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森 ちか 院長の独自取材記事

千代田クリニック

(相模原市中央区/淵野辺駅)

最終更新日:2023/03/17

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JR横浜線、淵野辺駅よりタクシーでワンメーターの場所にある「千代田クリニック」。ここは、開業して50年近くにわたり地域に愛されてきたクリニックだ。開業当時は入院施設もあったという広い院内の壁は海をイメージしているそう。今は亡き先代の院長の意志を継ぎ、2代目院長として地域の健康を守るのは娘でもある森ちか先生。学生時代をアメリカで過ごし、アメリカで研究者として働いた後、日本で臨床の現場に立ち、大学病院や大規模病院で数多くの手術を経験してきた。ハキハキとした口調は、その場をパッと明るくするような力を感じる。そんな森先生にクリニックのこと、診療のことについて話を聞いた。

(取材日2023年2月24日)

50年近く続く、地域のためのかかりつけ医として

先代であるお父さまの頃から長らく通う患者さんが多いクリニックだと伺いました。

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本当に50年近く通ってくださる患者さんが多くいます。私は特に何もしていないのですが、父を尊敬してくれている患者さんがたくさんいて、「あの先生の娘さんなら同じなのではないか」と、そのまま私のことも信頼してくれています。それは父に感謝しかないですね。患者さんが言うには、父は診療をしないまま患者さんとおしゃべりして終わることも多かったらしいのですが、私も結構そういうことがあるんです。血圧とかはきちんと聞きますが、患者さんと家族の話や他愛もない話をよくしながら、患者さんの情報を拾っています。そういう診察姿勢は父と私は似ていると思います。父もその何げない会話から大事なところをたくさんくみ取っていたんだと思います。

先代の院長の診療スタイルに影響を受けているのですね。

そうですね、やはり影響を受けている部分はあると思います。私は患者さんときちんと向き合って、顔を見て話を聞いてということを大切にしています。初めは困った顔をしていても、最後には笑ってほしいです。ですから、いろいろなことがあっても、最後は冗談を言って笑顔で帰ってもらおうと決めています。それから、今日もそうですが白衣は普段から着ていません。肩も凝りますし、白衣を見るだけで血圧が上がってしまうという方もいますからね。わりと皆さん結構なんでも気軽に聞いてきてくれるのは、白衣ではない普段着の診療スタイルがいいのかなと解釈しています。

先生は長い間アメリカで学生生活を送られたそうですが、どうしてですか?

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中学生の時に行った海外旅行で、「広い世界が見たい、外に出たい」と思うようになりました。私の父も医師としてアメリカに留学していた時期がありましたので、私も父と同じアメリカで学びたいと思い、アメリカの高校に進学しました。進学校でしたので、そのまま当たり前のように大学へ進み、大学行ったらもっと勉強がしたくなったのでそのままアメリカで大学院まで進みました。あちらでは本当にいろいろな人種の人がいましたので、多国籍の方とコミュニケーションを取ることが得意になりましたし、英語には不自由しませんので、今もいろいろな国の方が来られますね。

大学病院の泌尿器科で多くの手術を経験

研究者を経て、臨床医になったのはどうしてでしょうか?

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最初はアルツハイマーの研究をしていました。神経内科に行ってそのまま研究をと考えたこともありましたが、アルツハイマーは、劇的に効果が見込めるような薬も少なく、診断も難しかったんです。父が外科の医師だったというのもあり、次第に何もできずに見守るような神経内科よりも手術をする外科系の科のほうが私にとっては魅力的に思えたんですね、それで、最終的には泌尿器科に進みました。泌尿器科は膀胱がんや腎臓がん、前立腺がんなどをはじめとても手術が多く、膀胱を削る手術など繊細で指先を使う手術も多いですから、自分には向いていると感じました。それから、血尿になってもどこへかかったらいいのかわからないといった女性の患者さんも多く、女性医師が求められていると感じたことも大きかったですね。

泌尿器科のどういったことに魅力を感じたのでしょうか?

例えば、胃がんの場合ですと、消化器内科の先生が胃がんを発見します。次は外科で手術、そしてまた内科に戻ってきて化学療法、看取りは緩和ケアと患者さんはいろいろな科に回されてしまいます。その点泌尿器科は、初めの診断から手術、化学療法まで泌尿器科単科でトータルに診ることがほとんどです。一部分だけでなく診断から最後まで患者さんを診ることができるのがいいなと思いました。

今現在、クリニックにはどんな主訴で来る患者さんが多いですか?

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女性の膀胱炎や男性の前立腺肥大といった泌尿器科の患者さんも当然多いのですが、地域のかかりつけ医として一般的な体調不良など、かなり幅広い症状の患者さんが来られます。もちろんそのことは想定していたので、当院を継承することが決まってからは、皮膚科や内科で外来勤務をするなど改めて勉強しました。もともと手術をたくさんしてきましたので皮膚科の皮膚疾患のほくろ除去や、膿がたまっている場合の手術などは得意としています。これまで父の代から来てくださっている患者さんもたくさんいますが、私になってから初めて来られた患者さんは、最初は女性の患者さんが多かったんです。でも次第に「夫が頻尿なので連れてきました」などといった感じで気がつけば家族ぐるみで来てくれるようになり、年齢層もかなり幅広くなりましたね。私もまだ幼い子どもの母親ですので、皮膚疾患などで赤ちゃんが来ると「かわいいな」と愛おしく見ています。

がんのハイパーサーミア治療も受けられる

先生の診療方針を教えてください。

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なるべくその場で診断して、早めに治療を開始するということです。だいたい病院だと「血尿が出ました」となると「超音波検査をするので、来週来てください」となってしまいますが、なるべくその場で超音波検査をやって、「怪しい」と感じた時はなるべくその日のうちに膀胱鏡まで行うようにしています。患者さんはその日は時間がかかりますが、日を改めてもらうほうが負担ですし心配を抱えたまま過ごすのは嫌だろうと思いますのでなるべく早めに診断して、今後の対策に早く取りかかるようにしています。たとえ当日お待たせすることになっても、その診断に至るまではなるべくスピーディーにしたいですね。

力を入れている、ハイパーサーミア治療について教えてください。

ハイパーサーミア治療はがん治療の一種で、痛みの緩和や進行を抑えることを図るために腫瘍を体外から加温する温熱療法です。大学病院でがんの緩和ケアも担当していたので、他の治療でうまくいかず、治療を諦めてしまった方やがん難民の方を救うためにも続けています。ハイパーサーミアは保険診療ですが、保険の点数が低く、経営面から見ると病院にとっては敬遠しがちな治療です。最近では千葉県がんセンターにも導入されましたが、導入している病院自体も少なく、患者さんに広く認知されているとは言えません。しかし、医学的価値のある治療だと思いますし、できることなら化学治療と並行して行えるとより良い結果が見込めると思っています。副作用のリスクも少ないですし、治療回数に制限もありませんので長期にわたり定期的に続けやすいと思います。

最後に今後の展望と最後の読者にメッセージをお願いします。

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一人の母親として自分の子どもとの時間も大切にしながら、地域のために医師として貢献したいと思っています。50年近くもの長い間ずっと来院してくださっている患者さんに対しては、やはり強い思いがありますので最後までしっかり診させていただきたいです。今後とも変わらずに来ていただけるとうれしいですね。どうぞ小さなことでもお気軽にご相談ください。

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