などご本人に自然にアプローチすることが大切です。高齢化が進むこの浦安市で、認知症の初期段階での支援をさらに強化したいと考えています。

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