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諸冨 夏子 院長の独自取材記事

あかねクリニック

(江東区/東大島駅)

最終更新日:2024/07/31

諸冨夏子院長 あかねクリニック main

地域の人が住み慣れた場所で長く幸せに暮らし続けられるよう、高齢者医療を中心に地域に根差した医療を提供する「あかねクリニック」。医療福祉複合施設であるメディカルケアタウン東大島の中にあり、入居者の健康管理の他、高血圧症・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病や骨粗しょう症などの一般診療、健診、訪問診療までを広く担う。院長の諸冨夏子先生は、山口県の下関市にある医療機関の院長を経て、同院に着任。病診連携、在宅医療との連携を大切に、地域密着型の診療を行ってきた経験を生かして、「町のかかりつけ医」として地域の人の暮らしを支えている。「今を生きることの一助となりたい」と話す諸冨院長に、地域医療への思いや、同院の強み・特徴について聞いた。

(取材日2023年3月21日)

患者が「今を生きる」ための一助になりたい

まずは、クリニックの位置づけから教えていただけますか?

諸冨夏子院長 あかねクリニック1

当院のあるメディカルケアタウン東大島は、特定医療法人茜会と社会福祉法人暁会によって2014年4月に開設された医療福祉複合施設です。そして当院は、この施設内にある特別養護老人ホームをはじめ、短期入所生活介護(ショートステイ)施設、介護専用型ケアハウス、都市型軽費老人ホームを利用する皆さんと、地域の皆さんの一般診療・訪問診療・健康管理を担う場として設置されました。メディカルケアタウン東大島は北棟と南棟があり、当院があるのは北棟の入り口を入ってすぐ右側です。

診療以外にも地域の交流を重視されているとか。

そうですね。施設内ではイベントも行われるのですが、当院も月に一度、地域の方に向けた医療講演会を行っています。入居者の方、外来でいらっしゃる患者さん、地域にお住まいの若い方や子どもたちが訪れます。これからますます高齢化が進み、いずれ起こるであろう首都直下型地震など災害への心配も尽きませんが、そのような有事の際には、医療と介護、そして地域の方々との連携は欠かせないものですよね。いざ何かが起きた時に、お互いに支え合えるような連携、人や地域との結びつきが大切なのだと感じますし、当院がその一助となればと思っています。

地域の病院との連携体制についてはいかがでしょうか?

諸冨夏子院長 あかねクリニック2

もちろん、病診連携も不可欠です。この辺りには、江東病院、東京城東病院、寿康会病院、藤崎病院、東京都立墨東病院、森山記念病院など、幅広い診療科がそろう病院が多いんです。入院や手術が必要であれば紹介し、手術が終わって日常に戻る際は受け入れてバックアップする、医療においてもこのように連携を取りながら、当院の患者さんたちが「今を生きる」ための一助になれるよう尽力していきたいと思っています。

みんなで地域や高齢者を支えていく姿勢が必要なのですね。

そのとおりです。特に高齢者医療は、診察室で症状を診て「はい、終わり」ではありません。ご自宅に戻られてからのこと、今後の日々の生活といった少し先のことまでを考えなくてはなりません。ですから、当院では福祉との連携をしっかり行いながら診療を進めています。また、施設の職員さんや地域の訪問看護ステーション、ケアマネジャーさんとのやりとりがスムーズに行われているのは、スタッフの活躍があってこそ。自主的に行動できる頼れるスタッフたちとの院内連携も、外部連携と同様になくてはならないものです。

患者と家族にとってのベターをめざす訪問診療

訪問診療にも力を入れていらっしゃると聞きました。

諸冨夏子院長 あかねクリニック3

長く通院していたけれど年齢を重ねて通院したくてもできなくなる方や、老老介護や独居でそもそも通院が難しい方など、必要な医療を受けられない高齢者が多くいらっしゃいます。こうした皆さんが地域で暮らし続けていくには、自宅にいながらにしてご自身に合った医療を受けることが必要です。訪問してご自宅を拝見することで初めてわかることもたくさんありますから、当院の診療を別の先生にお任せできる日は、積極的に患者さんのお宅を訪問しています。患者さんご本人のつらさや苦しみはもちろん、ご家族の不安に寄り添うこと、介護に関する適切な助言も、在宅医療の重要な役割ですね。患者さんのご自宅には連絡用のノートを置かせてもらって、その日の気づきを記録しています。医師、ご家族、ホームヘルパーさんや訪問看護師さんなど、患者さんを支えるみんなで共有する交換日記のようなノートです。

訪問して初めてわかることとは?

大きく2つあります。第一に、患者さんとご家族が暮らす環境です。玄関やお風呂場にこのくらいの段差があるんだなとか、階段が意外と急だなとか、そういったことはご自宅を実際に拝見してみないとわかりません。危険を感じる箇所については、ご家族をはじめ患者さんの療養生活を支える方にお伝えし、気をつけて介護をするなり、手直しをするなりしてケガを防ぎます。看護と介護の両方の観点から患者さんとその暮らしを支えていくために、必要な材料をそろえていくイメージですね。第二に、患者さんが積み重ねてきた長い人生の一端から見える、その方が大事にしているものです。クリニックという非日常の環境ではなく、自宅という日常の場所に医師が介入することで、リラックスしていろいろな思い出を話してくださる方は多いんですよ。

そうした会話が診療の助けになることもあるのでしょうね。

諸冨夏子院長 あかねクリニック4

はい。患者さんがお好きな食べ物に幼い頃の思い出がひもづいていることに気づいたり、生きていく上で何を大切にされているかを理解したりすることで、患者さんとの向き合い方が変わってきます。例えば、健康のためには減らしていただくのが望ましい食べ物も、それを断つことが思い出を否定するようでつらいこともあるかもしれません。医学的にベストと思われることが、必ずしも患者さんやご家族にとってもそうだとは限らないと思うんです。患者さんの思いを尊重し、ご家族の生活も大切にしながら、ベストよりもベターな選択をみんなで考えていけるといいですね。

医療を支える柱の一つとして、地域に寄り添い続ける

先生は、幼い頃から医師をめざしていらしたのでしょうか。

諸冨夏子院長 あかねクリニック5

両親がともに地域医療の関係者で、幼い頃から医療は身近にありましたので、私自身も自然と同じ道をめざすようになりました。大学を出て京都第一赤十字病院で一通りの診療科を経験した後は、北九州市立門司病院や、国立病院機構東京医療センターの血液内科に勤務。その後、当院の所属する特定医療法人茜会の原点であり、両親が立ち上げた山口県にある、よしみず病院に勤め、身近な「町のかかりつけ医」として地域医療に尽力してきました。そしてこのあかねクリニックでも、開業当初から変わらない気持ちで診療にあたっています。

診療のモットーをお聞かせください。

患者さんが抱える疾病だけでなく、生活背景やご家族との関係を踏まえて、その方自身を診ることですね。痛みなどの症状が現れにくい肥満症や高血圧症では、ともすれば薬を飲むのを先延ばししたり、自己判断で薬をやめてしまったりする方が少なくありません。なぜそうなってしまうのかをご本人の立場に立って考えながら、将来起こり得る大きなリスクを低減するために飲んでほしいということを丁寧にお伝えし、理解していただくことをめざしています。私は恩師から「哲学する医師になりなさい」と教わり、「なぜなのか」と考えることの大切さを学びました。その言葉を今も胸に抱き続けています。

最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

諸冨夏子院長 あかねクリニック6

地域医療を支えるのは、医療だけでなく、福祉、ご本人、ご家族など、いくつもの「柱」だと思います。当院もその柱の一つです。腎臓疾患を専門とする医師も在籍し、高齢者医療に加えて、高血圧症や糖尿病の予防・治療にも力を入れています。生活していく上での悩みや不安があれば、お気軽にご相談ください。

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