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宮尾 直樹 部長の独自取材記事

日本鋼管病院

(川崎市川崎区/川崎駅)

最終更新日:2019/08/28

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JR川崎駅、京急川崎駅からバスで約8分にある「日本鋼管病院」。ここで呼吸器内科部長を務める宮尾直樹先生は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)・SAS(睡眠時無呼吸症候群)部門の部門長でもあり、内科全体の統括部長も兼任する、病院内のキーマンの一人だ。院内の複数の役割をこなす傍ら、院内から希望者を募って毎年、登山やスキーなどを企画。「僕は単なるお世話役です」と言う宮尾先生だが、院内の人望は厚い。専門は呼吸器内科で、自らの診療がルーチン化しないよう、臨床研究を続け、国内外の学会での発表を怠らない。そんな多忙を極める宮尾先生に、診療のモットーや治療の特色、プライベートまでさまざまな話を聞いた。
(取材日2017年8月1日)

呼吸器内科部長や内科統括部長などマルチに活躍

まず、こちらの地域性について伺えますか。

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川崎市川崎区というのは非常に工場の多い地域です。当院はもともと鉄鋼会社の企業病院としてスタートし、懸命に働く人たちとそのご家族の健康面を支えてきました。今でもその傾向に変わりはありません。工場が多いこと、また、喫煙歴の長い方の割合が高いことなどから、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や喘息、肺がんといった呼吸器系の疾患が多い土地柄です。難病指定されている、間質性肺炎もみられます。それから、意外と多いのは、結核です。国内でも上位に入るほど、結核患者の数が多いことは一つの特長で、肺炎の患者さんがいらした時は必ず結核を疑います。

先生はいろいろな肩書きを持っていますね。

まあ、そうですね。内科の統括部長を拝命しており、また、内科の中でも呼吸器内科の部長で、COPD・SAS部門の部門長という肩書きもあります。内科統括部長というのは、例えば、内科全体の業績を見たり、各科がどういうことをやっているかをすべて把握したり、内科組織のすべてを管理する役割とされています。勤務体制や当直はどうか、そういうのもすべてですね。あとは、内科で大きな決めごとをしたら、意見をまとめて上層部に上げるとか、逆に上層部で決めたことを周知する、そういった院内の橋渡し役でもあります。立派な肩書きに思われることもありますが、偉いわけでもなんでもなく、単なる下働きですよ(笑)。

これまでのご経歴を教えていただけますか。

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1995年に浜松大学を卒業後、慶應義塾大学の内科学教室に研修医として入りました。その後、医局の関連病院で経験を積み、2002年に当院へ入職しています。今年でもう15年くらいでしょうか。当時は呼吸器内科のドクターがちょうど不在で、まさにゼロの状態のところにやって来ました。最初は呼吸器内科を目的に来院される患者さんなどもちろんいないので、外来を担当しても暇で暇で(笑)、高血圧とか糖尿病の患者さんをたくさん診ていたものです。そのうち、徐々に呼吸器科の患者さんも増え、今ではとても一人では対応できないほどになりました。2007年には人工呼吸器による肺障害の研究で学位を取り、同時に呼吸器内科部長に就任しました。2013年に内科統括部長になって、2015年に慶応義塾大学の客員講師。ざっと申し上げるとこんなところです。

全国でも数少ないCOPDのリハビリ入院を実施

特色を1つあげるとすると、どのようなことになるでしょうか?

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当院は、地域に根ざしながらも大学病院のような高度医療の提供をめざしています。例えば、COPDのリハビリテーションでは週に1、2回通っていただきますが、自転車や徒歩で行けるような身近な距離だからこそ継続できるんです。その距離感が、当院の特色ではないでしょうか。僕個人の特色でいうと、診療がルーチン化しないように、常に新しいことに向けて臨床研究を続けているということです。さまざまな呼吸器疾患の症例を集めて、国内の呼吸器に関する学会や海外に向けて報告・発表することで、目の前の患者さんも、常に研ぎ澄ました目で見られます。「この疾患にはこの治療」と、ただただ単純にやっていくのではなく、「この治療でどういうふうに変わるか」など疑問を持つこと、そしてそれにつながる研究をするというのは、医師としてすごく大事なスタンスだと思っています。

COPDの治療について教えてください。

そもそもCOPDというのは、肺の中の肺胞という、血液中の二酸化炭素と酸素を交換する機能を持った風船状のものが壊れて起きる病気のことです。日本のCOPDの90%以上は喫煙が原因。肺胞が壊れると肺に弾力がなくなり、その影響で気管が狭くなって、咳や痰、息切れが起こります。治療は、まず禁煙が大前提。加えて、薬物療法では、気管支を広げる吸入薬を使います。また、風邪やインフルエンザにかかると重症化しやすいため、感染症予防も重要なポイント。インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種も重視しています。近年は、薬よりもリハビリのほうが効果が高いなどといわれるようにもなり、当院でも、COPDのリハビリ入院治療を行っています。

COPDのリハビリ入院治療ではどのようなことをするのですか?

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さまざまな検査により、肺の現状評価などを基に、患者さん一人ひとりに合わせて呼吸リハビリの導入や食事の見直しを行っていくものです。呼吸リハビリでは、専門のスタッフが呼吸困難の軽減や日常生活動作能力の改善をめざして呼吸法の指導や筋力トレーニングなどを行います。例えば、患者さん自身で洗髪する時は、息苦しくならないように片手で洗うとか、おなかを圧迫しないようにシャンプーハットを使ってまっすぐの姿勢で洗い流す、などといった実際的な指導ですね。また、COPDの患者さんは呼吸にエネルギーを使い体重が減りやすいため、体重減少を抑える栄養指導も行っています。退院後も週に1、2回はリハビリに通っていただきます。COPDのリハビリは、継続がとても大事で、そういう意味でも通いやすい病院であることが大切です。

患者との触れ合いで隠れた病気を探る

診療の際に心がけていることを教えてください。

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必ず、患者さんにタッチすることです。聴診や血圧測定は、意外とほかの診療科ではやらないことが多いのですが、僕は必ずやっています。患者さんに触れ、体温を感じて今の体調を判断したり、肌の艶を診たりむくみの有無を見たりすることで、また違う病気が見つかる可能性がありますから。また、患者さんの日常生活の話をカルテに残しておくことも心がけています。前回、話してくれたご家族の様子がどうなったのかとか、飼っているペットが呼吸器に影響を及ぼすケースもあり、ペットの年齢や病気はどうかとか、生活環境の変化を確認します。そうすると、例えば、どんな治療をしても効果がなかった喘息が、ペットが亡くなったことで軽減された、などということがわかるケースもあるんです。

ところで、プライベートはどのように過ごされていますか?

趣味はさまざまで、写真やそば打ち、ピザ作り、日曜大工など。スポーツも昔は熱心にやっていましたが、今はなかなか時間がなくて、年1回院内の仲間たちと一緒に登山したりスキーに行ったりするくらいです。大学時代は山岳部に入っていて北アルプスはほとんどの山を登りましたから、山登り企画では僕が自然と先導役になってしまいます(笑)。参加者は20代から50代まで幅広いので、簡単に登れる山を選ぶのが基本ですね。毎年、僕が企画をして場所を決め、新幹線のチケットを取ったり宿を取ったり。ここでも、お世話係ですよ。でも、部署の垣根を越えて一緒に楽しい時間を過ごすのは、すごく良いことだと思っています。

最後に、メッセージをお願いします。

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COPDの入院治療を行っている当院には、遠方からいらっしゃる患者さんもいます。しかし、遠くから無理に足を運んでいただきたいとは考えていません。患者さんにとっては、ご自身の住環境の近くにそういった医療施設があることが大事だからです。通院が可能な、ご家族も付き添いできるような病院でリハビリができれば、そのほうが理想的。これからどんどんCOPDの患者さんが増えていくと予想されるなか、呼吸器内科の医師全体でもリハビリへの理解が進み、力を入れてくる病院というのは増えてくるはず。ご自宅から通える範囲でリハビリに力を入れている病院を探しているんだけどなかなか見つからないといった場合、そのお手伝いさせていただきたいなと思っています。お困りの方は、ぜひご相談ください。

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