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「おいしく食べる」を取り戻すため
専門の医師による味覚障害診療

まつもと耳鼻咽喉科

(芦屋市/甲南山手駅)

最終更新日:2021/11/17

まつもと耳鼻咽喉科 「おいしく食べる」を取り戻すため 専門の医師による味覚障害診療 まつもと耳鼻咽喉科 「おいしく食べる」を取り戻すため 専門の医師による味覚障害診療
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食べ物をおいしく食べることは、豊かな人生を送るために欠かせない楽しみの一つだろう。そのために味覚や嗅覚の役割は重要で、良い香りや風味を感じることができないと、食べる楽しみが奪われるだけでなく食事量の低下や栄養が偏る可能性もある。また、ガスや有害物質などに気づく能力が阻害され、生命にとって重大なリスクにつながる恐れもあるそうだ。長年味覚障害や嗅覚障害の研究や診療に注力してきた「まつもと耳鼻咽喉科」の松本考司院長は「味覚や嗅覚の異常が現れたときは早めに受診してほしい」と呼びかける。失われた「おいしく食べる」を取り戻すため、そしてそうならないよう未然に防ぐため、寄り添いサポートし続ける松本院長に、味覚障害の症状や原因、アプローチ方法などについて詳しく教えてもらった。

(取材日2021年10月28日)

味覚の機能を正常に保つことは、生きるエネルギーの源となる

Q先生は味覚障害や嗅覚障害の診療に注力されているそうですね。
A
まつもと耳鼻咽喉科 患者向けのわかりやすい掲示もある

▲患者向けのわかりやすい掲示もある

味覚が働かないと何を食べてもおいしいという感覚を得られず、「生き地獄」だと表現される患者さんもいるほどつらいものです。目や耳は状況を適切に把握するための「物差し的役割」で不可欠ですが、視覚や聴覚だけで生活がすべて成り立つかといえばそうではありません。味や香りを感じる味覚や嗅覚も人生に潤いをプラスする役割として欠かせないもので、視覚や聴覚とはまた違った生きるエネルギーを生み出す大切な役割を果たしています。それだけでなく、味覚や嗅覚に異常があると有害物質などに気づく能力が阻害され大病や事故など危険な状況を引き起こす可能性もあります。

Q味覚障害でお悩みの方はまずどんな症状が出るのでしょうか。
A
まつもと耳鼻咽喉科 木のぬくもりが温かい待合室

▲木のぬくもりが温かい待合室

味覚障害と聞くと「味がわかりにくい」、嗅覚障害だと「においがわかりにくい」という症状をイメージしますよね。実際に新型コロナウイルス罹患後に続く症状として味覚障害がある方の場合は「砂糖をなめても甘くない」「コーヒーの香りがしない」と味覚・嗅覚の低下を訴えるケースが多いです。それ以外の方に最も多い主訴は「いつも口の中が苦い」という水や唾液さえも苦く不快に感じるというものです。症状が出るタイミングとしては、風邪をひいた後に味やにおいがわからなくなったという方もいれば、日常生活の中である時ふと症状に気づくという方もいてさまざまです。

Q原因を教えてください。
A
まつもと耳鼻咽喉科 院内での啓発も積極的に行い、道しるべをしていきたいと語る

▲院内での啓発も積極的に行い、道しるべをしていきたいと語る

亜鉛や鉄が不足すると味を感じる細胞の働きに影響を与えることがわかってきており、バランスの悪い偏った食事は味覚障害の原因となり得ます。忙しいとついついお米やパン、麺などの炭水化物中心の食事になってしまったり、インスタント食品で済ませたりする方も少なくないと思います。さらに加工食品に含まれる食品添加物は亜鉛の吸収を妨げてしまう可能性もあります。食生活だけでなく、うつや精神的ストレスなどが原因で味覚障害が起こるケースもあります。規則正しい生活と、バランスの取れた食事を心がけることで改善に向かうケースも多くあります。生活の改善はすべての病気において大切なことですし、病気の予防としても有用だと思います。

Q嗅覚と味覚は深いつながりがあるのだとか。
A
まつもと耳鼻咽喉科 チェック項目に一つでも当てはまった場合、気軽に相談してほしい

▲チェック項目に一つでも当てはまった場合、気軽に相談してほしい

日本の伝統的な食文化として和食がありますが、美しい盛りつけを目で見て、次に香りを楽しみます。良い香りを感じる感覚はその後の味覚につながる重要な要素です。つまり、単純に味イコール味覚ではないのです。また、香りで味を推測することもできますよね。「おいしい感覚」を10で表現すると、味覚4、嗅覚4、残りが食感や喉越し、温度などでそれらをトータルして日本人は「味」だと表現するのだと思います。味覚が正常であるにもかかわらず嗅覚が正常に働かず、食べ物の味を正しく感じ取れない風味障害というケースもあり、風味というのは味覚だけでないさまざまな感覚で作られていると言えます。

Q味覚障害にはどのようにアプローチしていくのでしょうか。
A
まつもと耳鼻咽喉科 おいしく食べるを続けられるよう未然のアプローチにも注力

▲おいしく食べるを続けられるよう未然のアプローチにも注力

味覚障害の原因はいろいろあります。まずはライフスタイルやストレスの有無など丁寧にカウンセリングをした上で、血液検査で亜鉛や鉄が不足していないかを調べ、必要ならば補充していきます。バランスの取れた食生活や生活習慣のアドバイスなどにも力を入れています。また、症状に応じビタミン剤や漢方薬なども使います。今起こっている症状に対しての向き合い方を正しく理解してもらうこと、患者さんに「治していこう」という強い気持ちをもってもらうことがとても大切です。神経が障害されている場合は治療が2、3年かかることも少なくなく、患者さんが諦めてしまわないよう、希望の炎をともし続けることが私の重要な役割だと考えています。

ドクターからのメッセージ

松本 考司院長

神経は一度駄目になると治らないというのが一般的な考え方ですが、味細胞や嗅細胞は新陳代謝が活発なので次々と新しい細胞と入れ替わります。亜鉛が不足することで、代謝が遅れ味覚障害を引き起こしているケースもあるので、「もう治らない」と諦めている方も一緒にもう一度チャレンジしてみませんか。患者さんファーストで寄り添いながら突破口を見つけ、潤いのある豊かな人生を生きていくためのお手伝いができればうれしいです。また、現在新型コロナウイルスから回復後に続く症状で悩まれている方にも亜鉛の欠乏が見られることが多いといわれます。まずはお気軽にご相談ください。

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