長引くアトピー性皮膚炎や食物アレルギー
根本からの改善をめざす
木俣肇クリニック
(寝屋川市/寝屋川市駅)
最終更新日:2023/02/28
- 保険診療
誰にとっても身近な病気であるアレルギー疾患。季節によっては花粉の飛散量が報道されるほど花粉症に悩む人が増え、また幼少期からアトピー性皮膚炎や気管支喘息の治療を続けている患者も珍しくないだろう。アレルギー科を掲げる「木俣肇クリニック」では、アレルギー疾患全般について治療を提供。木俣肇理事長の研究と診療経験から、アレルギーの発症メカニズムや悪化要因に注目し、アレルギー疾患の種類を問わず共通した検査を行うことや、症状コントロールではなく治癒をめざして治療を進める点が大きな特徴だ。同院ならではの治療内容を理解した上で、あえて「ここで治療を受けたい」と受診する患者が絶えないという。そこで、同院で行うアレルギー疾患の検査・治療内容や治療に対する考え方を、木俣理事長に解説してもらった。
(取材日2023年1月28日)
目次
アレルギー疾患に共通する発症・悪化要因に注目し、治癒をめざした本質的な治療の提供に努める
- Qこちらでは、どのようなアレルギー疾患を治療していますか?
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A
当院では、ステロイドや免疫抑制剤を使わずにアトピー性皮膚炎を治療していて、それを知った患者さんが全国各地から来られます。このため、皮膚のアレルギー疾患だけを診ると思われることもありますが、食物アレルギーの治療にも力を入れていますし、花粉症、アレルギー性鼻炎や結膜炎、じんましん、さらに気管支喘息など、アレルギー反応で起こる病気については幅広く診察しています。これらはいずれも、何らかのアレルゲンに対して免疫機能や炎症反応が過剰になっているという点で、基本的なメカニズムが共通しています。ですので、当院ではアレルギー疾患であれば種類や患部、あるいは患者さんの年齢を問わず、治療を行います。
- Q検査はどのように行うのですか。
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A
どのようなアレルギー疾患に対しても、基本的にはまずプリックテストという検査を行います。皮膚にごくわずかなアレルゲンエキスをつけてそこをこすり、15分ほどたってから赤みやふくらみ、かゆみなどがあるかどうかを調べます。それによって、その患者さんのアレルゲンが何であるかを特定するのです。検査できるアレルゲンは30種類以上あり、患者さんの症状、生活環境や食事内容などをお聞きしながら疑わしいアレルゲンを選びます。アレルギー検査は採血でされている医療機関が多いですが、子どもや注射が苦手な方は苦痛だと思います。プリックテストは反応性が良く、患者さんがご自身のアレルゲンを目の当たりにできる点でも優れています。
- Q貴院の治療方針を教えてください。
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A
当院ではアレルゲンに反応して体内で産生されるIgEというたんぱく質に注目し、それを抑えてアレルギーを根本から改善していくことをめざします。ですから、患者さんに応じた抗アレルギー薬と抗ヒスタミン薬の内服薬を組み合わせ、服用してもらうことが多いですね。またアトピー性皮膚炎であればアレルギーだけでなく、患部の細菌・ウイルス感染やストレスも、症状を悪化させる要因です。このため、抗生物質や抗ウイルス薬を短期間服用することもありますし、食事指導や睡眠といった生活の見直しにも力を入れています。外用薬にステロイドはもちろん保湿剤もまったく使わず、竹製の医療用不織布ガーゼを巻いて患部を保護し、回復をめざします。
- Q自分に合ったクリニック選びが大切ですね。
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A
私は生後数ヵ月の赤ちゃんも治療しますが、内服薬は体重で換算するため特有の難しさがあり、小児科の医師としての経験が役に立っています。それから、花粉症などでは症状が出る時期だけ目薬や点鼻薬、抗アレルギー薬でやり過ごす方も多いですが、それでは根本的な治療になりません。今日のアレルギー疾患では、症状を抑えるためにステロイドを使う治療が主流ですが、根本的、あるいは全体的な治療をすれば、治癒をめざすことができます。症状だけに注目した治療はいつまでも続けないといけませんし、悪化することも。ご自身のアレルギー疾患をどうしていきたいのか、そのためにどういう治療を受けたいのか考えて、受診先を選ぶことが大切です。
- Qアレルギー疾患の治療では、周りの協力も必要なのですね。
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A
アトピー性皮膚炎では、それまで使っていたステロイドをやめると、一時的に症状が悪化するリバウンドが起こります。皮膚症状ですので見た目にもわかりますし、体調が大きく悪化する方も。このため、患者さんやご家族が悩んだ末に決心して当院で取り組みを始めても、祖父母やご友人から反対される場合があります。また職場や学校の理解を得られず、出社や登校を断られたり、逆に体調が悪くても休めないことも。当院では、身近な方であれば一緒にご来院いただいて説明させてもらいますし、学校などに診断書をお出しすることもあります。患者さんの「治したい」という気持ちを尊重することが、回復を支える力になるのです。